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戸惑う僕
京都。
そこは歴史の息遣いが聞こえる古の都。
僕、雪小路綾人は高校一年生の秋休みを利用して京都の宇治にある祖父母の家に遊びに来ていた。
祖父母の家と言ってもそれはもはや家というレベルではない。
家の周りにある塀は端から端まで見えない。
敷地内にも池、小川、橋そして季節の木々と花々が植えられている。まるで武家屋敷だ。
家の築年数はゆうに300年を超え、その大きさと貴重な屋敷作りが今も残っていることから、国の重要文化財に指定されている。
しかし、僕は今、とある危機に直面していた。
周りには観光客がひしめき、道の両側には店が立ち並んでいる。
ここはどこだ?
僕は少しばかり戸惑った。