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愛しい君へ  作者:
1/3

星が躍る花園で君に花束を贈る 1:お茶会

愛しさが溢れてとまらない








愛しいだけが全てを支配する








愛らしい、可愛らしい、美しい








全てが折り合い重なって




僕の手を、足を、頭を、心を支配する




















初めて会った時、彼女はとても興味が無いような目をして佇んでいた。




春の終わり夏の初め。少し暑さが肌を焦らし、日の光が空高く煌めく午後。




バラの香りが辺りに漂い、生い茂る勇ましい緑の中、白いテーブルクロスと赤いバラのコントラストが優雅なお茶会を演出する。




匠の技が冴え渡る綺麗な食器が机の上を飾る。青と金の模様がよく似合う白磁器は君の細い指によく似合っていた。




色とりどりのドレスを纏った女性が綺麗に着飾り洗練された動きで会話を楽しむ。とても美味しそうに彩られたお菓子たちはレディー達の上品な口に合っていた。美味しいお菓子にレディー達も顔が綻んでいる。




ただ一人、彼女だけ覗いては。








どうやらお菓子は彼女の口には合わなかったようだ。他のレディーと比べて食の進みが遅い。




お菓子はどれも美味しいしどう見たって一流品だ。何せこのお茶会の主催者は公爵家なのだから。




王家と並ぶ公爵家主催のお茶会で一流品以外なんて出そうものなら家の品格を下げてしまうだろう。




それなのに彼女の口には合わない。とても不思議に思えた。このような素晴らしい食べ物に興味がない人がいるなんて。








「素敵なお庭ですね」








お菓子に夢中なレディー達も一通り満足した所で彼女は言った。








「バラがこんなにも咲き誇っているなんてさすが公爵様のお庭ですね」








彼女の賛辞に主催者のレディーが嬉しそうに口元が綻ぶ。








「そうなの!是非皆さんに見てもらいたくて。女王陛下から頂いたクイーンローズも咲いているのよ。私、バラの花が1番好きで」








「そうでございますか。確かに公女様にとてもお似合いです。素晴らしいお庭を是非近くで見たくて、散策してもよろしいかしら?」








彼女の申し出に公女様は嬉しそうに首を頷いた。








「良ければ皆様も見ていってください。まだお菓子もありますからお菓子の方もぜひ」








公女様はとても気が利く方だった。彼女は優雅に席をたち庭へと消えていった。招待された何人かは彼女のように庭へ行き、残りは公女様と一緒にお菓子を楽しんでいる。僕は彼女に興味を引かれたが、お菓子の魅惑には勝てなかった。さすが公爵家。とても素晴らしい宝石のようなお菓子ばかりでどうしてもバラよりこの宝石を堪能したかったのだ。








これが彼女との出会い。








昼下がり。ジリジリと焼ける太陽がまるで道を示すように僕たちは出会いを果たした。

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