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アリエル、大・活・躍!!

前回まではとても長ったらしかったので、これからはもっと読みやすい量で、何話かに分けていこうと思います。

おばあちゃんに腕時計をもらって女の子にしてもらった後、僕はすぐに王都を目指した。

朝早く家を出ていたおかげで、なんとか2時には、目的地のギルドへとたどり着けていた。

「うわぁ、大っきいな〜」

僕は目の前にそびえ立つ大きな建物を見て呟いていた。

端から端まで、50メートルはあるかと思われた。

その立派な様子に驚きながらも、僕は入口の門をくぐる。

中に入ると、たくさんの人が目に入ってきた。

僕は天井に吊るされた、新規登録の方は受付こちら、という看板を見つけて、矢印に示された方へと向かって進んだ。

ギルドの中は人で溢れかえっていたが、幸い、新規登録をしにきている人はいないようで、自分の受付はすぐに済みそうだった。

いよいよ冒険者になれるんだ、と胸が踊り、小走りになりながら受付に行く。

僕が受付、と書かれた札が置かれた机の前に行くと、受付のお姉さんと目線が合う。

なんでこんなところに女の子がいるんだろう、とでも思っているのか僕のことを不思議そうに見つめてくる。

「あの、冒険者になりたいんですけど……」

緊張で少し声が震えたが、受付のお姉さんは僕のいいたいことを理解したのか、微笑んだ。

「冒険者の新規登録ですね?」

「はい!」

穏やかな口調で話しかけてきたその人は、優しそうなお姉さんだった。笑顔で僕に対応してくれて、すぐに緊張も解けた。

「えーっと。女の子に務まる仕事って、あまりないですよ?怪我する心配がないのは、薬草取りくらいですかね?」

何やら、不安げに話す女の人。

おそらく、僕の見た目が女の子だから、僕がか弱いとでも思っているのだろう。

そこで僕は、腰に手を当てて胸を張った。

「大丈夫です!私こう見えても強いですから!」

「う〜ん。でも、そうは言ってもねぇ……」

少し困った顔をする受付の人。

「こう見えて、素手でダークウルフ倒せます!」

僕が事実を示そうと実績を話すと、女の人は笑った。

「ふふっ、冗談がうまいのね!それは最近の噂の男の子の話かしら?」

「え?いや、本当に倒せますけど?」

冗談だと思われたようなので、訂正する。

すると、きょとんとする女の人。

「えっと、貴女のお名前は?」

「アリエル・ナーキシード、13歳です!噂の男の子と名前と歳が同じですが、偶然です。私、女の子ですから!」

僕は、もう女の子だから噂になっている人物とは間違えられないもんね、と自信を持って答えた。

そして、お姉さんに見せつけるように、その場で一回転してみる。髪がくるっと弧を描くのが見てて面白い。

「へ、へぇ〜〜。そうなんだ。」

変なものを見た、と言った感じで見て来る受付の人。

最初は戸惑いを持っていたようだが、この女の人はしっかりと僕にギルドの説明をしてくれた。

そして、僕は難なくギルドへの登録を終える。

よしっ、これで依頼が受けられるようになった!

僕は1つ目の目的を達成できた、と思って嬉しくなり、スキップをしながら依頼の紙が張り出されている壁のところへ行った。

通常、ギルドでの依頼の受け方は、2通りある。

1つ目は、壁に貼られた紙の中で自分に合った依頼を見つけたら、それを壁から剥がして受付に持っていく、という簡単なもの。

そして、もう1つが、多数向けの依頼だ。これは、貼ってある紙を剥がしすのではなく、紙の下にある署名欄に名前を書くのだ。

こうして、名前が書かれた人達の中で、それぞれの働きに見合った金額が支払われる。

なぜ団体向けの依頼が存在するのかと言うと、個人だと全部の責任、つまり依頼を果たせなかった時の違約金の請求は自分にくるが、団体向けだと、ある一定の働きをすれば報酬は必ず一定額もらえる上、違約金が分割されるのだ。

ここだけ聞くと、団体向けの依頼の方がいいようにも思えるが、団体で挑む分、かなり強い魔物相手の事が多いらしい。

だから、依頼選びは慎重に行うのがいいハンターなのだ!

