第1章の「その他、地名、都市、建造物など」
【その他、地名、都市、建造物など】
※本編では省略される細かい設定などを掲載しています。
本編を補完する読み物としてお楽しみください。
【広瀬村】(ひろせむら)地名
ダム湖に水没したとされている村。ダム建設前には建設反対運動の記録も残っているが、現在の村の状況から、フェイク運動だったのではないかとの見方もある。
【鳥居ダム】(とりいダム)建造物
表向き発電及び治水用として施工されたダムだが、その本当の目的は広瀬村の隠蔽にあるとされている。
着工は1956年で、その3年後には注水を開始し、その翌年を完成年としてはいるものの、実際には1970年代後半まで何らかの工事が行われていたようだ。
また、ダム周辺は入念に立ち入り禁止区域が設けられていたが、近年のダムブームの際に一転、一般開放路線に変更しダム周辺に様々な施設が建設される事となった。
しかし、コアなダムマニア以外には存在が知られていないため、何らかの情報操作が行われているものと思われる。
実際のダム機能として、公開されている総貯水容量と同量の貯水や、最大許可出力以上の発電も可能。
ただし、発電した殆どの電力は広瀬村やダム周辺施設への電力供給に使われている。
命名の由来は、明治から昭和にかけて台湾で活動した、農業土木技術者の鳥居信平氏。
□諸元
重力式コンクリートダム
ラジアルゲート×5門
ハウエルバンガーバルブ×2基
総貯水容量 21,520万m3
□発電所
最大許可出力 120,000kW
【広瀬湖(鳥居ダム広瀬湖)】(ひろせこ とりいダムひろせこ)地名
一般的なダム湖……なのだが、その成り立ちを考えると、おおよそ一般的とはいい難いかも知れない。
透明度が高く、角度や時間帯によっては虹色に輝いて見える事もあるという。
【交易都市ミラーレ】(こうえきとしミラーレ)都市
交易の中継地点として大いに発展していてる二重城壁の城塞都市。
市民登録数はおよそ6,900人ほどだが、都市人口はその7倍とも8倍とも言われている。
かつては国家間紛争の最前線だったが、紛争終結後はその地理を生かし一大交易都市に発展を遂げた。
都市の拡大と共に外側の城壁が追加され現在の形になった。
【広瀬館】(こうらいかん)建造物
広瀬村で唯一の宿泊施設。現在は洋館正面の庭園部分に和風建築を建て本館としている。新館増築時に庭園の一部は意図的に残され、建物に関しても洋館のデザインを一部採用する事で、同様の和風旅館よりモダンな仕上がりになっている。
洋館と本館を繋ぐ渡り廊下は二つ。片方は開放式で、元々の高低差の為、途中に階段が設置されている。もう一方は閉鎖式のT字通路で、段差手前で一度階段を降りる事で、館の地下に直接行ける半地下通路になっている。これによって本館利用者も、洋館の地下にあるプレイルームやバーカウンターなどが利用しやすい様になっている。また、この通路は露天風呂への通路とも合流していて、洋館と新館どちらからでも、利用しやすい工夫が施されている。
新館である和風旅館は、上から見ると四角い無限記号の様な構造をしており、客室は全部で五室。それぞれに内風呂を完備しており、こちらは温泉ではなく湧き水を沸かしている。また、テーマの異なる中庭がニつ。茶室がある日本庭園。和風の東屋。錦鯉が泳ぐ大池と、川魚の養殖と釣堀を兼ねている橋の架かった小さめのひょうたん池が、それぞれ一つずつ。宴会なども開ける大広間も二つあるがそのうちの一つは道場を兼ねている。そして、目玉の露天風呂を含めて各施設が敷地内に点在している。また、同じく敷地内に離れも一軒あり現在は信憲が住んでいるようだ。
洋館は木造二階建て+屋根裏部屋だが塔屋のみ三階建てで、紫檀の木材に白いモルタル、窓枠も白といった外観。現在は、かつてゲストルームだった部屋と見晴らしの良い部屋のみ宿泊可能で、ラウンジや書斎、大食堂なども開放されている。
一部は従業員用の宿舎になっているが、これは、かつての使用人用として、あらかじめ割り当てられた部分の他にも二階の一部使用しなくなった部屋も含まれている。
また地下には、ビリヤード台。ダーツ。アンティークのカードゲームテーブル。チェステーブル。クラシックなフリッパーピンボール・マシンなどが設置されたプレイルームがあり、一部吹き抜けでプレイルームを見下ろす形でバーカウンターも併設されている。
本編では疎開のため移築したと伝えられていたが、移築当初からエントランスホールには、ホテルの様なフロントカウンターが設置されていたといった話もあったほか、通常の洋館としては細部が非常に堅牢に造られている事から、本来の目的は元々別にあったのではと推測される。
