表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cry for the moon 〜永遠の愛を求めるジュナと未来から来た青年カグヤの竹取物語  作者: 雪月花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/38

11:section of カグヤ 【孤独を抱えた女の子】


 ーー僕は夢を見ていた。

 

 戦争で多くの人が亡くなった夢を。


 1000年後の未来で犯した罪だ。

 

 戦争で亡くなった兵士が。

 侵略した惑星の住民が。

 亡くなった者たちの家族が。

 

 みんながみんな、僕を責め立てて追いかけてくる。

 

 カグヤが悪いんだ。

 カグヤが!!

 

 そんな罵声を浴びさせられる。


 僕は叫んだ。

 

〝感情を無くすことが出来る機械を作っただけだ〟

〝利用したのは軍だ〟

〝僕じゃない!〟


 怒りと戸惑いの感情が渦巻く。

 僕はこれ以上考えたくなくて、目をきつく閉じた。


 ーーーーーーーー




「ーーーーっ! カグヤ!!」

 近くでジュナの声がした。

 

 目を覚ますと、ジュナの家にあるいつものベットの上だった。


「良かった。うなされていたから」

 上半身を起こしているジュナが、心配そうに僕を上から覗き込んでいた。

「…………」

 僕も起き上がり、(うつむ)きながら(ひたい)に手を当てた。


「大丈夫?」

「うん……」

 ジュナが優しく僕を抱きしめる。

「何か怖い夢を見たんだね……まだ朝になってないけど、起きよっか」

 そう言ってジュナと僕は、リビングに移動した。

 



 ジュナがホットコーヒーを用意してくれて、2人ソファに並んで一緒に飲んだ。


 リビングにある大きな窓のブラインドを、音声認識Aiで開ける。

 外は徐々に白けだしていた。


「私もよく嫌な夢を見てたんだ。そんな時は決まってここでこうして、朝日を見ていたの」

 ジュナが両手でカップを持ちながら、穏やかに笑った。


 ジュナの言う嫌な夢は、家族を亡くしてしまった夢かもしれない。

 彼女の笑顔の中に影が見えたから。


 僕はジュナの横顔を見つめながら、そんなことを考えていた。

 そして彼女が見ている窓の外へ目を向けた。

 

 だんだんと柔らかな光が世界を彩る。

 その光が矢のように長く伸び、僕たちのいる部屋まで伸びてきた。


 僕とジュナは、その暖かな光に包まれながら、美しく輝きだした街並みをいつまでも眺めていた。




「何だか生きていこうって思えるよね?」

 隣に座るジュナがカップを机に置き、僕を見ながら言った。

 その時、彼女が幼い少女に見えた。


 こんな広い家で孤独に暮らし、悪夢を見た時は慰めてくれる人もいない。

 それで1人朝日を見ていた幼い少女は、自分も()()()()()()んだ。

 

「…………」

 僕は胸が詰まった。


「!! カグヤ?」 

 ジュナは僕を見て少し目を見開いた。

「泣いてるの? なんで?」


「……ジュナはその苦しみを、1人で乗り越えてきたんだね」

「…………私のために泣いてくれてるの?」


 僕は黙ったままジュナを強く抱きしめた。


「カグヤは涙まで綺麗だね」

 ジュナが笑いながら、僕をあやすかのように優しく抱きしめ返してくれた。




 ーー僕の中に強い感情が生まれた。


 ジュナを守りたい。

 もう1人にしたくない。

 彼女と一緒にいたい。


「やっぱり好きなんだけど」

 僕は2回目の告白をした。


 抱きしめているジュナの肩に顔をうずめる。

 ジュナの服に、僕の涙がついてしまうのも構わずに。


「どうしたら、刷り込みじゃないって信じてくれるの?」

 僕は少しジュナから体を離し、手の甲で涙を拭ってから、彼女の紫がかった黒い瞳をしっかり見つめた。


 ジュナは困ったように眉を下げて首をかしげた。


 そして迷った挙句に、彼女は言葉を発した。


 


 ーーーー

 

「毎日、私に愛をささやいて」

「毎日、私を抱きしめて」

「毎日、私を求めて。今のままじゃ足りないの」

 彼女は少し照れながらニッコリと笑った。




「それに、分かったの。誰にも本気になれない理由。人を愛せない理由が」

「…………」 

「愛してしまった人を失うのが怖いから」

 そう言ってジュナは、僕の首の後ろに手を回して、僕を引き寄せキスをした。

「だから……私と永遠に生きてくれる?」

 ジュナが目を細めてゆっくりと笑った。


「それって……プロポーズ?」

 僕は苦笑しながらジュナに返事をした。

「!! そういう訳じゃないんだけど……そうか。そっちの意味にもなってしまうのか」

 ジュナが慌てながら目を逸らした。


「いいよ。()()()一緒にいよう」

 僕は笑いながらジュナとおでこをくっつけた。

「えー。言葉だけじゃなぁ」

「ジュナはわがままだよね。そうやって、無理なことを言えば(あきら)めると思った?」

「…………」

「ジュナは人を好きになることに怯えている。もう傷付きたくないから」

 僕はそう言って、ジュナの唇にキスをした。

「それでいいよ。でも僕のそばにいて。永遠を証明してみせるから」

「……??」

 ジュナから顔を離すと、不思議そうな目で僕を見つめる彼女がいた。


「まだいい子で待ってて。その変わり、毎日ジュナに愛をささやくし、ジュナを抱きしめる。毎日ジュナを求めるよ。さっそく求めてもいい?」

 僕は笑いながらジュナを見た。

「……フフッ。いいよ。でも今日はカレッジに朝から行かなきゃいけないから、それまでにね」

 ジュナが喋り終わるのを待ってから、僕は顔を近付けた。




 ジュナを抱いている途中で、僕のRin(リン)-com(コム)が青く光ったのが目に入った。

 彼女と指を絡ませて手を繋いでいる場所からだった。

 

 ようやく返事がきたと思ったけど、僕を切なげに呼ぶジュナに目線を戻すと、そんな些細なことはすぐに思考の隅に追いやられたーー





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