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――氷の眠り姫――
氷柱を染める
夢から醒メタ 涙を流した
痛みを抱く眠り姫
彼女は氷の眠り姫
夢を愛した 夢に溺れた
孤独に生きる眠り姫
起きたら仲間はいなかった。
誰もが忘れてしまったのだ、彼女の名を。
“My name is...”
本人でさえ覚えていない名が、分かるはずもなく。
ice-sleepy 孤独な姫君
ice-sleepy 王子は二度と迎えにこない
(君の名は、イスリィ。)
涙と生を司る双子の声がした。
(小人も、兎も、帽子屋も、人魚も、インディアンも、王子様もみんな、)
(私は目醒めを選んだけれど、)
(捜しに行く為に、私は)
(眠り姫の称号を棄てる。)
『名無し姫 は 歩く』
4
[…名無し姫→]
歩きながら やっぱり。名無し姫はオモう
月はないてる
今まで空の見えない場所で、眠っていたからだめだったけど
だけど月が星らしさを見せたことに喜んだり
不謹慎だけど
あとは罪悪感だけ
名無し姫は歩く 歩いて、気付く
私は故国に帰るべき?
どうせ何も出来ないのなら、死んだって。
今日は夜ばかり 真昼の月が好きだけど
名無し姫は魔法の呪文を知らないから、簡単に夜明けは来ない
いっそ死んだって。
眠る幸せは知っている
永遠の眠り。綺麗な響き
やっぱり王子の口付けはいらなかったんだわ、
例えばそれがfreeze-breathなら
私は二度と目覚めることはなかったのに。
『ミッドナイトムーン』
(イラナイ子だと云ってみて)
(きっと飛べると思うから)
5
例えばその国の王様が
異境の地で英雄として過ごしていて
城に殆ど帰らなかったなら
その姫は凍り付くことなどなかったかもしれない
王子はまた罪を重ねる
と、
姫はまた 罪を被せる
美しい 優しき街に
姫はまた 棘を敷いた
「私の名前は“名無し姫”
この名を呼ぶ者はないでしょう」
繰り返す 不毛な戯れ事
その名を呼ぶ者はなし
「愛すこと 愛されること
やっぱり少し面倒だわ
眠るのにも もう飽きたから
今度は姿なき姫となろう」
『月のない
夜の窓辺で』
愚な者。
隣で見ていたわたしがいいました。