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第九章 なぜまた目が覚めたのか

ジェノラの聖なる教会が前方に見え、その尖塔は石化した黒ずんだ指のように天を掻きむしるように聳え立っていた。近づくにつれ空気は静まり返り──あまりに静かすぎて、まるで風さえもここで囁くのを恐れているかのようだった。


内部では、広大なホールが神聖な静寂に包まれていた。蝋燭の炎がアーチ型の影の中で揺らめき、その炎は長く細く伸び、見えない何かに手を伸ばしているかのようだった。


スティクスがリガスの手を引っ張り、黄金の瞳を興奮で大きく見開いた。


「また適性検査したい! 検査したい! 検査したい!」


リガスはくすくす笑い、彼女の髪をくしゃくしゃに撫でた。「落ち着けよ、小悪魔。今回は静かにしよう。あの…前回みたいなことは繰り返さないでくれ」


スティクスは身を乗り出し、武器にもなりうるほどの愛らしさで目を輝かせた。


「パパ、お願い…パパって最高じゃない?」


ザイリアは二人を無表情で見つめた。


「最高? そうね…拳で聖域の半分を壊しかけたまではね。あれはテストだったのよ」


二人は低く、罪悪感に満ちた笑い声を交わした——喜びというより緊張に似た、かすかな笑い声だった。「キシリアの腕の中から、ピアースは大きな目で静かに好奇心を持って見守っていた」


廊下の先にはビショップ・カエルスが待っていた。銀糸で刺繍された紋章がローブにきらめき、顔には静寂が刻まれていたが、その眼差しには幾世紀もの重みが宿っていた。


「ようこそ、旅人たちよ。ジェノラの光が汝らの道を導きますように」と彼は唱えた。声は静水のように凪いでいた。


そしてその瞳がリガスを見つけた。


一瞬、司教は凍りついた。表情が歪んだ。声は細く、脆く漏れた:


「…お前か」


リガスは嘲笑した。「ああ。お会いできて光栄です、閣下」


二人の間に何かが走った――名付けるには速すぎる何か。一瞥。理解を示す沈黙。次にリガスは影の差す小部屋へ顎を落とした。カエルスは無言で後を追った。


二人は一瞬視界から消えた。低く、かすかな声が響く。笑い声。静寂。再び姿を現した時、司教の顔は平静の仮面を取り戻していた。


しかしリガスは家族に向かって、歪んだ親指を立てて見せた。


キシリアとスティクスは彼を凝視し、疑念が深く刻まれた瞳で睨みつけた。


カエルスは喉を鳴らし、抑えた口調で言った。視線は再び——今度は赤ん坊へと向かった。


「ついて来い」


だがピアスはただ瞬きし、沈黙した。長く留まる視線の重みを既に悟っているかのように。


慣れた優雅さで彼は振り返り、彫刻が施されたアーチを抜け、魔法のエネルギーがかすかに唸る静かな廊下へと彼らを導いた。その先には柔らかく幽玄な光に包まれた部屋があった。壁には古代のルーン文字が刻まれ、神々の息吹のように穏やかに脈打っていた。


儀式に備え、司教の指示に従いながら、キシリアは静かな畏敬の念をもって歩を進めた。彼女はピアーズの小さな手をオーバルキュラムへと導いた。それは装飾的な台座の上に置かれた、暗くガラスのような球体で、表面には潜在的な魔法が微かにうねっていた。


ピアーズの小さな指が球体に触れた瞬間。眩い光が爆発的に噴出し、部屋全体を圧倒的な輝きで満たし、全員の息をのませた。


本能的に、ケアルス司教が手を伸ばし、球体の表面に触れた。


そして――彼は見た。


ほんの一瞬、影が視界に閃いた。


司教はよろめき、胸を押さえながら後ずさった。顔は青ざめていた。光は消え、幻影は消えた。彼の平静は崩れた。他の者たちには何も見えなかった。


「…何だ…この子は一体?」彼の囁きは脆いガラスのように震えた。「子供に背負わせるべき重荷ではない」


誰かが応えるより先に、リガスが動いた。


一瞬の閃光のように飛びかかり、台座からオーバルキュラムを奪い取った。カエルスは身構え、手を伸ばしかけたが――リガスが跳び上がる瞬間、足元の石が軋んだ。天蓋天井が轟音と共に裂け、瓦礫が降り注ぐ中、彼は眩い空へと消えた。