というのは、先ほどお姉さんから聞いた受け売りだ。

「うーん、どれにしようかなぁ〜」

僕は、大きな壁と、そこに貼られたたくさんの紙を見つめて、吟味していた。

マッドラビットC級の討伐とかあるけど、ダークウルフがA級ということを考えると、相手が弱すぎて自分のためにならなさそうだし……

僕は、ギルドでの依頼を名前を広めるという目的だけでなく、自分の技術を向上させるようになる、という目的も兼ねて受けるつもりだったので、あんまり弱い魔物相手には戦いたくない。

壁に貼られた紙を何枚か見ていると、一枚の団体向けの依頼を見つけた。赤い文字でギルド、と書かれていることから、この依頼はギルドから出されてれているらしいことがわかる。

「ダークウルフの群れ、100匹討伐?!」

ダークウルフと善戦できる僕でも、さすがに100匹の群れと戦ったことはなかったので、自らの挑戦も兼ねて、ダークウルフの群れの討伐依頼を受けてみることにした。

この依頼の署名スペースに、近くに置いてあったペンを使って名前を書いていると、隣にいたおじいさんが僕の事をすごく心配してきた。

僕は少し苦笑しながら、大丈夫です、私強いですからって言っておいた。

おじいさんにはますます意味深な顔をされるけど気にしない。

僕は署名を終えると、もう一度依頼の紙を見た。

そこには、ダークウルフの群れがいる場所と、時間指定無し、という言葉が書いてある。

時間指定とは、いつまでにこうしてほしい、という条件を追加することだ。

右腕につけている腕時計を見ると、3時を示している。

えーと、確かここに書かれてる魔物森までは、王都から30分くらいって受付のお姉さんが言っていたから、往復一時間くらいで帰ってこれるのかな。

お姉さんが、依頼の指定場所としてよく出るから、と教えてくれていたのが早速役にたった。

おばあちゃんの家でクッキーを食べて来ていたので、お腹はあまり空かない。このままこうしていても、やることはない。宿をとるのはもう少し後でも問題無いだろう。

僕は頭の中で考えると、地図を取り出して、依頼に指定された場所、魔物の森に向かった。

思い立ったらすぐに行動したほうがいいと思った僕は、すぐにギルドを出て依頼の指定場所へ向かった。

歩いていると、すぐに王都を抜ける。平らな石が敷き詰められた道があるので、魔物の森へは、地図を見なくても迷わず行けそうだった。

それからさらに歩く事数分後、徐々に木が増え始め、道らしき道がなくなってくる。どうやら、森に入ったようだ。

「確か、備考欄には森の中の平らな広場みたいな場所にダークウルフがいるんだったよね」

僕がそう言いながら歩みを進めて、30分ほど経った頃だった。

すぐ先に、依頼用紙に書かれていたような広場、芝生が一面に生えたひらけた場所が目に入った。

大きな木の間を通り抜けて、芝生を踏みしめるように進んで行く。

すると、剣の弾かれるような音が聞こえて来た。

すぐそこでは、ダークウルフと交戦中の男の人達がいた。

「うわ、本当に100匹くらいいる……」

目の前では、すでに何人もの男の人達がダークウルフと戦っていて、どうやらかなり押されているようだった。

しかも、ダークウルフの大半はひらけた場所の真ん中に立ち止まり、その戦闘を傍観していた。

どうやら、完全にダークウルフに遊ばれているようだった。

僕が呑気に周りを見ていると、怒号にも似た声が聞こえて来た。

