第1章の「登場人物」
【登場人物】
※第1章時点での人物を、ほぼ登場順に紹介しています。
名前のみで未登場の人物も記載されています。
【入広瀬 優希】(いりひろせ ゆうき) 若旦那 または若女将
主人公。18歳。男性。
小柄で中性的な顔立ち髪は長めで母親似。大学受験で希望校に合格出来なかった為、一浪して予備校生(仮)の予定だったが、父方の祖父に呼ばれ、広瀬村の旅館『広瀬館』の手伝いに向かう事になる。
【入広瀬 彩香】(いりひろせ あやか) 彩ちゃん
主人公の義妹。15歳。女性。
旧姓、水無瀬彩香。四月から女子高生。生まれつき色素が若干薄く色白。ダークブラウンの髪はミディアムボブに少しウェーブが掛かっている。近所や学校などでも優希とは姉妹だと思われているが、原因の一つは彩香が兄の優希の名前を女性名のアクセントで呼ぶ為。本人はわざとやっている節がある。また気配を完全に消して優希をしばしば驚かせている。
【入広瀬 優子】(いりひろせ ゆうこ) 優子さん
主人公の義母。40代前半。女性。
旧姓、河合優子。結婚して水無瀬優子となった。水無瀬優香の水無瀬家と遠い縁戚関係で、優香の誕生時に、優の字が優子から取られ、自分の娘に香の字を採用した。その後、再婚して入広瀬家に入る事により更に近い縁戚関係になった。ややこしいが、お互いの家は十分親しかったものの系譜上は遠い両家より、優香の水無瀬家の方が入広瀬家により近かった為である。
【入広瀬 信憲】(いりひろせ のぶのり) 大旦那、または広瀬の先生
優希の祖父で広瀬館の主人。
無外流の流れを汲むとされる剣術の使い手でもあり、本人は広瀬流と呼んでいる。本来の無外流の剣術とは太刀筋がかなり異なる部分もあり、既にほぼ我流に近い流派となっているようだ。
【水無瀬 優香】(みなせ ゆうか) 優姉
公務員。24歳。准尉。入広瀬家とは縁戚関係。女性。
優希からは幼い頃、ゆう姉ちゃんと呼ばれていた。
親戚には地方公務員試験に合格して出向中と言っていたが、何故か自衛隊の制服っぽい服装で、トンネルの出口で優希を出迎えた。
自衛隊員も公務員には違いないが地方……では無い筈。
何かと謎の多い女性なのかも?
実は、優希に書かせた、めちゃくちゃな契約書の草案を書いたのは彼女である。
【斉藤 孝一】(さいとう こういち) 斉藤3佐
陸上自衛隊3等陸佐。36歳。一児の父親。
教育支援施設隊から普通科教導連隊を経て現在は鳥居ダム駐留混成部隊の総指揮を務めている。
部隊は表向き高射教導隊を中心に編成されているが、特殊作戦群や水陸機動団(海兵隊)の隊員数名も指揮下にいるようだ。
【ファーンラント・アルヴァー】 アルヴァーさん、アルヴァー先生など
『種族』エルフ(アールヴ)。年齢不詳。外見は30歳前後。男性。
アールヴは古い時代の呼び名で、現在はエルフの方が一般的になった。
ファーンラントが出身地、または姓に当たりファーンラントのアルヴァーと名乗ることもある。
こちらの世界における、諱や真の名と呼ばれる概念があり、基本、そちらの名は家族など信頼のおける人物にしか明かさない。
本来の職業は中央院の異生物植物学者だが、現在はミラーレの教育機関の教師として、専門外の教鞭もとっているようだ。
多少気難しい面もあるが、アルヴァー先生と呼ばれ、それなりに親しまれているらしい。弟子が一人居る。
『未登場』【トート・モレン・カンバー】 トト
『種族』人間? アルヴァーの弟子。10歳。
種族が疑問系なのは、年齢の割りにかなり小柄な体形なのと鮮やかな赤いくせ毛のせい。
実際、異世界の一般的な住人から見ても珍しい外見の為、妖精など他種族とのハーフではないかと思われている。ハーフやクォーターもさほど珍しくなく、偏見なども少ないが、赤毛と小柄という外見の種族は皆心当たりが無い為、どうしても好奇の視線を向ける人も居るようだ。
ただ、本人はあまり気にしていないらしい。
ワンピースタイプの白系の衣装を良く着ている。
【カタルティロイ・ノーチェ】 ノーチェ
『種族』猫妖精。町猫。17歳。女性。
カタルティロイとは3つある隊商の内の隊商名の1つで、猫の玩具隊商のノーチェという意味になる。
彼女は一応、商人組合の所属員ではあるが、主に雑用や食事を用意する商人見習いで、売買契約許可免許の取得を目指して勉強中である。
ただ、彼女自身は商売より、食材や、それを使った料理そのものに興味を持っていて、売買免許取得にそれほど熱心ではないようだ。
将来的には、飲食店舗出店許可書を手に入れたいと思っている。
『未登場』【カタルティロイ・ピアンタ】 ピアンタ
『種族』猫妖精。町猫。19歳。女性。
ノーチェと同じ、猫の玩具隊商の隊商員。
彼女は売買契約許可免許を持つ商人組合の正式な組合員で立場的にはノーチェより上になる。
ノーチェはピアンタの伝手で隊商に参加していて古い知り合いらしい。
ただ、商人としての経験はまだ浅く、それが今回のトラブルを招いてしまったようだ。
【水無瀬 恵子】(みなせ けいこ) 恵子さん
仲居さん。50代後半。女性。
水無瀬優香の実の母で、優希の義母である優子とは親しい間柄。外見は年齢に見合わず非常に若々しいが、内面は結構な世話焼きおばさんで、実は彼女が優希の父と優子の再婚を勧めた。その結果には非常に満足しているようだ。
優希が広瀬村を離れた後、暫くは繁忙期だけ広瀬館の仲居をしつつ実家のお土産物屋を手伝っていたが、広瀬館の現状から本格的に仲居に復帰した。
あまりの人手不足から猫の手でも借りたいと思っている。
【小千谷 元治】(おぢや げんじ) ゲンさん
広瀬館の料理長。50代後半。男性。
広瀬館は和食中心の料理を提供しているのだが、実は元イタリアンシェフという経歴の持ち主。
なので和洋折衷の料理が得意かと思いきや、そんなことはなく、ひたすら和の正道を追求しているようだ。
そして、広瀬館の賄いは何故か中華が多い……。
【マギリースト クルアラン】(魔術師クルアラン) 紅蓮のクルアラン
『種族』不明。(人間種?)年齢不詳。魔術師。女性?
