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キノコ

 とうとう私の青春が…彼氏作りたいし、女友達と放課後、クタバーでお茶したい。

 中学の頃は女友達なんて居なかった。

なぜなら、おもいっきり私はヤンキーだったからである。

だから皆怖がって近づきたがらなかった。

私の周りにいたのは常にカラフルな頭の舎弟だけであった。

だからこそその思いは大きい。


「あああ!!やりたいことがありすぎるよー!!」


「五月蝿い。黙れ。どうせ、青春がぁぁとか考えてんだろ。」


白い目で私を見た。

そしてかたをすくめ、毒舌をはいた。


「その通りです…なんで私の心の中分かるの?いっつも正確に当ててるし。…もしかして、私が好きとか。ドキドキ…ちょっ、そんな冷たい目で見ないで。怖い怖い怖い!!」


「…。死ね。思っていることが顔に出ているからだ。死ね」


「2回も死ねって──」


続きを言おうと口を開いたが、遮られた。


「なあ、おい。ちょっと聞いてくれよ。あのな…昨日、蓮華のチームに入ったんだ…でも、蓮華がいないんだ。うっうっ。うわーん。蓮華がいなきゃ、入った意味がないのにぃぃぃいい!!」


鼻水を垂らし号泣。

金髪のロン毛のヤンキーが号泣…うわぁ。これは引くわ…


「2人とも冷めた目で見ないでよ…慰めてよ!!」


「…。ドンマイ。」


「……………。」


はぁ。と溜め息をついただけで、その続きは無かった。


「蓮翠…何も言わないとか酷すぎるだろ…」


部屋の隅っこに体育座りして、床にのの字を書いている。

私の嫌いなキノコが生えそうなくらいじめじめしている。


「ちょ。ええ!!本当にキノコが生えているよ!!キモイキモイキモイ。」


「キノコが嫌いなのか?」


「大嫌い!!あの食感や味!!それに匂い!!食べ物の中で一番嫌い。見るだけで嫌!!」


「美味しいのになぁ。俺はキノコが一番好きな

んだ。───見て」


そう言って差し出したのはキノコの形の消しゴム。

大切に大切に小さな袋に入れて保管していたようだ。


「……お前って突っ込みどころ満載だな。」


「消しゴムを袋に入れて大切にしている奴始めてみたわ。」


「俺の事、何気に馬鹿にしているだろ。」


「べ、別に馬鹿になんてしてないよ」


嘘だけどね。

勿論この嘘はすぐにばれてしまう。 

少し棒読みになってしまったせいであろう。


「皆、俺を馬鹿にして…こっちが今度は馬鹿にしてやる。…覚えていろよー!!」


相当悔しかったのか、涙目で顔が真っ赤である。

最後には一昔前の悪役のセリフとしか思えない言葉を残して走り去った。


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