この洋館の設計者は不明で日本人という事だけは分かっているが、これは建設当時の資料が紛失したからといった事ではなく隠蔽されたからという事のようだ。実際、残された竣工図面から、当時の施工会社は割り出せたものの、会社側には何の資料も残されていなかった。
【宇津木商店】(うつぎしょうてん)建造物
広瀬の里などの商業施設を除く、広瀬村唯一の商店で、生活に必要な雑貨や食料品など殆どをここで賄う事が出来る。村には無人販売所がない替わりに、作物や山菜などの収穫物を宇津木商店に持ち込んで販売して貰っているようだ。持ち込まれた収穫物の一部は、広瀬館や広瀬の里の売店の他、村外にも卸している。
また、意外にも、お惣菜が売れ筋商品で、忙しい農家のご家庭や、おかずにもう一品加えたい時などに重宝されている。これは、販売消費期限が近付いた食品の消費にも役立っている。
【ミラーレ議会】(ミラーレパラメント)組織
ミラーレ行政の最高意思決定機関。少数からなる上級議員の合議制により運営されている。議会長を除く議員数は合意に至らない場合の採決の為、奇数になるように予め調整されている。
他に予備議員と呼ばれる議会員が、数名、議員の下に直接ついて予備審議などを行なっている。これにより少人数なから簡易的な両院制が実現している。
ミラーレの領主は議会の召集と解散権の他、議会の執行停止権も持つが、現実的には、この権利を行使するのは難しい状況になっている。
【商人組合】(コメルシストクリーゾ)組織
商業関連の主に個人事業主の為の相互扶助組織。
ほぼ全ての都市に組合会館を持ち、主な活動は許可書や免許書の発行、各種業務の仲介や斡旋、為替手形など、金融関係全般の扱いなど多岐にわたる。
また、一般市民でも商取引が可能なように、特定条件や期限付きの売買契約許可免許の発行なども行なっている。
売買契約許可免許を取得して申告を行なうと、正式に組合員となり様々な面で優遇を受けられる。反面、新たな義務も発生する。
それ以外の登録者は所属員と呼ばれ、基本的に組合員を保証人として加入する。その為、商店の従業員などに所属員が多い。
表向き、都市部以外での組合員以外との商取引を禁止している訳では無いが、組合員は組合員以外とは取引したがらない為、結果的に信用の保障としての役割が大きくなって今に至る。
ちなみに、ピアンタの持つ売買契約許可免許は3年更新だが、隊商員特約で更新料が割引されている。
通常は1年更新で所属年数に応じて更新期限が延長されるが、更新料+追加料金を払えば、最大5年まで延長が可能である。
【商業組合】(コメンサクリーゾ)組織
各都市での商人組合など幾つか在る商業系組合を統合する上位組織。
主に、取引額が多い商会や高額商品を扱う商店主が登録しているが、契約時の取引額が多くなった場合にも一時的に商業組合が扱う場合がある。
この組合には、商業系組合の、それぞれの組合長も参加しており、一部、合議制で運営されている。
また商取引に関してある程度の裁量権があり、取引停止の通達を発効する事も出来る。
一部都市では幾つかの組合が、商業組合に統合されている場合と、商業組合が無く、別の組合が兼任している場合がある。
【商業協会】(コメンサアソシオ)組織
地域毎の商業組合を中心に商業系組合全ての運営方針を決定する団体。
商業組合の組合長が主な協会員で、定期的に審議会や会合を開催している。
協会自体は、都市の教育機関に併設されている事が多い。これは領主と協会が合意の下に運営している為に都合が良いからで、領主側は領民や市民の教育、協会は各組合の所属員育成などお互いにメリットがある。
ただ、その性質上、主要都市にしか協会会館が無い為、会合の度に組合長は都市間を移動する事になる。それを避ける為に殆どの組合長は、重要な議題以外では、代理官を立てる事で対応している。
ミラーレにも協会会館があるが、やはり、他都市の組合長は、代理官を常駐させる事で対応しており、会合の結果は手紙や使者を通じてやり取りされている。
【傭兵組合】(メルセオクリーゾ)組織
各都市毎に独立して運営されている傭兵斡旋組織。その性質上、協会組織の結成は制限されており、領主やそれに相当する権力を持つ組織が直接管理下に置いている。その為、組合長は領主から直接任命された騎士が担う事が多い。
また傭兵だけでなく、フリーの騎士団が所属しているのも特徴で、この場合、騎士団と領主等の間で何らかの契約が直接、交わされている場合が殆どである。
戦乱の遠のいた現在は、商人の護衛任務や魔獣狩りを主な活動にしている。