中央(連邦)より派遣されて来た魔術師。
ミラーレ公領の戦力として帝国への抑止力としての役割を担っている。
ただ、それはあくまで表向きの理由で、紛争時の休戦協定締結内容が派遣理由なのは公然の秘密であり、本来ならミラーレ公側に付く事はないとされている人物だった。
しかし、アルヴァーの話ではミラーレ公の切札と呼ばれている事から、ミラーレ議会の中でも、この変化を危惧する議員も多い。
鮮紅色と表現されたローブの幾何学模様を描いている黒糸は、銀朱と呼ばれる水銀を焼いた赤色顔料と水晶体を加工して魔糸化したもので、魔溝と同じ役割を果たす。
魔法使いは色や柄は様々だがローブにこの様な加工を施す事で防御力を高めている。
ただ、主に金属部を加工する魔溝と違い魔糸には柔軟性がある為に、どうしても魔力漏れが起こり、あまり長くは魔力を蓄積出来ない事や、その影響で魔力が流れている間は常に発光しているといった欠点があり、一般向けのローブにこの加工は見られない。
逆に言えばこの加工が施されているローブを着ている事こそが魔法使いの証明であると同時に、分かりやすい実力のバロメーターになっている。
魔術師クルアランのローブの様な幾何学模様を描ける程の密度の刺繍は、一般的な魔法使いでは発動させる事すら困難であるばかりか、魔術師の着用するローブは魔道具化されていない防御用の魔法発動体でもあり、魔力変換が必要だが、あらゆる攻撃に対し柔軟に対応出来る。
たとえアルヴァーが使った魔獣すら切断する力を持った魔力武器ですら容易く防ぐだろう。
『未登場』【プリンシーノ・オルテンシア】 魔法使い王女オルテンシア
『種族』ケットシー。王女猫。19歳。女性。
魔法使い王女の称号を持つ、猫妖精としては非常に珍しい魔法使いの素養を持って生まれた王女。
ログマニカキモーノと呼ばれる魔道具化された特殊な衣装を身に纏っている。この衣装には流水紋と呼ばれる特殊な刺繍が施されており攻撃を受け流す効果がある。この加工により、より少ない魔力で効果的な防御が可能になっているが、この技術は他では見られないもので、本来、魔道具技術に劣るはずの猫妖精が、何故、この様な高度な魔道具を保持してるのかといった疑問の声もある。
王女自身は、猫妖精由来の高い内在魔力で魔法使いでも頭一つ抜きん出た存在のようだ。
【斉藤・ガロファノ=撫子】(さいとう なでしこ) 撫子 ファノさん
『種族』ケットシー。山猫。29歳。女性。
まだ、広瀬村が本格的に異世界と繋がっていなかった時代にやってきた最後の迷い人。
種族はケットシーとノーチェと同じ括りになっているが、彼女は山猫で最長は2m近い身長にもなり、人種以上の高い身体能力を誇る。
非常に強い剣士でもあり、大太刀を軽々と振り回す。
現在は、広瀬館の手伝いと広瀬村周囲の見回りを主な仕事にしているようだ。
人間との間に生まれた9歳になる娘がいる。
【斉藤 榛名】(さいとう はるな) 榛名ちゃん ネコ耳フードちゃん
『種族』ハーフケットシー 9歳。女の子。
非常に珍しい混血猫妖精。通常は猫妖精と人間種の間に子供は出来難いとされている。これは、種族的な違いが最も大きいが、お互いの体型も影響している。実は、異世界には妖精種の他にも獣人種と呼ばれる類似した種族が居て、猫獣人と呼ばれる種族も存在している。しかし、猫妖精との違いは、内在魔力量以外は、よく分かっていないようだ。異世界における人種と妖精種の境界は曖昧のままである。
【宇津木 加代】(うつぎ かよ) 宇津木のおばちゃん
宇津木商店店主。50代後半。女性。
宇津木加也の母親で、宇津木商店の他に計三店舗を切り盛りしている女性。最近、午前中は鳥居ダムのお土産物屋に、昼食と夕食時には食堂を手伝っている事が多い。必然的に村内の宇津木商店は無人となる時間が多いが、気にはしていないようだ。
最近は体重を気にしていて、テレビショッピングのダイエット商品を、娘にネットで購入して貰っている。
【宇津木 加也】(うつぎ かや) 加也ちゃん
家事手伝い。18歳。女性。
優希の幼なじみで、昔はショートカット、色黒、細身体型で男の子のようだったが、現在は真逆の容姿で、久しぶりに会った優希も直ぐには本人と分からなかった。
大人になるに連れて母親に似てきているが、同時に油断すると体格も似てきてしまうらしく、母親の代わりに購入したダイエット商品を密かに使って日々努力しているらしい。
優希の義妹である彩香とは再婚前から付き合いがあり、今でも連絡を取り合っている。