怪異蒐集 二
_ 火葬業者
ヒト科ヒト属ヒト(Homo sapiens)の近縁種と考えられている。肉食で、特に焼いた人肉を好む。その食性から、「火葬業者」と呼ばれる。個体数が非常に少ないため、研究が進んでいない。
出典「火葬業者」
_ 腫れる病
発症すると全身が腫れ、感染者はその後例外なく死ぬ奇病であるソラーウイルス感染症の通称。あらゆる受容体に吸着することが可能だが、人間以外に感染した事例は稀である。感染力が非常に強く、根絶されるまでに多くの感染者、多くの死者が出た。発症すると腫れが少しずつ全身に広がっていく様子から、「腫れる病」という通称で呼ばれるようになった。蔓延した当時、日本各地で豪雨をはじめとした災害が続き、多くの国民は神の怒りとして恐れたと伝わっている。
出典「はれる病」
_ うろ標識
██県██市と██市の境である███山にある、標識部分中心に直径███mmの腐ったような穴が空いた丸い標識。所々錆びていて、ほとんど元の色がわからないほど劣化しているが、微かに白で塗装された跡を確認できるため、もともと何かしらの表示があったと推測されている。標識部分中心の穴を██秒間見続けた者の眼球を不明の方法で奪う。
以下うろ標識に関する噂の抜粋
・暗い山の奥にある、何も描かれていない標識
・車が通れないような獣道にも拘らず、寂しげに1本だけ立っている標識があり、それがうろ標識である
・うろ標識を見た者は1人もいない
・遠回りしたら出現する
・雨が降ったら出現する
・表示がないからうろ(虚)標識という名称である
出典「うろ標識」
_ 危機察知
稀に人に発現する脳に由来する機能。対象の生命を脅かすほどの危険が近づいた際、不明の過程を経て察知し、その危険性が何らかの形で消失するまで対象の脳内で雷のような音が鳴り続ける。音の大きさは発現した者からの情報から概ね120db程度と推測される。
出典「ヘキレキ」
_ 風神憑き
██県███村で発生する、身体が脆く変異し、崩れ去るまで徘徊するようになる原因不明の病。崩れる際、風速█mの風が吹く。当村に伝わる風神伝説の由来であると考えられている。
以下███村に伝わる風神伝説
罪を犯し、この土地に封印された神がいた。その神と仲の良かった風の神が、封印された神を救うために身を台風へと変え、あらゆるものを壊しながらこの土地までやってくる。しかしあと一歩のところで力尽き、自らの領域で再生する。風の神は、何度もその身を台風へと変え、この土地までやってくるが、あと一歩のところで力尽き、再生することを繰り返す。その繰り返ししかできなくなったことが、あらゆるものを破壊した風の神への罰である。何度も力尽き、再生を繰り返した風の神は、消える寸前に近くにいた人間に取り憑くという手法を得た。その代わり、人間に乗り移ったことで、封印された神の場所が感知できなくなり、憑依が維持できなくなるまでさまよい続けるようになった。取り憑いた人間の精気までも使い果たし、最終的に風の神は自らの領域でまた再生する。取り憑かれた人間は、風が吹くだけで散り散りになるほどもろくなった。
出典「台風銀座」
_ 尾繰り狼
額に██cmのイッカク科イッカク属イッカク (Monodon monoceros)に似た一本の角と約1.5mほどの尻尾を持つ以外はイヌ科イヌ属ニホンオオカミ(Canis lupus hodophilax)に似た生物。食性は不明。
①前足を使い尻尾むしる
②対象(主に睡眠時)に角を突き立て、対象の体力のようなものを出す
③切り離した体力のようなものにむしった毛を張り付ける
という過程を経て繁殖する。
対象の体力のようなものが尽きるまで指数関数的に繁殖する。
出典「狼毛犬角」
_黒い手鏡
鏡面以外黒色の鏡。触れて就寝することで決まった夢を見る。
その夢には
・起床するところから始まる
・夢の中で鏡に触れて眠りに就くことで終わる 鏡に触れる際、強い確信を伴う
・常に誰かがそばに居るような気配を感じる
・夢の中の世界の建物の位置は現実と同じ
・性格が現実と正反対である 夢の中で暴れ続ける人が多い理由と考えられている
・現実で物理的にできないことはできない
・夢の中での体や物の状態は現実の影響を受ける
・上記の逆はなく、現実での体や物の状態は夢の影響を受けない
・時間の流れが現実と同じではなく、現実では夢の中の時間の平均約█倍経つ
などの特徴がある。
出典「つながる」
_ 憑き纏い
条件(下記[条件]参照)を満たした対象の行く先々に出現し、対象の落とし物ではない物を渡そうと試みる人型実体。不明の方法で対象の場所を感知、対象の半径約█m内の物体が無い場所に転移する。確認された発言は「すみません。」「これ、落としましたよ。」「いえいえ。それでは。」「そうですか。すみません。見間違えたみたいです。」の4種。「これ、落としましたよ。」という発言に対し肯定もしくは明確な否定をするまで「これ、落としましたよ。」という発言を続ける。
その際それぞれの返答に対する当怪異の行動の変化は以下の通り。
〈肯定した場合〉
対象に落とし物を手渡した後「いえいえ。それでは。」という発言と共に対象が肉眼で視認できない位置まで移動し、一定時間時間で観測不可能な状態に移行する
〈否定した場合〉
「そうですか。すみません。見間違えたみたいです。」という発言と共に対象が肉眼で視認できない位置まで移動し、一定時間時間で観測不可能な状態に移行する
[条件]
①当怪異が最後に出現した地点から半径約4km内の私有地ではない場所で、対象に所有権がありかつ手に持てる大きさの物体を落とし、落とした物体から半径約3m離れる
②当怪異の「これ、落としましたよ。」という発言に対し何らかの返答をし、落とした物体を受け取る
出典「落とし物」
_ 待雪家跡
██県██郡██町にある廃墟。満面の笑みを浮かべ首を吊っている霊の目撃情報が複数報告される。当廃墟に侵入し洗面所まで行くことで、洗面台に設置されている鏡に映る霊が観測できるようになる。他のいかなる方法によっても観測することはできない。霊を観測した者は常に周囲から軋むような音が聞こえると訴えている。
██町の住民によると、当廃墟に曰くはなくただの廃墟であり、立地面の事情もあり当町の若者がたまに肝試しに入るような場所だった。
しかし、20██年█月█日にX(当時Twitter)にて当廃墟が撮影された写真と共に「幽霊が出た」という投稿が確認されてから、以後█件同様の内容の投稿が発見された。
████年█月█日から待雪█氏とその家族3名(待雪█氏の妻、長男、次男)が居住を始めたことが判明しているが、一家が移転した正確な日付とその理由、一家の現在の住所、一家の生死は不明。また一家と当廃墟の異常性の関係は不明。
出典「待雪家跡」
怪異9種がまとめてある。ところどころ読めない。




