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4、招き込んだ崩壊

 迷宮前に築かれた探索者達の町。

 それは無惨に崩壊していく。

 生還者はそれだけの事をやってのけた。



 最初は探索者協会の者達と、自分を囮にした連中だけでも構わなかった。

 だが、それらを殲滅しようとしたら他の探索者が止めにきた。

 駐屯してる騎士などもやってきた。

 なので、それらもまとめて処分した。

 止めにはいる者は全て敵。

 容赦する必要は無い。

 制裁を止めようとしてるのだから。



 結果として町のほぼ全てが潰滅する。

 邪魔をするなら一般人でも容赦しなかった。

 敵対するなら誰であろうと殲滅した。

 それこそ老若男女の区別なく。

 生還者は差別をしない平等主義者だから。



 それに、一般人の生還者への態度も悪いものだった。

 人間、相手によって態度を変える者。

 迷宮前の町では探索者の評価や評判で態度を変える者が多い。

 軟弱者扱いだった生還者への町の者の態度は決して良いものではなかった。

 物を買えば高値をふっかけられる。

 宿屋や食堂でも接客態度が悪い。

 顔が悪い意味で知られてるのか、あちこちで嘲笑される事がある。



 そんな連中ばかりである。

 良い機会だから全て処分していく。

 気分が悪くなるような事をする奴等はいらない。

 生活に支障が出るような事までしてくるのだからなおさらだ。



 町が滅んでいく。

 そこにいた探索者も。

「なにを……してる……」

 生きも絶え絶えといった女ギルドマスターが悲痛な声を出す。

 声こそ出さないが、その場にいる女職員と生還者を陥れた探索者達もだ。



 それらは手足を粉砕され、折れた手足を組み合わされている。

 その状態で治療・回復魔術を使われたので、手足が歪な形で再生されていた。

 動こうにも動けない状態になっている。



 そんな彼らは、町が崩れ落ちる所をしっかり見られる場所に置かれていた。

 おかげで生還者がしてる事をその目で見る事になった。

「なんでここまでする……」

 女ギルドマスターの悲痛な声はこのためだ。



 彼女らからすれば、町は守るべきものだ。

 探索者とは迷宮の中の怪物をたおす事で、人々を守ってる。

 その町を探索者が破壊していく。

 あってはならない事だった。

 しかも、迷宮前の町の破壊である。



 迷宮前の町は、怪物に対する砦や要塞の役目も持つ。

 そこが無くなれば、迷宮から出て来る怪物を押しとどめる事ができない。

 これでこの迷宮から出て来る怪物は、好き勝手に外に出る事ができるようになる。



「怪物が……外に出るんだぞ……分かって──」

 途中で言葉が止まった。

 生還者が顎を蹴り上げたからだ。

「うるせえ」

 女ギルドマスターの戯言がとにかく癇に障る。



「お前がクズを処分してれば良かったんだよ」

 損害を与える人間を生かしている。

 そんな連中を許すつもりはなかった。

「こんなのが生きてたら、他にもっと多くの人が被害にあうだろ。

 それを、たかだかレベルが高いからって野放しにしやがって」

 どんな理由があろうと、悪事の放置を許してる。

 それはもう悪人の共犯者という事だ。

 放置する理由は何一つない。



「怪物が外に出る?

 だからなんだ。

 クズをのさばらせて損害や被害を放置して何を言ってやがる」

 加害者が怪物かクズ探索者の違いでしかない。

 それなのに怪物だけ問題視するのは理解が出来なかった。



「まあ、こんなクズを支持してるのはお前らだけじゃない。

 町の連中もレベルが高いってだけで評価してるからな」

 支持してる、応援してるという事は協力者という事。

 この場合、共犯者という事になる。

「まとめて処分するなんて当たり前だろ」

 生還者からすれば、いずれも等しく悪人悪党でしかない。

 生かしておく理由はなかった。



「で、ギルドもお前みたいな考えで運営されてんだろ」

 言いながら女ギルドマスターと女職員を蹴る。

「ギルド全体が人を囮にして迷宮で殺すようなクズを容認してるってわけだ。

 じゃあ、そんなギルドを支持してる国や人間なんか、存在しない方がいいな」

 加害者とその支持者たる共犯者ばかりならば、放置は出来ない。



「まとめて死ね」

 生還者には人類が存続する理由が見当たらなかった。

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