プロローグ
きっと神殺しは実現させる。そのためだけにもう5000年は生きてきた。
「侖、終わったのか?ならさっさと去ろう。長居しても心が疲弊するだけだぞ。」
「うん、兄さん。すぐ行くから先に門まで行ってていいよ。姉さんも多分そこで待ってるから。」
「いつものことだが、謝罪しても意味なんてないからな。」
「悪い、待たせた。」
兄さんが門をくぐった先で姉さんに声をかけた。待ち遠しそうにしてた姉の長い黒髪が振り返りざまによく揺れる。相変わらず存在感に比例しない漆黒だ。
「陸ー!。今回は二人で十分だから先行って待ってろって言うから期待してたのに。予想を一時間も上回ったじゃないの。」
「お前が勝手に予想してたんだろ。俺たちに非はない。」
「ん?私は予想なんてしてないわよ?陸が1時間って言ったんでしょ?」
「はいはい。そこまでそこまで。くっちゃべってないで。時間もないんだから門くぐるよ。」
文面だけを見ると仲が悪そうに見えるが一応二人は夫婦だ。兄さんが実の兄、そして姉さんが妻。私達が小さい頃からいつも姉さんは兄さんといたからまあ3兄妹とさして変わらない。そして、第三者なら聞き逃せないのが先ほどの会話。盃月夕衣。姉さんの名前。別に姉さんは頭が悪いわけではない。記憶力が著しく低いのだ。自分が発言したことも次の瞬間には忘れていることが多い。小さい頃の交通事故の後遺症だ。しかし忘れる部分はまばら。忘れる条件は未だ分かってない。それでも優しい人だし悪気はないのだからよりたちが悪い気がする。
「侖…この世界の友人に別れは済ませたか?」
「うん。もう。済ませた。」
「今回は何て言い訳したんだ?また引っ越しか?」
侖というのは当然私の名前。盃月侖。自分のことは多く語りたくないので割愛する。
「家の事情で借金が返せなくなって私も学校辞めて働くって言っといた。」
「侖ちゃん…それ本当に友達って思ってる?思ってないよね多分。」
「ああ。間違いなく思ってないなこれは。」
そしてこの人が兄、盃月陸。イケメン。これ以上言いたくない…。紹介終わり。
「そんなこといいからさ。急がないと崩壊に巻き込まれるよ?」
一度崩壊が決まった世界に救いはない。最後には何もかもがなかったことになる。その土地にいた人間も、その地形も、今目の前にいくらでもある酸素だって。
兄さんが足早に門の奥の階段を上っていく。私と違ってメンタルが強いから、今さっき自分のした行為に対しての罪悪感なんてものは既に失われているのだろう。旅を始めた当初に比べればやっぱり感覚が狂ってきている。
今、私達は、世界中の人間を殺した。特に、その最後の一手は俺が打った。…私達3人の仕事は世界を壊すこと。世界を訪れては壊し、訪れては壊し…。ずっと昔からの私達3人の旅だ。
世界を壊したのだから私達3人がやることは一つ。次の世界へと旅立つ。これまで単調にこなしてただけの仕事だった。だが、次の世界から物語は大きく動き出す。
初めまして。