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プロローグ
遥と樹は幼馴染。この関係は変わらないと思っていた。
秋風が遥の髪を揺らす。
遥は目を瞑りながら、体全体でその風を感じていた。
『・・・・・気持ちいい、このままずっと、この空間が続けばいいのに』
と、後ろで足音が聞こえた。
遥は、全身が硬直するのが分かった。
「こんなところにいたんだ、遥。酷いな、僕を放って先に行くなんて」
そう言って、樹はその綺麗な顔で壮絶に笑った。
遥には彼のその笑顔が怖かった。
彼の容姿は、誰もが目を止める位美しく
彼の笑顔に落ちない女性は居ない。
遥を除いては。
遥にとって、彼の笑顔は恐怖でしかなかった。
彼の眼の奥が笑っていないのが分かるからだ。
彼が何を考えているのかわからない。
でも、一つだけ遥には分かる事があった。
私はこの人から、逃れられない