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セレーナ・ナーキシード

ストックは作れましたが、少し話がぐちゃっとします。あと、キャラがブレたりするかもしれません。

僕には3歳離れた姉がいる。名前は、セレーナ・ナーキシード。昔から僕の事を構ってくれて、誰にでも分け隔てなく接する自慢の姉だ。

小さい頃は、すぐに泣く僕を慰めてもらっていたのは良い思い出で、僕はそんな彼女が大好きだった。

少し話は変わるが、そんな彼女には特技がある。

それは、魔法を使える事だ。

普通の人間は、教わらなければ魔法は使えないのに、姉はわずか10歳でその頭角を表し始め、僕が9歳の時、つまり姉が12歳の時に、彼女は家を出た。

王都の学校、王立中等学院の試験を受けるためだ。この学校は王国の中でも最も大きな学校で、実力さえあれば誰でも入れるという実力主義の学校だ。試験科目は2つ。歴史や計算などの筆記試験と、ダミーの魔物を倒す、戦闘の試験だ。魔物を倒す方法は問われず、何を使っても良くて、体術や剣術を使う人もいれば魔法を使う人もいるらしい。聞いた話によれば、ほとんどの人は魔法を使うらしい。

僕は姉と離れるのは嫌だったけど、彼女のためだと思って涙を飲んで姉を見送った。

それからしばらくした後、試験に合格したという手紙が届いた。なんでも、主席だったのだとか。

それからは、学院の寮で暮らす事にして、田舎の街にいる僕とは離れ離れになってしまっていた。

年末くらいには帰ってきてほしいものなんだけれど、勉強が忙しくて帰れないという事で、手紙だけのやり取りをしていた。

そして、今年になってからそのまま王立高等学院に入るという知らせが届き、また姉に会えないのかと寂しく思ったりもした。

そして現在ーー

「アリエル大丈夫?怪我してない?痛いところがあったらお姉ちゃんに言うのよ?」

僕の体をペタペタと触っていくお姉ちゃん。少しくすぐったい。

「大丈夫だよ、僕は怪我なんしてしてないから。男の人達が怖かっただけで……」

思い出して、少し暗い顔をしてしまう。

まだ周りには男の人達が倒れている。

あの人達の方が僕よりもよっぽど心配なんだけど、大丈夫かな?

人の事を心配していると、僕の顔を見たお姉ちゃんが、突然僕を抱きしめてくる。

「うわっ!お姉ちゃん、いきなりどうしたの??」

僕を力強く抱きしめて、頰をスリスリしてくるお姉ちゃん。

僕の身長は低いので、抱きしめてられると、ちょうどお姉ちゃんの胸に頭が挟まれる形になって、とても苦しい。

「あぁ、私のアリエル!!3年もの間、この時をどれ程待ちわびたことか……中々会いに行けなかったけど、お姉ちゃん、すっごく寂しかったのよ?お姉ちゃんいなくて大丈夫だった?寂しくなかった?」

「凄く寂しかったよ。でもいいんだ。また会えたし、助けてくれたから」

僕がそう言うと、アリエルぅ~と言ってさらに強く抱きしめてくる。

顔が、埋まって息が、できない……

「お姉ちゃん、く、苦しいよ。息が、できない……」

「え?あぁ、ごめんね。お姉ちゃんアリエルに会えて嬉しくって嬉しくって、もうちょっとだけこうさせて?」

だいぶ苦しいんだけど、お姉ちゃんがそう言うなら。

僕は無言で頷くと、お姉ちゃんの背中に手を回す。

昔はよくこうしていた。

僕が泣いてしまって、慰めてもらう時にこうしてもらっていたのだ。

あと、毎日朝と晩にこうしていた気がする。お姉ちゃんはアリエル分のチャージとか言っていたけど……あれはなんだったのだろうか。これが無いと生きて行けないとかも言ってた気がする。

まぁいいや、こうして再開できた事だし。

「というか、お姉ちゃんどうしてここに来たの?」

僕が息継ぎをするようにお姉ちゃんの顔を見上げる。

「何言ってるのよ。お姉ちゃん、アリエルの悲鳴が聞こえればどこでも駆けつけるわよ?」

そう言って笑うお姉ちゃん。でもそれは、すぐに苦笑いに変わった。

「と、言いたいところなんだけど。今回は偶々よ。女神騎士城に、というか、そこのクソ女神騎士に用があったのよ」

忌々しそうにティアさんを睨むお姉ちゃん。体から怒気が伝わってくる。

「ダメだよお姉ちゃん、そんな言葉遣いしちゃ。相手は女神騎士様なんだから、しっかりと敬語使わなくちゃ」

「そうね、アリエルの言う通りだわ。ついカッとなっちゃって。よく無いわね。あ、でもねアリエル。あの女神騎士、ティアは私と同じ王立高等学院に通っているクラスメイトだから、ちょっとくらいは砕けた話方してもいいのよ?」

