漢字を開くか、開かないか
小説等を書いていて、よく悩むことがあります。
『向こうから彼が手を振りながら、走ってやってきた』
この『きた』ですね。
人によっては『やって来た』と漢字にすることと思いますが……
私はなんとなく『やってきた』のほうが好きなんですよ。軽い足取りでやってくるみたいな感じがして。
『そんな気がしてきた』『やがて冬がやってくる』
こんな感じで、私はひらがなにするのです……
が!
場合によっては漢字にしたほうがしっくりすることもあります。
たとえば……
『来る日も来る日も……』
これをひらがなにしちゃうと、なんだかおかしいんですよね。くるくるなっちゃう。
『あいつがここに来ていたはずだ』
これもひらがなにしちゃうと、なんかおかしい。全部ひらがなになっちゃって、読みにくい感じがする。
『大物アーティストが来日した。合わせて彼も日本に帰って来る』
最後の『帰って来る』をひらがなにしちゃうと、『来日』とのバランスが取れない……。なんで『来日』は漢字なのに、あとのほうはひらがななんだ! って言われそう……。
また、『やってきた』『わかってきた』みたいに『きた』の前に何かがつく場合はいいけど、『彼がきた』はなんか落ち着かない。『彼が来た』にして、はっきりさせてあげたい。
『私がきた!』ならへんな感じしないのに……不思議。
また、私は『大きい』という言葉を書く時、ひらがなにして『おおきい』と書くほうが好きです。
なんだかゆったりとおおきな感じがして、怖くなさそうなのがいいかな、と。
でも、これも悩むことになるんですね。
『彼は体がおおきい上に大物だ』
また、なんであとのほうはひらがななんだ! って言われそう……。
『おおきに、おおきいひと』
関西弁で『ありがとう、おおきいひと』を言うと、なんだか重複みたいになる!
『大口を叩くな』
これを『おお口を叩くな』にすると、明らかに変……。
ただ、『おおきな大学の建物』とか書く時には私、平気でひらがなにします。
『大きな大学の建物』って、なんだか目にうるさくて、やだ。
『ひと』
これも私はひらがなが好きです。
『好きなひと』『あのひと』『どんなひと?』
ただ、使い分けはしています。
具体的なひとを指す場合はひらがなにしますが、抽象的に使う場合、あるいは不特定多数の人間を指す場合には漢字にしています。
『人がいるかもしれない』『人気のない場所へ行こう』『そんな人、いるかいな』
また、種としての人間を指す場合なんかはまた違って、その時はカタカナの『ヒト』を使います。
『ヒトは原始よりそうしてきたのだ』『なんかあの岩、ヒトっぽい』
そして『誰か』みたいな意味で使う時には『他人』とかします。
『他人の噂は止められない』『ちょっと他人から聞いたんだけど……』
でも、こんなことしてたら『表記の不統一に気をつけましょう』とか言われそう。
自分でも、ここは漢字にするか、ひらがなにするか? と悩むことも多いし……。
皆さんははっきりと『くるは来る』『おおきいは大きい』『ひとは人』とか決めてらっしゃるんでしょうか?