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夢絵空事  作者: 最戸一
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序章 雪

 はじめての投稿です。誤字,脱字などあるかもしれませんが,また,読みずらいなどご不満もあるかもしれませんが,お許しください。それでも読んで楽しんで頂けたら幸いです。ご感想待ってます。

 夜,何もない星もない夢の世界,一人の少年がいる。歳は12歳ほどの小柄で黒いマントで顔を覆い身を包み,暗闇の中でうずくまっている。マントで隠れた顔は口が少し見えるだけで,表情はわからない。少年はただ呟く。

 「きらい,こんな世界はきらい。なぜ,この世界は何もないの,なぜ,ここはこんなにもつまらないの,なぜ,僕はここにいるの?」

 少年はつまらなそうにただ待つ。そして,光が見え少年はうれしそうにほほ笑む。


 とある高校の教室に,一人の少女がイスに座っている。少女は,自分が夢を見ていることに気が付いている。夢の中でも教室にいることに,学校にいることに,嫌になっていた。いじめられているわけでもない,しかし,特別に楽しいこともない退屈な世界であると,少女は思っていた。

 「どうして,私は夢の中でもここにいるの?」

 高校2年になっても一人も友達がいない,部活にも入らず,ただ近いという理由で入った学校,昔から一人でいること多かった。それが楽だった。何もしないで,時間だけが過ぎる。

 「?」

 突然,前にある黒板が光ったと思うと一人の少年が教卓の上に座っていた。

 何が起きたか分からなかった。夢の中だとわかっていても少女はただ戸惑っている。なぜ,いきなり全身を黒いマントで覆った小学生にしか見えない少年が現れたのか。不思議に思っていると,

 「あれ,君,まっいいか,はじめまして,僕は夢乃宙ゆめのそら勝手に夢の中にお邪魔します。友達が少なそうなキレイなお嬢さん。」

 と少年は笑いながら失礼なことを言った。いきなり自己紹介をされたので戸惑いながらも少女も,

 「えっと,姫野有希ひめのゆきです。」

 と二人は自己紹介をした。

 

 僕は有希の夢に中にいる。僕の夢はなぜか何もない。はっきりいって退屈だ,しかい,1つだけ面白いのが,稀に他人のう夢に入れる。なぜかはわからない。なんにせよ偶然入れたのだから楽しもうと思った。他人の夢で必ず面白いことが起きる。それこそ,僕は僕の役目だと思っている。実際は楽しければどうでもいいけど,さって,ここまで彼女に説明した。

 「なんとも,退屈そうな夢だね。」

 笑いながら言うと,彼女は黙ってうつむく夢は見れても心は読めないので,とりあえず周りを見る。ただの教室のだ。・・・しかし,明らかに外はおかしい,今は6月なのに雪が降っている。基本的に人の夢に入るとその人の感情が反映される。嬉しければ晴れ,悲しければ雨,しかし,雪は初めてだ。彼女は何を思っているのかな?

 「とにかく,ここにいても楽しくないから移動しよう。」

 「移動ってどこに?」

 あ,やっと喋った。しかも,聞き取るのが難しい音量で,まあ耳はいいから聞こえるけど,

 「外,ここにいても退屈だから」

 当たり前に言ったが,彼女は不満そうだった。地味な服の背の低い,まあ,今の僕よりは高い,栗色をした長い髪と童顔が特徴でかわいいらしいのに雰囲気が暗い,もったいないな。と思っていると。

 「ここは私の夢ですよね。なら,別に君のわがままに付き合う必要はないと思うけど,私はべつに退屈でもないし。」

 嘘つけ,最初に言ったこと根に持ってるな,めんどくさいと思っている。先に面白いこと方から来てくれた。彼女に聞き取れない声で笑いながら呟く。

 「くすっ,ゲームスタート」


 夢の中に出てきた。奇妙な少年《宙》の空事のような話を聞き,不思議と嘘じゃないと思っていた。なぜだろうか?マントで顔は口元しか見えないがかわいらしい少年だと思った。言うこと少し腹がたつけど,退屈でいやな夢の中いい暇つぶしができると思ったけど,人に流させたくないので,と言うかなんか悔しいので,少年の意見を却下した。大人げないかなと少し自己嫌悪していると,突然に大きな地震ような振動が,立っていられず転びそうになると宙が支えてくれた。体格に差があるのに簡単そうに私の体を支えている。やがて,振動が止まると,宙が,