「お嬢ちゃん、逃げろ!!あいつら強すぎる!!俺たちじゃ守りきれねぇ!!お嬢ちゃんが後悔する前に、早く遠くへ逃げるんだ!」

声の聞こえた方を見ると、大きな剣を構えた男の人が僕の方へ駆け寄って来ていた。

来て早々帰ることを促されてしまうという変な状況に首を傾げつつ、まぁ、女の子の見た目だし、弱いと思われるのも仕方ないのかなと納得する。

「大丈夫です!私、強いですから!」

僕がニコニコしながら答えると、話していた男の人のところにのろのろとダークウルフがやって来た。

「いや、なに言ってるんだよ!いいから逃げろよ!」

男の人がそう言うのと同時に、ダークウルフがその巨体を浮かせて飛びかかって来た。

とっさに、大きな剣でその爪と牙をガードする男の人だが、この人の剣と、ダークウルフの腕が押し合っていて、既に形成はダークウルフの方にある様子だった。

「逃げろ!ここから離れるんだ!!」

男の人が僕に向かって何か話すが、ガウガウと狼の声がうるさくてよく聞こえない。

「頼む、早く、早く逃げろよお嬢ちゃん!俺が死んだら次はお嬢ちゃんなんだぞ!」

必死に僕に向けて話しかけて来る男の人だが、本当に何を言っているのか聞こえない。

「ダークウルフの声のせいで、なに言ってるのか聞こえないです!」

1匹のダークウルフと、剣で戦っている男の人。ダークウルフはガウガウ言いながら楽しげで余裕のある様子なのに対して、男の人の方は、必死に剣を両手で抑えている感じ。

「くそったれ!このクソ狼が!!嬢ちゃん、剣を構えろ!!って、丸腰じゃないか、死ににきたのか?!」

男の人が、意識はダークウルフから逸らさずに、一瞬目をこちらに向けてくる。

「ガウ!ガル、ガルルルルッ!!」

相変わらずダークウルフは声を出している。

「くっ、駄目だ!もう堪え切れない!!」

男の人が何か言った時、ダークウルフはその声をより一層荒げて男の人に遅いかかろうとした。

「ガルルァァァアアアッ!」

男の人が必死に何かを伝えようとするが、ダークウルフのせいで聞こえない、ついに、その状況に耐えられなくなった僕は、ダークウルフの方へ一気に駆け出して、右手を思いっきり前に突き出した。

「もう……お前うるさい!」

僕の右手がダークウルフの体に当たるのと同時に、バギャッという、骨の折れる音がして狼が群れの元へと飛んでいく。

「あの、さっきなんて言ってました?すいません、ダークウルフのせいでよく聞こえなかったんです」

僕は本当に思っていた事を素直に聞いた。

ただの質問だったのに、男の人は僕を見て数十秒固まった後、ゆっくりと動き出した。

「え?あ、ああ……な、なんでもないよ」

「あ、そうでしたか。あなたがずっとダークウルフと遊んでたみたいでしたから、手は出さない方がいいかな、と思ってたんです。でも、ダークウルフのせいで何か言ってるのに、全然何言ってるのか聞こえなくて……獲物を横取りしちゃったみたいですいません」

僕は頭を下げて素直に謝った。すると、男の人が慌てて頭を上げてくれ、と言ってきた。

「別に、遊んでいたわけじゃないんだけど……あれ?俺、巷じゃ有名なB級冒険者のはずなんだけどな」

どうしたんだろう、凄い自信なさげにしてる。しかも、後半声が尻すぼみになっていって全然聞こえなかったし。

それに結局、僕に話しかけてたわけじゃなかったみたいだし。

僕はまあいいか、と呟いた。

そして、手を開いたり閉じたりして調子を確認する。

うん、万事いつも通りだ。これならいける!

