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初めてはお約束のあれ

サブタイトル変更しました。内容に変更はありません。

6時課の鐘で目を覚ます。


街や村によって多少違うらしいが、6時課、9時課、12時課、午後の3時課、午後の6時課で鐘が鳴るらしい。

それぞれ大体6時、9時、12時、午後3時、午後6時に鳴るとのこと。この世界も1日は24時間らしい。

まあ、創造神の女神リムルネイト様も地球をモデルにしてこの世界を作ったと言っていたからそういう事なのだろう。


昨日はギルドを出た後、すでに陽が落ちていたのでそのまま紹介された宿「仔兎亭」へと向かった。

テンプレだとチンピラ(特にギルドで叩きのめした奴とか)に絡まれたりすることが多いのだが何事も無く宿にたどり着いた。

まあ、トラブルを求めているわけではないので何も無いのは良いことだ。


仔兎亭は冒険者ギルドと提携しており、冒険者が泊まる場合には割引があるとかで朝食と夕食がついて1泊大銅貨4枚だった。

とりあえず10泊することにする。

銀貨4枚だった。という事は大銅貨10枚で銀貨1枚。10進数のようだ。銅貨と大銅貨のレート、銀貨と金貨のレートがまだ判らないが、たぶん同じ10枚毎だろう。

あとで買い物でもして確かめてみるつもりだ。


宿での夕食の後、前世(地球)とこの世界での違いについて考察してみた。

まずはスキル。

女神様の説明では前世で持っていた能力がスキル化されているとの事だが、持っていた技術がスキルになったことによって実際の動作にアシストと言うかブーストと言うか、パワーアップしている様だ。

技や細かい動作が前世での記憶以上にスムーズに出せる。

また、身体の動きもイメージより良く動く。これは創造神の加護のステータス2割アップが効いているのかもしれない。

具体的なステータスが見れないのでどのぐらいアップしているのか判り難いが。


体格的な問題はまだ解決してないので正面からの力勝負では難しいだろうが、昨日の盗賊やチンピラみたいに不意を突いたり、自分の土俵で戦えるならかなりの所までやれそうだ。


宿の食堂で朝食をとりギルドへと向かった。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



ギルドに行く途中で屋台で串焼きを買った。異世界といえば屋台の串焼きは定番だよな。

串焼きは1本で銅貨3枚だった。大銅貨1枚でお釣りが銅貨7枚、やはり銅貨10枚で大銅貨1枚のようだ。


串焼きを食べ終える頃にギルドへ着いた。

残った串を異空間収納(アイテムボックス)に放り込みギルドに入る。


昨日と違い掲示板の周りに多くの冒険者が集まって掲示板に貼られた依頼を精査している。

この時間帯は依頼の取り合いで競争なのだろうか?あの人混みに混ざりたくは無いな。


しばらく様子をみたあと、受付カウンターへ向かって移動する。


「おい坊主、俺たちの荷物持ちに雇ってやる。喜べ」

冒険者がそう言いながら道を塞ぐ様に立ちはだかった。


「断る」

一言で済ませ、男を避わして移動しようとすると仲間らしき別の男が回り込むように前を塞いだ。


「俺たちが冒険者のいろはを教えてやるって言ってんだよ」

どう見てもモブな冒険者がニヤニヤしながら言ってくる。

最初の男と同じく二十歳前後、やんちゃそうな感じだが強者の雰囲気は感じない。少なくとも昨日の盗賊よりは明らかに弱そうだ。

ぶっちゃけて言うと正面からやり合っても勝てそうな気がする。


何だろう、俺ってばギルドにきたら必ず絡まれる病でも患っているのだろうか?

