総長よりも強い姫
もう、この高校に入学してから1週間がたち、だいぶ高校生活に慣れてきた頃である。
だだだだだだ。
大きくて、荒い足音が鳴り響き、思わず顔をしかめる。
がらっ。
ドアを乱暴に開け、青…いや、紺に近い色の髪をした、顔の整った顔をした少年が顔を覗かせた。
「霧…!!俺の族に入んじゃなかったのかよ!!お前、強いから入って欲しかったのに…くそっ。」
だんっとドアを叩き、そこが凹んだ。
それを見ると今度は青い顔になり、やべー。親に連絡が入っちまう。
ああああとブツブツと呟いている。
紺の髪をしていながら、小心者のようだ。
「俺の族…」
まさかこんな小心者が総長なんてことは無───
「ん。俺は桜嵐龍の総長だ。この辺ではかなり有名だ。ふふっ。」
自慢気に笑う。
もし、この男が女の人なら、おーほっほっほっと笑っていそうである。
桜嵐龍…聞いたことがある。
しかし、強いからなどという良い理由ではなく……弱いくせに名前が格好良いため、名前負けしていることからかなりの噂になっていることからである。
きっとこのことを知らないんだろうな。
もし、知っていたらこんなにも自慢気に話すはずないし…あははは…思わず苦笑が漏れる。
「ところで、お前誰だ?」
もっともな意見である。私は誰か知っているが…鈴木涼。15歳。喧嘩は弱いが、人望が厚く、本来はこんなに弱いのなら、人があつまらないが集まり、桜嵐龍という暴走族ができた。
─────私は総長という位置だけでなく、情報集めもしていてこの男、鈴木涼のことを知っていた。
私のハッカー力では私の右にでるものはいないであろう。
ふっふっふっ…。格好付けてみた。
──……なんかイタいな。自分…。
「俺は鈴木涼。桜嵐龍の総長だ!!」
「──…お前が。」
語尾が震えている。
笑いを堪えているのであろう。
お前が…あの噂の桜嵐龍の総長なのか。
と続けようとしたのであろう。
何故、あの噂を知っているのかというと、元総長の私の幼なじみなのだから、多少の情報は持ってる。勿論、裏の…ね。
「あ!!」
「なんだよ」
「ここに来た目的を忘れてた!!あ、あのさ…」
目を見開いたあと、何かを思い出したのか、顔を赤らめた。
しばらく口をもごもごと動かし顔をパチンと叩き、活を入れた。
そして一息大きく吸って吐き出し、大きな声で言った。
「一目惚れしました!!俺と付き合って姫になって下さい!!」
一目惚れ…いったいコイツは何人に一目惚れしたのだろうか。
───そう。鈴木涼は惚れやすい。
そして、コイツの何よりも厄介なのは、しつこいという事。
だから私が断ってもOKするまで、何度でも告白するだろう。
はぁ…。
私には選択肢が1つしかない。
「よろしくお願いします。」
こうして、総長よりも強い姫ができあがった。
私としては全く嬉しくないんだけどね。