 「少し重いかな?」

 失礼なことを言ってきたので,顔が赤くなる自覚しながら,

 「重くないよ。それよりも変なとこ触らないで!」

 「ごまかした。」

 本当に,失礼で口が減らない少年だ。少し自分の体重を気にしながら,なんとか立ち直る。肉体的にも精神的にも,軽く泣き目でいると,

 「あはは,気にしてるんだぁ?たぶん,嘘だよ?」

 なぜ,疑問形なのか?しかし,言葉にするより早く異変に気づいた。教室が消えて,真っ白な雪の上に立っていた。夢の中でのことでも何か変だ。自分の夢ではないような奇妙な違和感がある。何が起きたか戸惑っていると空から雪が降ってきた。その瞬間,私は強い眠気がしてそのまま寝てしまった。

 目が覚めると,先の自部の夢とは違う一面に花が咲きなんとも美しい世界だった。少なくとも自分の夢ではないそう思っていると,後ろから

 「あ,目覚めた?よかった。」

 と,宙が声をかけてきた。先ほどと違いマントから顔を出している。黒い肩まである髪に,黒く輝くような無邪気な瞳が印象的なかわいらしい顔だった。

 「ここはどこ?」

 とりあえず,一番気になることを聞いてみた。

 「ああ,ここは別の夢の世界の一部の幻,まあ,君の夢の何もないところに作った休憩所かな。」

 勝手に人の夢の中に休憩所をつからないでほしいな。と思っていると宙は突然,顔を近づけてきた。体を起して座っていたので肩を手で捕まれて動けない自分より小さいのに力が強すぎる。そのうえ,この子パーソナルスペースが狭い。近過ぎる。思わず目を逸らすと

 「さて,本題に入ろうか。」

 顔が近いので,消えそうな声しか出せず,

 「本題って?」

 聞くのがやっとだった。宙はとても楽しそうに笑いながら,

 「もちろん,眠り姫の目を覚ましに」

 訳が分からなかったが《姫》と言う時の彼は意地悪そうな顔で,皮肉を言っているのだとわかった。


 少しいじわるが過ぎたか。拗ねた有希の機嫌を取り,この夢はある条件を果たさないと起きれないことを説明した。まあ,僕もまだ数回しか経験したことがないが,面倒なので簡単,

 「理由はわからないけど,僕が入れるこの夢は《幻実》と名づけたんだけど,半永久的に目覚めないみたいなんだよね。つまり,現実で死んだも同じかな?だから,起して現実に戻らないと,以上」

 「あの,もう少し詳しく教えてほしんだけど。」

 「いや,僕も詳しく知らないんだよね。」

 「笑いながら言われても信用できないよ。」

 「とにかく,今は目を覚ますのが先,まあ,目を覚ます方法はわかっているから心配しないで,」

 「もう諦める,君に任せるよ。で,何をするの?」

 よし,勝った。と達成感に浸っている場合じゃない,今回は急ごう。

 「さっそく,目を覚ます方法を教えるよ。」

 そう言うと,有希は少し緊張していた。たぶん。

 「空が晴れれば目を覚ますよ。」

 簡単に言ったつもりだったが有希は難しそうな顔をした。なぜ?


 宙のが言うには空を晴らすには心にある何かが現実を拒んでいるそうなのだ。それが夢で幻となり目覚めない原因となっているらしい,ここまで聞くのに大変だった。現実では,死んだも同じそう聞くと怖くなってきて不安だ。だから,必至なったけど,あの子供はろくに質問に答てくれない。しかし,不思議とあの笑顔を見ると信じよう大丈夫だと思う。なぜかなぁ?

 しかし,それよりも考えないといけないことがある。宙が言うには基本は天気でその夢が覚めない原因がわかるのだが,私の夢の天気は雪である。宙は今まで経験したことがあるのは,曇りか雨,または雷などがあるそうなのだが,雪は初めてだそうだ。何が原因か聞かれたが,心当たりが多すぎる。自分の人生に悩んでいるるのが原因だと言ったら,それなら,曇りで雪は降らないらしい。不安になってきた。

 「問題は幻実は世界で現実逃避が形になった本体の化け物がいるのだけどそれが見えなかったのが気になるかな。どんな夢でも僕のよりはましだけどね。あの夢でさえ」

 宙は悲しそうな顔でそう呟くように言った。しかし,すぐに笑い

 「だから,僕はどんな夢で楽しむよ。」

 その笑顔を見たら不安が消えた。とりあえず,原因がわかるまでここで休めばいいと思っていたら,また,雪のが降ってきた。


 最初は,花弁が落ちてきたのかと思った。でも,違う。雪だ。なぜ?ここは僕の作った幻で彼女の夢の天気は関係ないはず,考えててみたら,この夢の世界では雨や雪が降っても水たまりはできないし雪も積もらないはずだ。天気は感情であり,夢の一部ではないからだ。しかし,教室が消えたとき雪の積もった白銀の世界だった。ああ,ようやくわかった。この幻の化け物が,さて,どうしよう?

