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ユニークスキル:虚仮威し(こけおどし)

なんか思い付いたので書いてみました。

読んでいただけると幸いです。

本日、もう一話20時に投稿しますので、よろしければそちらもご覧ください。


 この世界は力で全て手に入る。


 財力、腕力、知力など様々な力がある。


 それらを持たざる者は奪われる側となる。


 かく言う俺もその一人だ。


 物心つく頃から歳の近い村の子供連中からいじめられていた。


 頭は周りの奴らより回る方だったが、如何いかんせん身体能力がなかった。


 皆無と言っていいほどなかった。


 俺が住んでいる村は、村の中でも田舎の方で頭を使うようなことはなく腕力がものをいう環境であった。


 男は畑を耕すか山で狩りをする。


 女は丈夫な子供が産めればいい。


 腕力を始め身体能力皆無の俺にとってこの環境は地獄でしかなかった。


 畑を耕そうと鍬を持てば、一回振り下ろすだけで腕がプルプルいう。


 狩りをしようと山に入れば、十分ほどで足がつる。


 重い物を持ち上げれば力が付くという噂を聞いて試そうとしたが、そもそも持ち上げられない。


 走れば持久力が付くと言われ試したが、すぐに息が上がるため100メタ(100m)も走れない。


 もういっそ何かに呪われているのではないかと思ったほどであった。


 それでも両親は俺をかわいがってくれた。


 特に母親は俺に甘々で「リュウは顔が父さんに似てかっこいいしこれからすごくなるのよ。周りなんて気にせずに生きなさい。」とニコニコ笑いながら口癖のように言っていた。


 病弱な母親だったがこんな俺には勿体ない位にいい母親だった。


 唯一の後悔は持病の心臓の病で息を引き取るときに

「ごめんねリュウ。母さんがあなたをもっと丈夫に産んであげられればね。」

と母親に言わせてしまったことだ。


 その時、俺は自分の体が恨めしくて恨めしくてしょうがなかった。同時に申し訳ないと思った。自分がこんな心配をかける息子でと。


 父親は母親が息を引き取った一か月後に魔物に襲われて亡くなった。


 一緒に狩りに行った仲間を庇ってそうなったそうだ。


 俺はそんな父親をかっこいいとそして誇らしいと思った。


 そんな両親の息子で良かったと心の底から思った。


 他にも幼馴染のナノが俺を気にかけてくれた。


 小さい時は何をするにしても「リューくん。」と笑いながら後ろを付いてきた。


 こんな自分になぜなついてくれたのか、いまだに分からない。


 大切だからこそ俺は彼女を突き放した。俺と一緒にいると彼女までいじめられてしまうと思って。


 「俺はナノが大嫌いだ。」と心にもないことを彼女に告げた時の「リューくん。」と大きな瞳に涙をいっぱいに溜めて悲しげに呟いたあの姿を俺は一生忘れられないだろう。


 彼女が嗚咽おえつを漏らしながら走り去っていく後ろ姿を見た時、自分が心底嫌いになった。それと同時に彼女を巻き込まなくて済むと安堵した。


 両親が亡くなって、食い扶持は自分で稼がなくてはならなくなった。


 身体能力皆無の俺に肉体労働は無理だろうと思い、村長に相談しに行った。


 しかし、俺の住んでいる村は貧しいために俺に紹介できるような仕事はないと言われた。


 村長は俺にステータスを確認して有用なスキルがあれば町で働けるかもしれないと言った。


 この世界にはステータスと呼ばれる個々の能力を数値化したものが存在する。


 これはみんな持っているもので、頭の中でステータスと念じると自分の視界のみにステータスが表示される。



名前:リュウ

Lv.1


HP 20/20

MP 1/1

STR 1

DEX 1

VIT 1

INT 40

AGI 1

LUK 20


スキル


ユニークスキル

虚仮こけおど



 前に見た時には無かったスキルが追加されていた。


 村長に聞いてみたが、村長も知らないと言っていた。


 どのような効果があるのか知らなかったがその内分かるだろうと放置しておいた。


 村長の家を出て自分の家へ帰ろうと道を歩いていくと見慣れた集団が俺を待ち構えていた。



「よう、リュウ。相変わらず貧弱な体してんな。誰に似たんだか。」


「何だと!」



 こいつは俺をいじめている集団のリーダー格で、俺とは違いがっしりした体格である。



「なんだその反抗的な目は?自分の立場が分かってないようだなっ!」



 そう言って俺に殴りかかってきた。


 身体能力皆無の俺に避けられるはずもなく、顔面を殴られ吹き飛ばされた。


 殴られた俺はふらふらと覚束おぼつかない足取りで立ち上がった。



「俺を馬鹿にしたいなら俺だけ馬鹿にすればいいだろう!母さんを巻き込むな!」


「俺にそんな口きいてんじゃねえよっと!」



 そう言って再び顔面を殴られた。


 先ほどより強く殴られたためにすぐに立ち上がることができなかった。



「かっこいいこと言ってもそんなざまじゃあな。魔物に襲われて死んだどっかの誰かみてぇだな。」



 そいつの取り巻き連中が大声で笑いだす。


 その時、俺の中の何かがプツリと音を立ててと切れた。



「父さんを馬鹿にするなよ?」



 そう俺が口にした瞬間周りの草木がざわめきだし、木々に止まっていたと思われる鳥が一斉に飛び出した。


 さっきまで軽薄そうな笑みを浮かべていたリーダー格とその取り巻きはガタガタと歯を鳴らし、顔面蒼白で涙を浮かべ、それぞれの足元に水溜まりを作り出していた。


 いきなりのやつらの態度の変化に俺は戸惑った。


 すると、やつらは脱兎のごとく一言も話さずに俺から離れていった。


 訳が分からなかったが、まあいっかと思い再び帰路についた。








Lv.1


HP 20/20

MP 20/20

STR 20

DEX 20

VIT 20

INT 20

AGI 20

LUK 10


これが一般的な成人男性のLv.1のステータスです。


感想等お待ちしています。

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