不愉快だがさすがに声を掛けられただけの今の段階で叩きのめすのも気が引ける。

何より昨日よりギルド内にいる冒険者の数が多い。しかもギルドのど真ん中。悪目立ちし過ぎる。


「あなたたちにそんな甲斐性があるとは思えないので結構です」

「あぁん?どういう意味だ?」

「雑魚の荷物持ちはお断りだって言ってるんですよ」

「なんだと?俺たちはこれでもDランクだぞ」

「Cランク試験に通らない、あるいは受けさせてもらえない雑魚って事ですよね。」

「ガキが!生意気言ってないでガキは大人の言うことを聞けば良いんだよ!」


意識して煽ったところはあるけど、沸点低いなおいっ

自称Dランク冒険者が殴りかかってきたのを軽くバックステップで避わし、男の顔に銅貨を投げ付ける。


羅漢銭と言う小銭や石礫を投げ付ける技だ。

時代劇で寛永通宝を投げつけて悪党を捕らえていた十手持ちが使っていた技で投げ銭とも言う。最後の幻想なゲームでも忍者が使ってたな。

手首のスナップを利かせて投げるとかなり痛いのだこれが。


宿での検証により投擲スキルで使えることが判っており、スキル化のおかげで威力も前世より底上げされている。


「痛っ!」

銅貨が自称Dランク冒険者の眉間にクリーンヒットし、たまらず蹲る。


続けて仲間の冒険者にも投げ銭で銅貨をお見舞いする。こちらもクリーンヒット。

額を押さえて転げまわる。大げさだな。


「喧嘩を売るときは相手をみてやるんだな。銅貨は見舞い代わりに恵んでやる」

よっぽど痛かったのか2人してずっと地面で呻いているので、そう言い残して受付に向かう。




空いている一番近い受付に行く。昨日の受付嬢とは別の女性だ。

鳶色の髪に頭に猫耳がついてる。獣人だ。顔も可愛いが、それよりも猫耳である。これは、良いものだ。

思わず緩みそうになる頬を引き締め直して話しかける。


「おはようございます。少し教えて欲しいのですが」

「おはようございますにゃ。朝から元気な冒険者さんにゃね」


どうやら先ほどのを見られていたらしい。思わず苦笑いが浮かぶ。


「それはさておき、昨日登録したばかりのFランクなのですが、討伐系以外でお勧めの依頼って何がありますかね?」

ギルドカードを提示しながら訊ねる。


「Fランクなのかにゃ?あいつら一応Dランクにゃのに瞬殺だったにゃ」

「昨日登録したばかりなので、元から強ければランクなんて関係ないでしょう?弱い上位ランク相手にはわざと負けてあげないといけないなんて決まりがあるなら別ですが」

「そんなもの無いにゃ。それにあいつら、Gランクの子供やFランクの新人に先輩面していじめみたいな事してるから良い気味にゃ」

「そうなんですか。ならもう少しちゃんとOHANASIしておくべきだったかな?」

「別にいいにゃ。目に余るようならそこから先はギルドの仕事にゃ。それで、何で討伐系以外にゃ?かなりの腕前見たいにゃけど」

「実は、手持ちの武器が今これしかなくて」

俺は木刀を掲げてみせる。

「対人相手なら、上位ランクの化け物でもなければ何とかなると思うんですが、魔物相手には心許ないですから」

「木刀の少年。昨日も騒ぎを起こした子にゃね」

「えっと、何のことでしょう?」

昨日チンピラを叩きのめした件を知っている様だが、一応とぼけてみた。

「黒髪で木刀を持った小さい少年で申し送りがあったにゃ」

「うぐっ 小さいは余計です」

「子供がろくに防具も着けずに木刀一本でうろうろしてれば絡まれて当然にゃ」


2回連続で絡まれるとかテンプレにしてもおかしいと思ったが、それが原因か。

言われてみれば正論な気がする。

いや、誤魔化されてはいけない。

これはいじめられる奴にいじめられる原因があるんだからいじめられる方が悪いと言うのと同じだ。

どんな理由があってもいじめはいじめた方が悪いし、絡んできたら絡んできたチンピラが悪いのだ。

悪即斬。前世でも異世界でも俺の方針に変わりはない。


「質の悪い冒険者の行動を俺のせいにしないでください。そう言う馬鹿どもの教育をするのはギルドの責任では?」

「むむむ、見かけによらず口が達者にゃね」

「中の人など居ない」

「中の人?」

「いえ、それより討伐系以外でお勧めの依頼ってどんなのがありますかね」

「それなら薬草採取しかないにゃ。冒険者は薬草採取に始まって薬草採取に終わるにゃ」

「薬草採取」

「そうにゃ。森の浅い場所や物によっては街の近くでも取れるし、うまく集めれば稼ぎも悪くないにゃ。慣れてくれば他の依頼のついでに集めることも出来て収入の上乗せが出来るにゃ。薬草採取を馬鹿にする冒険者はランクが上がっても収入が低いままにゃ。ぜひ薬草採取をするにゃ」

「わ、わかりました。この辺りで依頼対象になっている薬草を教えてください」


ものすごい勢いで薬草採取を勧められた俺は、勢いに押されるように薬草採取を請け負うことになった。

最初の依頼が薬草採取ってのもある意味お約束か。



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