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少年と少女の境界線

作者: 清水漱平

とくに特別感のない、いつもどおりの日常。なんだけど、ちょっとだけ意地はるみたいに、なんならおめかしするみたいに、記憶や想像に色をつける。おれがきみを誘うのは、そりゃまあたしかにいつものことだけど、でもさ、少年が少女を誘ってたおでかけするわけだからデートってことになるんじゃないの?

わざわざ言うまでもないか


きみのことが好き


で呼び出しておいて


なんのまえぶれもなく


ふわり風バッサ


ふいにひるがえるスカート


きみのすべて見る


なみうちぎわブルーカルセドニー


光は微粒子あばきだす


秘密をいれる壺が


ときどき泡をふいた




ふだんそれほど意識してない?


いいえバッチリ意識してます


なにも言わないだけ


なにくわぬ顔で知らんぷり決めて


つないだ手のやわらかさが


やたらと現実的



少年と少女の境界線


ふたりで見に来た水平線


クレパスなぞった潮騒だ


日暮れても明るい世界


闇は心のありかたそのもの


たいまつかざした祭り


脱いだ浴衣を着なおせなくて


涙も汗もしぼられる



境内は静かな視線に満ちあふれている


覗かれてるふたりには


そんなことどうでもいい


あんなのもどうでもいい


どんなことでもありえる


鏡と同じさ


気持ち


呼吸ちょっと苦しい


だからギュって


だからギュって


だからギュって


して


して


して


した



余白は夏の温度を記し


空虚さの居場所がない


事を始めてしまえば朝が迫る


そろそろだ


そろそろよ


そろそろか


惜しむ間もなく泣きじゃくるセミの声だけ


どしゃぶり




だからなに。とか。そんなんじゃなくて。とか。反論したり、言い返したり、けど心当たりあることばかりで赤面したりしていたんだろうな。って思う。おれは説明が下手だし、いわゆるトークは苦手なんだし、そのぶんどこか別の要素が強いんじゃないかって思ってて。願ってたのかもしれないし、祈ってただけかもだけど。砂浜は、広かった。とにかくとてつもなく広かった。あの景色あの風景あれ全部ひょっとして、おれの妄想だったの? 

っていう話を喫茶店でしたことがあるように思うんだけど、これすらも妄想なんだとしたら、もう手に負えないね。青春すべてフィクションさ。

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