聖なる石に灰のような塵が降り注いだ。


間もなく、外で彼は球体を天へと放った。それは高く、さらに高く舞い上がり――やがて消えゆく星となった。そして――


無音の光の奔流が天を裂いた。空は色鮮やかな帯へと分断された――不自然な、きらめく色合いが星光の傷のように互いに滲み合う。輝きが世界に溢れ、それは美しくも歪んだ光景だった。


教会内部は完全な静寂に包まれていた。キシリアの唇が開いたが、言葉は出なかった。彼女の疑念はゆっくりと、痛みを伴う恐怖へと凝り固まっていく。


スティクスが最初に破った。彼女は目を輝かせて拍手した。


「花火だわ!」彼女は歓声を上げた。「最高。の一日。よ!」


教会の外では、町人たちが足を止め、首を伸ばして空を見上げた。魔法が空を鮮やかな色彩で彩ると、通り全体に一斉の息を呑む声が広がった。


城壁の外では、アストラルと仲間たちが議論の途中で振り返り、渦巻く色彩が夕空を染めるにつれ、困惑から畏敬へと表情を変えていった。


思索にふけるような笑みがアストラルの唇をよぎった。「なんて怪物のような家族だ」と彼は呟いた。


ボリンが鼻を鳴らした。「言うまでもないさ。で、化け物と言えば——これを見ろ!」彼は盾を掲げ、ギザギザのひび割れを睨みつけた。「あの狂戦士の一蹴りで、俺の神話級アーティファクトが欠けたぞ。王国より古い代物が、一瞬で台無しだ!」


ミリが息を呑んだ。「待って——マジで? なんで言わなかったの?! 彼らに弁償させてたのに!」


「ああ」ボリンは鼻を鳴らした。「そしたら顎にまた蹴りを入れるな。パスだ」


一方、ヴェイルは周囲の会話に全く気づいていなかった。柔らかく夢見るような微笑が唇に浮かび、目は遠くを見つめるように虚ろになっていた。


気づかないまま、ヴェイルは夢見るような微笑を浮かべて揺れていた。「彼はただ…ふわふわで。あのふくれっ面…あの頬…まるで混沌の綿毛みたい…」


「ねえ?ヴァイル、聞いてる?」ミリが彼女の顔の前で手を振った。


しかしアストラルはすでに別世界へ。目を細めながら。あの子供の持つエネルギーは普通じゃない。まったくもって。


「またどこかで会うかもしれないな…小さなピアーズ?」彼は呟いた。半分は面白がって、半分はもっと深い何かを込めて。静かな好奇心が、その穏やかな視線の奥で燃えていた。


アルゴス家は風変わりな変わり者の集まりのように見えたかもしれない…


だがアストラルには、彼らが決して普通ではないという確かな予感がした。


ジェノラでの心温まる夕食の後、


「よし、みんな」リガスは背筋を伸ばし、おなじみの自信に満ちた声を響かせた。

「夜も更けた。ぐずぐずするな」


彼はスティクスを肩に乗せた。


キシリアは腕の中のピアーズの位置を調整した。不安そうだが落ち着いていた。


「本当に全部持ったかしら?」彼女は荷物を一瞥しながら尋ねた――ほとんどがピアーズの本と着替えだった。


「間違いないよ、愛しい人」リガスは安心させるような笑みを浮かべて答えた。


こうしてアルゴス家の帰路が始まった。夕闇が夜へと変わり、ジェノラの街が静まり返る中、彼らの声はかすかに響いていた。


はるか上空、聖なる教会の尖塔に、一人の影が佇んでいた。翻るマント、闇に隠された顔。


彼は家族が薄れゆく光の中に消えていくのを見届けた。


その声は夜の空気にだけ届き、柔らかく、畏敬に満ち、そして凍りつくように響いた:


「ついに…見つけたぞ…霜の王よ」


そして——風に舞う煙のように——彼は消えた。


..

.