僕は自分に気合いを入れるつもりで言った。

「ダークウルフ100匹と乱闘、上等じゃないですか!自らへの鍛錬と思って、木の棒は無しです。素手でいきますよ!」

僕は、ダークウルフの群れに走って突っ込んでいった。

すると、1匹のダークウルフがこちらに向かって口を開き、牙をむき出しにして食べようとしてくる。

おそらく、僕くらいの体なら簡単に飲み込めてしまうんだろう。

でも、そう上手くはやらせない。

「こっちも命がけなんだ、手加減はしないっ!!」

僕はそう言うと、口を開いていたダークウルフの顎を思いっきり足で蹴り上げた。

グチャッという音と共に、ダークウルフが宙に弾き飛ばされる。

続けて、それを見ていたダークウルフが、2体同時に僕に爪を立てて切り裂こうと腕を振り上げてきた。

でも、その程度の攻撃は効かない。僕はその場でジャンプしてとびあがると、ダークウルフの攻撃の間合いから一度外れる。

ここで、2体のダークウルフの爪が空振りし、上空にいる僕がどこにいるか探している。

この2体に僕を見つけさせる暇は与えない。

僕は空中で両足を開いて、地面に落ちていくのと同時に、勢いよく両足のかかとを振り下ろした。

その攻撃が、2体の頭にあたり、粉砕する。

かかと落としを決めたら、ダークウルフの2つの頭を踏み台に、僕はくるりと空中で一回転して着地する。

「うん、ダークウルフはどこでもダークウルフだね。王都だから強いかと思ったけど、全然そんなことなかったね!」

僕はダークウルフの群れがに向かって、挑発するように、ニヤリと笑って見せた。

そして、その様子を見たダークウルフ達が、僕をキッと睨んでくる。その場にいたダークウルフ達がだんだんと僕の方を向き始めた。

そして、その状態がしばらく続いたかと思われた時だった。

「ワオオオオオオオオオン!!!!」

どこかから声が響いた。すると、それを合図にしたかのように100匹のダークウルフ達が僕に向かって走り迫ってきた。

「右、右、左、正面、右、正面、正面左斜め前」

僕は淡々と、どこのダークウルフから襲ってくるかを言い上げる。

そして、突っ込んできたダークウルフを、殴る蹴るして飛ばしていく。一撃一撃を頭や腹に、丁寧に決めていく。

「後ろから来たって、無駄!!」

僕の背中を引き裂こうとしたダークウルフを後ろ蹴りで突き飛ばす。

はっきり言って、余裕だった。

こうして、僕は3分もかからず狼の群れの山を作り上げてしまった。

「たくさん倒して来ましたよ!」

僕は嬉々としてギルドのお姉さんに話しかける。

まだ歳の浅い僕に気を使って、最初に話したお姉さんが僕の担当になってくれたらしい。

「……はい。わかりました、達成金は、こちらです……」

呆れた顔で、傷ひとつない僕に袋を渡してくれる女の人。

よし、これで宿代が手に入った。袋の中は……

「わぁ!金色ばっかりだ」

これ、どれくらいの価値があるんだろ?

「しめて、1000万メキアです」

「ええっ!?1000万!!凄いですね〜!でも、こんなにもらっちゃっていいんでしょうか?」

いまいちお金の価値がわからない僕はお姉さんに尋ねた。

すると、お姉さんは首を振って説明してくれた。

「いえ、ダークウルフは一体100万メキアする高級な魔物です。本来ならもっとお出しするべきなのですが、もうお金がギルドになくて……依頼に参加していた他の冒険者の方々があなたに助けられたからと、報酬を辞退していただけたおかげで、これでもマシになった方なんです……追加報酬はまた今度お支払いします。」

暗い面持ちで話すお姉さん。

「気にしないでください!私の目的はお金じゃないですから!これだけ頂ければもうお金は結構ですよ」

僕は自分から追加報酬を辞退する。すると、ぱあっと顔色を明るくするお姉さん。

「本当ですか?!ありがとうございます!!あれ?じゃあ、なんで魔物と戦うんですか?」

不思議そうな顔をされる。

ここで僕は、よくぞ聞いてくれました、と心の中で思って、胸を張る。

僕がギルドを通して魔物と戦うのか?そんなの、決まってる。知名度を上げて、いろんな人に、何よりも女神騎士様に自分の強さを証明する。

そう、それが意味する事なんて、1つしかない。

「私、勇者になりたいんです!」

僕は満面の笑みで答えたのだった。

アリエルはどうなるのか、ここから、どんどんと話を盛り上げていきます。うまく書けるかはわかりませんが、今後のアリエルの活躍に乞うご期待!!

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