表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cry for the moon 〜永遠の愛を求めるジュナと未来から来た青年カグヤの竹取物語  作者: 雪月花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/38

13:section of ジュナ 【オークション編】

 

 私とカグヤは、5つの材料を集めることを始めた。

 リビングでソファに並んで座り、大きい空中ディスプレイに表示された世界地図を眺める。


 カグヤが操作して、その地図上に5つの箇所を示す文字が表示された。

「この国にあるとされるものは、オークションに出品されるんだ」

 彼の説明の後に、この国の部分がアップになり、詳細な場所の地図とオークション会場が表示された。


「あ、サイオンジ財閥主催のオークションじゃん。息子のルキと知り合いだから、参加出来るかも」

 私はさっそくRin(リン)-com(コム)を操作して、ルキにメッセージを送った。

 

「……なんで知り合いなの?」

 カグヤがジト目で私を見てきた。

「え? 財閥界隈のパーティで声をかけられたから……あー、体の関係は無いよ。財閥の御曹司相手は揉めるからね」

「…………」

 ジト目のままのカグヤに、ギュッと抱きしめられた。


 感情が強くなった未来人は、嫉妬心まで強いようだ。


 そうしていると、私のRin(リン)-com(コム)が2回青く点滅した。

「……参加出来るって。ツキシロ夫婦としてなら」

 私はカグヤの腕の中から、彼を見上げた。

 財閥が主催するオークションなので、身元がしっかりした人でないと入れない。


 カグヤは、タカユキ叔父さんと私がRin(リン)-com(コム)で喋ったあの日、私の了承を聞くとすぐに空中ディスプレイを立ち上げ、そこに指先を当てて結婚届けを国に登録していた。

 彼の指先は、ディスプレイに流れる電波から情報が読み取れるだけでなく、ある程度の情報なら操作出来るらしい。


 カグヤのRin(リン)-com(コム)の偽りの情報をベースに、私と籍を入れることで、この国の人として限りなく正式に近い形で登録されたのだ。


 つくづく未来人ってすごい。

 未来人がって訳ではなく、カグヤが研究者だから、頭が良すぎるのかもしれない。


 そう思いながらガグヤを見つめていたら、彼が優しく笑った。

「一緒に行ってくれる?」

「もちろん、いいよ」

 私もニコッと笑って返した。




**===========**


 オークション当日。

 私の運転するブームスランで会場に向かっていた。

 

 きちんとした場なので、私とカグヤはツキシロ財閥が所有する高級ショップと美容院で、着飾ってもらっていた。


 私はドレスを着て、髪を緩く巻いてもらった。

 カグヤはスーツを着て、前髪を上げるようにスタイリングしてもらっていた。


「えー? カグヤがめちゃくちゃカッコ良すぎて目立つんだけど? ツキシロ財閥の娘として有名な私が(かす)んでる……」

 と、動揺しながら私は運転していた。

 ヒールの靴では運転しにくいので、車内に常備しているペタンコの靴に履き替えていた。


「ジュナも綺麗だよ」

 カグヤが私の方を向いて、笑みを浮かべる。

 

 私は前を向いて運転しながらも、チラリとその余裕そうな笑みを見た。


「色気がダダ漏れだ!! 絶対いろんな女性が寄ってくるよ!」

「……嫉妬してくれてる?」

「これはまだ好奇心?」

 前を向いたまま質問に質問で返した。


 隣から不機嫌そうなオーラを感じた。




 会場に着くと、私はヒールの靴にはきかえて車を降りた。

 同じく降りてきたカグヤと腕をくんで、寄り添いながら建物の入り口へ向かう。


「ツキシロ ジュナです」

 受付の人にそう告げながら、所定の位置にRin(リン)-com(コム)をかざした。

 すると、別の人がオークション会場まで案内してくれた。


 通された場所はパーティ会場になっており、巨大な空中ディスプレイが表示されていた。

 隣接された別のホールがオークション会場だった。

 目当ての商品の出品が近付くまでは、パーティ会場で(くつろ)げるようになっていた。


 まだオークションは始まっておらず、私とカグヤは、とりあえずボーイが配っていたシャンパンをいただく。


「ほらほら、周りの女性たちが、カグヤの登場に色めき立ってるよ」

 私はシャンパンを一口飲みながら言った。

「……絶対ジュナのそばにいる。ジュナも離れないで?」

 珍しく顔を青ざめさせたカグヤが、私の腰を抱いてピッタリくっ付いてきた。

 

 前に言ってたように、女性たちにチヤホヤされすぎるのは苦手なようだ。




 その時、ちょうど近くをルキが通った。

「ルキ! 招待してくれてありがとう」

「……ジュナ! と、噂の結婚相手? すごい美形。お前、面食いだったんだな」

 ルキが私を呆れた表情で見てきた。


「ふふーん。これでもカグヤからなんだよ」

「…………まじか」

 胸を張る私に、ルキが更に呆れた。


「まぁ、オークションで高額商品を競り落としてってくれよな!」

 主催者の息子で忙しいのか、ルキはそう言って足早に去っていった。




 カグヤが競り落としたい商品のオークションが近付いてきたので、私たちは場所を移動した。

 

 オークション会場の中は、小さめのコンサートホールのようになっており、真ん中の舞台で商品が順番に展示されていた。

 その舞台の後方には、巨大な空中ディスプレイがあり、商品をアップで映し出していた。

 

 私たちは、階段状に並んでいる1人用のソファに隣り合って座った。

 ゆったりした作りのソファは、肘掛けの右側の一部が透明な操作板になっており、そこにRin(リン)-com(コム)をタッチして個人認証させることが出来た。

 競り落としたい商品に、この操作板から入札する仕組みだ。


 私は右隣に座っているカグヤに話しかけた。

「次の次だっけ? カグヤが競り落としたい商品は」

「そうだよ。古代の珍しい金細工なんだけど、それに使われてる成分が欲しいだけなんだ。僕の研究のナノマシンはもう出来てるから、それを媒介するための物質が必要なんだよ」

「ふーん。私は見ているだけでいいんだよね?」

「うん。僕の資金から支払うから」

 そう言ってカグヤが私の右手を取り、柔らかく握った。

 私のソファの操作板がある方の手なので〝何もしなくてもいいよ〟という意思表示にも感じた。

 

 そうしている内に、カグヤの目当ての商品の順番がきた。

 商品の説明が終わると、それを競り落としたい人たちが数字を入力する。


 すると、入力した人の前にだけ空中ディスプレイが表示され、そこには他の人の入札額も提示されていた。

 

 隣のカグヤも操作板に数字を打ち込んだ。

 彼の前に空中ディスプレイが表示されたので、私はそっと覗き込む。


「……え?」

 思わず驚きの声を出してしまった。

 カグヤは他の入札者より、二桁多い金額を打ち出していた。


 他の入札者たちも、(どよ)めき出す。

 

 その金額より上の入札はもちろん無かったので、進行役のアナウンスが入った。


『こちらの商品はツキシロ カグヤさんが落札いたしました』


 それを聞いたカグヤが、満面の笑顔を浮かべて私を見つめた。

「良かった。無事に手に入ったね」

「…………」

 美しい未来人が、誰もが見惚れるような笑みをこぼしたのだ。

 

 その瞬間、落札者のツキシロの名前を聞いて私たち……特にガグヤを見ていた数名から、黄色い悲鳴が聞こえた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