アルゴス家はようやく自宅に戻った。


ピアーズはキシリアの腕の中で安らかに眠り、スティクスは可愛らしいあくびの連発に負けそうになっていた。小さな拳で目をこすりながら、さっきまで尽きることなかったエネルギーは、ついにまばたきも鈍くなるほど衰えていた。


一日の混乱で完全に疲れ切ったキシリアは、そっと彼をベビーベッドに寝かせた。


しばらく立ち止まり、額にかかった柔らかな髪をそっと払うと、静かに部屋を後にした。


階段を下りる彼女の唇から、疲れた溜息が漏れた。リビングに着くと、ソファにどさりと倒れ込み、顔をクッションに埋めた。


「ああ、ダーリン」クッションに声を遮られながら呟いた。「もう本当に疲れきったわ。ピアーズが5歳になるまでは、もう町には足を踏み入れないでおこう。最低でもね」


ドア枠にもたれかかるリガスは、関節をポキポキ鳴らしながら伸びをしたが、相変わらず頑固なほど明るい笑顔を浮かべていた。


「5歳か? それは長いよ、愛しい人。でもさ——突然の顔面キック事件がなくなるなら、俺も賛成だ」

ニヤリと笑みを深めた。「それに、今までどれだけ楽しかったか考えてみろよ」

テーブルへ歩み寄り、散らばった物資を片付け始めた。

「それに、この静かな生活は俺たちに合ってる。子供たちと二人きりで…お前はハーブ、俺は薪割り。平和だ。大抵はな」


テーブルからピアーズの小さなチュニックを一本取り上げ、二本の指で挟んだ。


「…でもこの子は酒場全体より洗濯物が多いんだぜ。不自然だ」


匂いを嗅ぎ、顔をしかめて呟いた。「確かに…自然じゃない」


背後で柔らかな足音が響く。キシリアが腕を彼の腰に回し、頬を背中に寄り添わせた。声は震えていた。


「オーブルキュラムに気づいていなかったら…」言葉は途切れ、重すぎて続けられなかった。


リガスが振り返った。彼女の恐怖に和らげられ、彼の笑みは優しくなった。


彼は彼女の顎を持ち上げ、

親指で頬を撫でた。

「俺は賢い男じゃない」静かに言った。「だが、子供たちを守るためなら、千回でも血を流し、砕け、燃え尽きるさ」


キシリアはまつげを下げた。疲れが溶け、優しい光をたたえた。


「ああ、ダーリン」彼女は囁いた。「だから私はあなたに恋したのよ」


二人の唇はゆっくりと、長く絡み合った。


ピアーズの部屋の近くの階段から、二人の小さな目撃者が覗き見していた。


裁判官のように厳かな表情のピアーズが、スティクスの目を覆うように手を伸ばした。


スティクスは従った…ほぼ。指の間にこっそり「V」の字を作り、覗き見するのに十分な隙間を残した。


「外では、森の風が窓ガラスをガタガタ鳴らしていた」


———


真夜中、家は古い語り部のように梁の間から秘密を囁くように軋んだ。外の葉は共謀者のようにざわめいた。皆は眠っていた。皆は眠るべきだった。


私を除いて。


私は揺り籠に横たわり、昼寝の気配すらなく、目を覚ましたままの団子のように天井を見つめていた。そこでは影たちが低予算の悪夢劇のオーディションを受けているようだった。