 花が消え,雪が積もってきた。僕の花の幻は人の借り物で幻,幻実より強くない。このまま,眠らされてしまったら手も足も出せない。直接的に攻撃されなくても厄介なことだ。まあ,幻実の本体は本人の性質を写すから彼女に似て物理的な攻撃は苦手かな?とりあえず,彼女の天気は曇りだ。なら,悩みを不満を解消すればいいはずだ。さってと,楽しくなってきたな。まずは,彼女を,有希を助けますか。


 目の前が真っ白に染まる。私はその吹雪の中で見た。雪の中でひとり寂しげに空中に立つお姫様を,小さいころ見た絵本の中のお姫様。でも,本と違いとても寂しそうだった。このまま,眠って凍死しそうな吹雪の中で突然,黒いマントに包まれた。見ると彼の黒いマントが何倍にも伸びている。

 「あれが,君が作った夢,昔見た絵本などモデルに作った,絵空事の本体。君は寂しくても何もできなかった。何もしなかった。寂しいことに悲しむのでもなく苦しむのでもなくただ悩んだ。それが,君の幻実で幻,素直に寂しいと泣けなかった。それが雪となり心に積もった。」

 宙は責めるわけでもなく,怒るわけでもなく,ただ慰めるように,子どもに言い聞かせるように話した。吹雪の中,宙は私を抱えると飛んだ。さっきは重いと言っておきながら軽々とお姫様のところまで飛んだ。

 「さて,何をすべきか分かってるよね。」

 最初に見せた時と変わらない笑顔で優しい声で宙は言った。

 「うん。」

 たった今,覚悟できた。自分の現実と向き合いたいと思った。


 空を晴らすにはその夢を見る人が心に抱えるものと向き合えばいい,言うのは簡単だけど実際は難しいだろう。しかし,彼女なら平気だろう。なんとなく彼女のことが気に入った。だから,見守るだけにしよう。空中に彼女が立つことができるだけのマントを伸ばしその上に乗せる。彼女の懺悔するかのように,または,祈るかのように話し始める。その先の悲しそうなお姫様に,

 「私はただ普通に迷惑のかからないように生きたかった。怒られることがなかった。空気のようにただそこにいるだけで何もないそれが当たり前だった。昔見た絵本の中のお姫様のように大切に育てられてきた。けど,違う私は人形で何もしなかっただけで,悩んで解決しなかった。だから,私は自分で自分を叱ろう。何もできない自分から,何かする自分に,」

 彼女は泣いていた。雪が少しずつ溶けて,曇りが雨に,そして,少しずつ晴れに,不意に彼女がこちらを向き,

 「そして,彼のように笑えるように,努力したい,ううん,する。」

 その誓いに答えるように雪のお姫様は微笑み,雪のように消えた。そして,世界が,彼女が,目を覚まし始めた。楽しかった。


 「まあ,なかなか楽しい夢だったよ。」

 今にも消えそうな世界で彼が笑う。これで,お別れ,いいまで何回も経験したことがあるはずなのにとても悲しくなった。泣いてしまった。彼は相変わらず,

 「最初からそんな風に泣ければ,こんなに大変思いをしなかったのにね。くすっ,まあ,僕はいい暇つぶしになったけど。」

 いやみだ,意地悪だ。でも,笑顔で見送ってくれる彼にせめて笑顔でお別れしたい。何とか笑いせめてもの感謝の気持ちとして,彼の頬に唇をつける。

 「さよなら宙君,いつか現実で会えるといいね。」

 彼は照れたように,笑いながら

 「そうだね。気がつけばいいけど?」

 よくわからないこと言うと,空中に浮き,彼のほうからも同じことしてきた。

 「さよなら有希,君の夢が楽しい絵空事でありますように。やっぱり,笑顔のほうが可愛いよ。」

 そして,王子様の口付けで呪いが解けたお姫様のように私は目覚めた。


 

 

 いかがでしたか?楽しんでいただけたでしょうか?今後は,ゆっくりでも続きを書きたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

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