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3、最高責任者

「少しは落ち着け」

 入ってきたのはギルドマスター。

 探索者協会のこの支部を預かってる者だ。

 女だてらに荒くれ共をまとめる気っぷの良い姐御として知られる。

「これでは落ち着いて話も──」

 言ってる途中ギルドマスターは吹き飛ばされた。

 生還者が放った気力が物理的な威力を伴って放たれたのだ。



「なにほざいてんだ」

 怒気を隠すつもりもない生還者。

「話の途中で勝手に入ってきやがって。

 そういう見え透いた手口を使ってくんじゃねえよ」

 生還者からすれば、女ギルドマスターのお出ましは話を丸め込むための手段にしか見えなかった。

 そもそも、話の途中で出て来るというのは、用件を理解してるという事だ。

 その上で女職員に対応させていた。

 つまり、一任してるはずだ。

 なのに途中から出て来る。

 より上位の者が出て来るという権威による圧力をかけてるという事になる。

「ふざけやがって」

 その魂胆に腹が立った。



「おい、ギルドマスターに何を── !」

 その場にいた糾弾されてる探索者達が声をあげる。

 あげようとして、その口を気力の塊で吹き飛ばされた。

 顔面パンチともいう。

 むしろ、その方が正解だろう。

 生還者以外の全員がのたうちまわる事になる。



「で、事を丸め込もうとしてるギルドマスターさんよお」

「………… !」

「一応聞いておくぞ。

 こいつらにしっかり処分を下すんだろうな」

 言いながら糾弾されてる探索者と、対応していた女職員を指す。

 女ギルドマスターは痛みに顔をしかめて何も言えない。

 顎が砕かれてるから当然だ。

 それが分かってて生還者は尋ねてる。

 どうせまともな答えなど出てこないと分かっていたから。



 言い訳以外出て来る事は無いと生還者は思ってる。

 話を聞くまでもなかった。

 その上で尋ねてるのは、恫喝以外の意味は無い。

 答えが欲しいわけではないのだ。



「協会が名前通りの仕事をしてない。

 だったら、こんなのが存在してる理由は無いな」

「ま、まって…………」

 なんとかそう言う女ギルドマスター。

 しかし、生還者は全く聞き入れない。

 言いくるめようという意図が丸見えだからだ。



「ふざけんな」

 女ギルドマスターを蹴り上げる。

 天井に向けて吹き飛んだ女ギルドマスターは五体に走る衝撃を感じた。

 続いて、床に落下して再度衝撃を受ける。

「やる事やらねえお前らの言い訳なんざどうでもいいんだよ」

 倒れる女ギルドマスターの頭を軽く蹴る。

 死なないように手加減したおかげで、女ギルドマスターは壁に吹き飛ばされるだけで済んだ。



「お前ら全員を制裁する。

 俺が欲しいのはそれだけだ」

 そう宣言すると、生還者は行動を始めた。



 ギルドの者達も囮にした探索者も考えが足りなかった。

 生還者が囮にされてなお数ヶ月もの間迷宮で活動していた事を。

 そんな事が普通の探索者にできるわけがない事を。

 やってのけるという事は、それだけの能力があるという事を。

 迷宮の中でもそれなりに深い所から生きて帰ってきてるのだ。

 高レベル探索者と同等の才能・能力・技術・知識がある事を。

 生きることを諦めない、強靱な精神力がある事を。



 そんな生還者からすれば、他の探索者を軽くあしらえる。

 その事実に全く気付いていなかった。

 思い至らなかった。

 その報いを彼らは受ける事になる。

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