ファーストキス。
昨日の事が広まってしまったのか、桜嵐龍に他の族がぞろぞろとやって来た。
目的は私。
私が欲しいらしい。
力が目的で。皆、ナンバーワンを目指してるみたい。
「えっ…」
あまりの人数に言葉を無くしている。しっかりしろよ。総長。
『お前のトコの姫を貰いに来た』
大人数で喋っているから迫力がある。
「コイツは、蓮華は渡せない。だって……俺の彼女だから。」
涼、照れるな!キマるとこがキマんなくなる!!
「そんなことぁ、どうでも良いんだよ!さっさとよこせ!!」
「私はここを抜ける気はないよ?勝手に争われても困るんだけど?」
桜嵐龍は弱いし、涼は慕われているから、皆から畏怖の目でみられないが、他の族に入ったら……女友達ができるどころか、人が寄らなくなるわ!!
「女は黙っとけ!!女は男に従っておけばいいんだよ!!」
「ああ!そうだ!!ブスは黙っとけ!!」
ひひひひっと嘲笑って、ブスが粋がってんじゃねぇ。などの暴言を吐く。
「おい、辞めとけ!お前等!このお姫様はやべぇぞ。」
「あ、この間の!アンタのせいでアイス、1000円分無くなったんだけど!!」
「すまん。すまん。そういえば、お姫様がやっていた間接外しをやってみたんだけど、何アレ?糞いてぇ。」
顔をしかめながら腕をさする。
「慣れればどうてこと無いよ?」
「慣れるまでやったの?」
「うん!最初は私も痛くて辛かったぁ」
「へぇ」
「うん!」
「一見和やかな会話なのに…怖いっス!!間接外しとか物騒です!!」
周りがうんうんと首を縦に振る。
「とりあえず…
俺は蓮華を愛しているんだ……チュッ。帰ってくれ。」
────っ!!私のファーストキスがぁ!!口を拭きたい。
「ヒューヒュー!じゃ、お邪魔な俺らは帰りますか」
想像以上のキス効果。
得たものより失ったものの方が多い気がする。
この時私は気付かなかった。キスしている所を見て舌打ちをした人がいることに────。
ここまで読んで下さり、有り難うございます!
キスはキスでも全く甘くない。そんなシーンが書けて嬉しいですヾ(^v^)k