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浪人、闇を斬る  作者: 社蓄んA
2/2

浪人、闇に斬りかかる。

 

「ふざけるな、ただの人間が我輩の使徒を斬れる訳がない」

「…」


 老紳士は鬱陶しそうに浪人を睨み付けた。対して浪人は沈黙、まるで関係ないように刀を右手で構えていた。

 その態度は老紳士の神経を逆撫でていた。


「不愉快な、きさっ!?」


 老紳士の言葉を遮るように鞘に添えてあった左手が光った。老紳士は咄嗟に首をひねり迫りくる何かをかわす。

 その何かは後ろに控えていた使徒の首筋に当たり叫び声も上げさせず塵にした。

 あとには浪人の投げた棒手裏剣が落ちる。


飛び道具(ダーツ)だと!?」


 老紳士が視線を戻すと既に浪人は5間ほどあった間合いを半分も詰めていた。

 奇襲から強襲。

 完全に不意を突かれた老紳士の眼前には浪人が刀を肩に担ぎ振り下ろさんと迫っていた。


「っ!?使徒!!」

「ギャシャァ!」


 咄嗟に使徒に命令をだしその間に割り込ませるが、それでも浪人の勢いを止めることはできなかった。


「ギャァ!?」


 振り下ろされた一刀は使徒の肩口から腰にかけてを切り裂いた。塵となった使徒を突抜け浪人は進む。老紳士の背後からさらに二体の使徒が進路塞ぎにかかるがその勢いは衰えない。


「ギャ!!」


 振るわれた使徒の左腕を受け止め無防備な土手っ腹に刀をねじ込む。そのまま使徒を担ぎ上げるともう一体の使徒へ投げ飛ばした。


「ギャ!?」


 対して使徒は飛んできた仲間を驚きながらも仲間を払いのけ浪人へ襲いかかる。

 その毒手が頬掠めるも浪人は刀の切っ先を使徒の首に滑り込ませる。

 頬が裂け鮮血が舞ったと同時に使徒も塵と掻き消えた。


「この獣がぁ!!」


 使徒では止められないと悟った老紳士は、自らの手で老人を葬るためか突いていた杖がサーベルへ変化させ構えた。

 護拳に華美な装飾が施されたサーベルの怪しく光る刃は使徒の塵を写していた。


 そして(浪人)は塵の中から現れた。


 刀を担ぎボロボロの着物をなびかせ頬が流れた血は軌跡をつくる。その勢いに老紳士は気圧させ行動を遅らせた。

 その隙を見逃さず繰り出したのは上段からの袈裟斬り。遅れて老紳士も片手で右薙ぎを繰り出す。

 仕掛けたのは浪人が先、だが身体能力の差で老紳士のサーベルの方が早い。


 ――ギィン、と甲高い音が響いた。


 サーベルは浪人を切ることはなく、逆に刀を受け止める形になっていた。


「凄い、気迫」


 負傷を誤魔化しながら立ち上がる少女はその一部始終をみていた。

 老紳士のサーベルは浪人を捉える寸前で軌道を変え何かを弾いたように見えた。無論、何が老紳士にそうさせたのか浪人の背に隠れてみえなかったが何かをしたのは間違いない。それがこの結果なのだろう。


「おのれ」


 忌々しそうに睨み付けた先には太い針が転がっていた。

 サーベルが胴を両断しようとした瞬間、浪人は口に含んでいた針を吹き付けたのだ。

 しかし老紳士は咄嗟に手首を返し針を叩き落とし、迫りくる獣の一刀も受け止めていた。



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