母も父もここにはいなかった。普段は私のそばでうたた寝していた——父は立派な熊のようないびきをかいて。今夜は? 遠く離れた場所で。


つまり彼らは…用事中だ。想像しない方がいい。


もうすぐ眠りそうになったその時——


「ご主人様」


私は目を見開いた。またあの人か。


「ご主人様、お聞きください」


見なくてもわかった。彼はもうそこにいた——後悔の風船のように隅にぶら下がって。


さまよう亡霊:青白い顔は生身の肉より光に満ち、未練に縛られたように漂っている。その目は霧のかかった提灯のようだった。


「いったいあとどれほど」と彼は呻く。「この恩恵を私に授け続けるつもりか…


どうか…私の話を聞いてくれ」


恩恵?まったくうざい。一歳児に何を期待してるんだ?まともになれよ。もういい。無視してやる。


「提案がある」幽霊は劇的に言った。「君の全注意を要求する。もし私の言葉を無視すれば…」


彼は揺り椅子を煙のようにすり抜け、骨ばった指を一本立てて――壁を指した。


両親と私を隔てる壁だ。


「私は去らざるを得なくなる…この壁を真っ直ぐに突き抜けて」


血の気が引いた。彼のためじゃない。あの壁の向こうに何がいるか知っていたからだ。


もしあの古びた不気味な奴が今、通り抜けたら…いや、絶対にダメだ。誰にも見られてはいけない。


生きている者にも、


死んでいる者にも。


彼は見るだろう。必ず見る。


冷や汗が、寝たふりをしていた私の顔に細い川のように流れた。


完璧な仮眠スキル™の誇り高き所有者、私、ピアーズ・アーゴスが脅迫されていた。


幽霊に。


私は起き上がった——赤ん坊が「劇的に起き上がる」と言える範囲で——正義の怒りに燃えて。眉をひそめ、鋭く重い声が彼の頭を貫いた。


「一体何のつもりだ、この気味の悪い奴! 親のプライバシーを脅かすとは——恥知らずめ!


幽霊の光は弱まったが揺るがなかった。


「ご主人様」と彼は唱えた。「重大な用件がございます。しかしまず——お許しを請わねば。最近の行動、特にあの残念な乳児事件は……最適とは言えませんでした。それは絶望の瞬間でした。判断の誤りです。ご理解ください——まともな紅茶を一杯飲まなければ、つまり……百年の——」


返答などする価値もない。私はおしゃぶりを彼の光る顔に投げつけた。


当然のように貫通したが、それでも彼はひるんだ。


「手短にしろ、化け物め!」


幽霊の瞳からきらめきが消えた。姿が暗く曇り、大理石の上を引きずる棺の蓋のような唸り声をあげた。


「ご主人様」彼は再び呟いた。今度は悲しみに満ちた、より柔らかな声で。


「我が娘が苦しんでいる。何世紀も、彼女は囚われ続けている…器に縛られ、悲しみだけに囲まれて。この呪われた森に鎖で繋がれて。彼女の果てしない苦痛―永遠の嘆きをこれ以上見続けることは耐えられない。この苦しみから彼女を解放してくれ。お願いだ…私の魂に残されたわずかな尊厳をもって…助けてくれ」


私は瞬きし、小さな眉をひそめた。肉体へ囚われる…ふむ。


老いた亡霊は深く頭を垂れた。その輝きの皺一つ一つから悲嘆が滴り落ちている。彼の言葉は呪いのように部屋に響き渡った。


そして私は? 頭の中は既にフル回転だ。


悲劇的な過去。不気味な森。苦しむ謎の少女。


唇がぴくっと動いた。鋭い何かが頬を滑った。


今夜は両親が隣の部屋で寝ている。つまり…誰も俺を止められない。


ニヤリ。赤ん坊にしては鋭すぎる笑みだ。へっ。


「おい、じじい。手伝ってやるよ」


「幽霊は顔を上げ、目を大きく見開いた。一瞬、困惑したように見えたが、やがて霧のような体が喜びで震えた」


「でもな」と私は低く確かな声で付け加えた。「やるなら…ちゃんとやる」


ぐらぐらと部屋を横切り、母が新しい服を積んだ隅へ。


まずは小さなチュニックと短パン―実用的でスタイリッシュ。次に靴。紐に手間取り、小声で呪い、そのまま緩く結ばずに置いた。立ち上がると足が滑ったが、その衝撃が脈拍を速めるだけだった。


そしてついに、目玉商品:私の秘密兵器。


牛乳瓶だ。


よし。頑丈でスタイリッシュ?チェック。


跳ね返りが最高の靴?チェック。


即席ベルトに二本の瓶を差し込む?トリプルチェック。


背筋を伸ばした頃には、何かが私の中で渦巻いていた。


恐怖ではない。


何か別のもの。


「両手で瓶を握れ。ガンマンみたいに。確かに馬鹿げてる——でもこれで即死は免れるだろう」


私は力強くうなずいた。


「よし。準備完了」


囁いた。


そして——


大脱走が始まった。


* * *



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