花火
花火を見に行こう。
穴場、知ってるから。
彼女に言われるまま、
僕は彼女に着いていった。
道順はめちゃくちゃだった。
寂れた公園を抜けて、
人気のない資材置き場のフェンスを上って、
びゅんびゅん車が通る道を駆け抜けた。
彼女はとても楽しそうで、
僕もなんだかおかしくなって、
暑い暑い夏のあの夜、
僕らはずっとふたりで笑っていたんだ。
目的地には僕ら以外は誰もいなかった。
そして花火が打ち上がる音がして、
暗闇にぱっと花が咲いた。
僕らはふたりだけで、それを見つめた。
花火が上がるたび、彼女は歓声を上げた。
笑顔で拍手をして、たまやーと叫んだ。
僕は花火の色に染まった彼女の顔を見ながら、
彼女は花火みたいな人だと思った。
どきどきさせられる。
笑顔にしてくれる。
切なくさせられる。
好きということか、と僕は胸を押さえた。
帰り道、彼女は何も話さなかった。
僕は僕で、胸がいっぱいだったから、
きっと彼女もそうなのだろうと、
勝手に想像していた。
翌日、彼女は逝った。
大量の薬を飲んで。
昨日の別れ際、言葉はなかった。
遺書もなかった。
なんてあっさりとした別れ。
僕は胸が痛くて痛くて、
消えゆく花の美しさと切なさに、
つぶされてしまいそうだった。
彼女は生きた。
花火のように。
彼女は逝った。
花火のように。
もう少し改良できそうですが、今はこれで精一杯です。
読んでくれてありがとうございます