ニコニコと笑うお姉ちゃんは、とっても綺麗だ。やっぱり、彼女には笑顔の方が合っている。

「お姉ちゃん女神騎士様と友達なんだね、凄いよ!」

「あはは、それは違うわよ?アリエル。わたしは決してティアとは友達なんかじゃ無いわ」

あ、あれ?お姉ちゃん、口は笑ってるのに、目が笑ってないなぁ……

「そ、そうなんだ」

僕が少し引きつらせた笑みを浮かべた後、お姉ちゃんは僕を抱きしめたまま、体の向きを変えた。

そして、一変。

「さて、そこの女神騎士?」

お姉ちゃんの声が、とても冷たいものになった。これは、本気で怒っているときの声だ。

僕も何度かしか見た事がないのに……。

「何かしら?」

僕の視界はお姉ちゃんの胸で挟まれているから様子は見えない。

ただ、ティアさんの声が聞こえてきた。

「アリエル・ナーキシードという少年が女神騎士に求婚されているとう噂を聞いて来てみれば……まさか、本当に私の弟に手を出していたとは思わなかったわ」

「手をだすって……人聞きの悪い事を言わないでもらえる?」

「あなた、何を言っているの?求婚する事が、手をだす以外の何だというの?それも、私の弟に!!私の弟に手を出していいなんていう法律はこの世に存在しないわ!!」

お姉ちゃんが怒っている。何を言っているのかは、よくわからないけど、何となく僕のために言ってくれている気がしないでもない。

「あなたこそ何言ってるのよ!アリエルちゃんに求婚しちゃいけないっていう法律だってないわよ!」

「……」

「……」

そして、急に黙ってしまうお姉ちゃんとティアさん。

その沈黙を最初に破ったのはお姉ちゃんだった。

「いいわ、今日のところはこの辺にしてあげる。1週間後、決闘でアリエルをどうするかを決めましょう?」

「そうね。そうする。仕方ないからそれまでの間は、アリエルちゃんは姉であるあなたに譲ってあげる」

何やら話は決まったようだった。

「それじゃあ、また1週間後に会いましょう」

お姉ちゃんはそれだけ言うと、ティアさんの返事を待たずに体の向きをバルコニーの柵に変えた。

「ところでさ、お姉ちゃん。いい加減離してくれないかな?」

もちろん、僕を抱きしめたままで。

「…………あ、ごめんね。お姉ちゃんとした事が。苦しかったよね」

なんかすごく間があったんだけど。まぁいいや。

お姉ちゃんはやっと僕を離してくれる。

「っぷはぁ、これで普通に息ができるよ」

「そんなに疲れた顔しなくてもいいじゃないの。お姉ちゃん傷ついちゃう」

「別に嫌じゃないんだけど、息がしづらいんだよ。ってあれ?そう言えば、なんで柵の方に来たの?扉はあっちだよ?」

僕は扉の方を指差した。なんかこちらを恨めしそうに見てくるティアさんの事は気にしない。待っててね、アリエルちゃん、とか言っているけど気にしない。

気にしないったら気にしない。

「あー、だってあっちにはティアがいるから。さっきあんな会話をしただけに気まずいのよ」

「そうなんだ。まぁ理由はなんでもいいけどさ。でも、それならどうやって降りるの?」

僕がそう言った時だった。

「こうやって、よ!」

「うわぁっ?!」

急に僕をお姫様だっこするお姉ちゃん。

「お姉ちゃん?一体何を……って、まさか!!」

お姉ちゃんは僕を抱き抱えたままバルコニーの柵に足をかける。

飛び降りるつもりのようだった。

「大丈夫、魔法で衝撃は無くすから。怖がる事はないわ」

どうやら、お姉ちゃんは僕が飛び降りるのを怖がっていると思っているようだった。別に怖くはない。先ほど自分から飛び降りようとしたくらいなのだから。

「そうじゃなくて、お姉ちゃん、服……」

だが、僕がそう言った時にはもう遅く、お姉ちゃんはバルコニーから飛び降りた。抱き抱えられたまま、フワッとした感覚に襲われる。

僕は必死に、お姉ちゃんの腰あたりに手を伸ばして、翻る布を抑えた。

僕が必死で抑えた事もあり、なんとか、スカートがめくれるという事態は防げた。

やがて、地面付近に近づくと、お姉ちゃんの魔法で僕達は急に速度を落とし、緩やかに地面に落ちた。

僕はお姫様だっこの状態から下ろされると、お姉ちゃんの服を指差した。

「お姉ちゃん?スカートなんだから飛び降りちゃダメでしょ!!僕が抑えてなかったら普通に丸見えだったよ?」

僕が軽く怒りながら話すと、お姉ちゃんは不意を突かれたような顔をした。

「え、そんな事気にしてたの?下には誰もいなかったし、別に良くない?」

「良くないですっ!!全く、お姉ちゃんはそう言うところたまに抜けてるんだからさ、気をつけてよ。お姉ちゃん今年で17歳なんだからさ?」

「はいはい、お姉ちゃん気をつけま~す」

適当な返事だなぁ。

「本当、今度から気をつけてね?」

「わかったわかった。気をつけるからその辺で許してよ。さ、もう行こう?」

僕はため息を1つ吐くと、お姉ちゃんと並んで門を通り、城を出る。

「でも、不思議ね」

「何が?」

「アリエルなら、絶対に飛び降りるの怖がると思ったのに。」

街道を歩いている途中で、不意にお姉ちゃんが口にした言葉に、僕はビクッと肩を揺らした。

「……まぁ、僕も成長したって事だよ」

「ふーん、まぁ3年も会ってなかったし。そういうものなのかしらね」

「そ、そうだよ。きっと」

僕は内心ビクビクしていた。

昔から、お姉ちゃんは僕の安全がおびやかされる可能性のあるものはやらせてくれなかった。僕が隠れて修行していたのは、お姉ちゃんに見つからないようにするため、という理由があったからだ。

だから、魔物と戦ううちに、その程度の事には慣れた、なんて口が裂けても言えない。

そう思って1人苦笑いをする僕だった。

複雑な話を作るのは苦手です。なので、これから3話分ほどよくわからない話が続くと思われます。しかし、その後はお姉ちゃんを加えて、日常系を交えたアリエル無双が始まりますので、続きも読んでいただけると嬉しいです。

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