本当の気持ち
釈迦の掌~クラス転移で才能開花~も良ければ読んでもらえると嬉しいです。
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本日二話目です。
いじめられていた集団に絡まれてから二日が経った。
毎日のように俺に突っかかってきていたのにあれからあいつらの姿すら見ない。いや、見たいわけじゃないんだけど。
二日間で俺は村を出て近くの町に行くという結論を出した。このままいても飢え死にするのを待つだけだしな。
産まれてからずっと過ごしたこの家を置いていくことは少し寂しい気もするが、しょうがない。母さんと父さんの墓参りついでに定期的に掃除しに帰ってくることにしよう。
村長には小さいがちゃんと手入れされていた畑を売ったが、家だけは売らないことを伝えた。
ついでに町まで行く行商人の馬車に乗せてもらえることになった。村長にはお世話になりっぱなしだ。いつか恩返ししないとな。
明日でこの村ともしばらくお別れかと村を見渡しているとナノを見つけた。
向こうもこちらに気付いたようだが目をそらされた。そりゃそうだよな、あんなことを言った俺が悪いんだ。
俺は心の中で謝ってそこから立ち去ろうとしたら、ナノが話しかけてきた。
「リューくんどうしたの?」
「えっ、何が?」
「だってリューくん泣いてるよ?」
そう言われて自分の顔に手を当てると確かに涙が頬を伝っていた。
ナノに言われるまで全然気付かなかった。
俺は何に対して泣いているんだ?
そう自問自答しながら困惑していると急に視界が暗くなり、柔らかい感触に包まれるとともに、懐かしくやさしい香りが鼻腔をくすぐった。
ナノが俺の頭を抱きしめていた。
「リューくんが何に対して泣いているか分からないけれど、何か困っていることがあったら何でも私に言ってね。私はいつまでもリューくんの味方だから。」
「ナノっ!おれは...俺は。」
その時、自分が何に対して泣いているのか気付いた。
ナノに自分の気持ちを偽って伝えたまま村を離れるのが、どうしようもなく悲しかったのだ。
俺は、いつの間にかナノの俺への無条件の愛情から離れたくないと思っていた。同時に、どうしようもなく彼女のことを好きだと気付いた。
そしてこの気持ちを伝えようと思った。たとえどのような結末になろうとも。もう彼女に嘘はつきたくない。素直にそう思った。
「ナノ。あの時、俺はナノのこと大嫌いだって言ったけど、あれは嘘だ。俺のいざこざにナノを巻き込みたくなかったんだ。本当にごめん。」
「うん。リューくんはとっても優しいから理由もなくそんなこと言うはずないってお家に着いてから気付いた。でも、リューくんが本当に私のこと嫌いって思ってたらどうしようって怖くて話し掛けられなかったの。私こそごめんね。」
「俺がナノを嫌うはずがない!むしろ大好きだ!俺はナノを愛してる。自分に都合のいい話してるのは分かってる。それでも俺はナノに嘘をつきたくな...」
俺が言い終わる前に、口をナノの柔らかい唇で塞がれた。
ナノのかわいいから美しいに移行中の整った顔が目の前にあった。
口内にナノの舌が入ってきたため、慌てて自分の舌を絡ませた。
数十秒かそれとも数分か、分からなくなるほどナノとのキスは時間を忘れさせた。
二人とも息をせずにキスしていたために、「ぷはっ。」と声を上げ空気を肺に取り入れた。
息を整えてナノは口を開いた。
「ふふ、私もリューくんが大好き。今までも、そしてこれからも。私もリューくんを愛してる。」
ペロッと唇を舐め、唇に人差し指を当てて、妖艶に笑うナノに、呆然と見惚れてしまった。
「リューくん、大丈夫!?鼻血が!?」
そう言われ気付くと鼻からポタポタと血が滴り落ちていた。
口内にナノの唾液の味を上書きするように鉄臭い味が広がるのを感じながら前のめりに倒れこんだ。
薄れゆく意識の中で来るであろう衝撃に備えたが、杞憂に終わり、代わりに柔らかい感触に包まれたことによって安心して意識を手放した。
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