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32.勇者の仲間は勇者に。わたしはアイリスにガチで恋しているのですわ。

 幾つかの村を通り私とナディア、いけ好かない勇者ソラとその仲間達とともに北の領地ホクカムライに到着する。

 太陽も傾いている為か若干肌寒いと思う程度の気温で、街の建物やらは王都や私の居た街や見て回った所と対して差は無い。

 

 「さらば、マリベル嬢ナディア嬢」

 

 二本の指で敬礼のような仕草をする青の勇者ソラの姿にうっとりの仲間達。だけど、隣のナディアは嫌悪感が半端ない顔だ。もちろん、私も同じなのだが顔にはだしてない。

 道中あのいけ好かない動きに慣れてしまった……いいえ免疫が付いてしまったのですわ。それにあの仲間達にも。街の中心で下ろして貰った時に仲間の女3人が私を睨むこと睨むこと。

 

 「あれは、完全にガチ恋ね」

 「ガチ恋?」

 

 ナディアも問いにわたしは、女神さまが言っていた言葉をつかって「真剣に恋心抱いている人よ」と答えたのですが――――それはそうよね。彼女らはあの青の勇者ソラと結ばれたいのですもの。時と場合によっては違う方とありますけど……。

 

 「それじゃぁ。私はカイン様に、マリベルはアイ……」

 

 ナディアの言葉を両手で食い止める。

 

 「どこで聞かれているかわからないですわ。もしや箝口令ひかれて兵士やら関係のある人がいたら」

 

 ハッとするナディアはそのまま謝ってくるけど、ギリギリでよかったわ。それに私がアイリスを探していると知っても、居場所を教えてくれる人は居ない。むしろ『私がアイリスを探している』という情報を邪魔者に売ってきてしまうわ。それはなんとしても避けたいのですわ。

 青の勇者ソラに教えて貰った冒険者組合に入る。教えて貰った時もナディアの顔がやばかったのを思い出してしまうわ。

 私の視線は真っ先に依頼が貼られている壁へと移動するが、ナディアはそのままカウンターへと進んでいった。

 それにしても、数枚貼ってあるだけだわ。そろそろ明かりが灯り出す時間帯なおだからと思っている。その間にナディアがカウンターにいる人と話していて嬉しい声が聞こえる。

 

 「どうしたの?」

 「組合の宿が開いていたのよ」

 

 ナディアの言葉に私は表情を変えてはいないが悲痛な想いだわ。そう、街を移動したらまずは拠点となる宿探しだとナディアに言われてたわ。忘れていたことに少し頭が痛くなってしまうわ。

 ナディアと一緒に部屋に進む中、組合直営の宿だとベットなどはレベルが中あたりだけど、やはり値段は安いらしい。それにナディアが一言そえて「組合直営ってことは教会が運営している」って事を小声で言ってましたけど、教会が冒険者組合を運営していればそうだとわかるはずですが、まぁここは宿を決めたナディアの言葉をそのまま聞いておきますわ。

 

 何も無く――――何かあっては困ってしまのですけれど、今までの疲れが癒やされた結構フカフカなベットで気持ちよい朝を迎えましたわ。

 朝食を済ませナディアの一言。

 

「依頼が貼られているはず、さぁいこうマリベル」

「え?でもいくら何でも早すぎでは?」

「昨日の壁を見てたはず!壁1面に貼られていたはずの依頼が、あの時間でたったの3・4枚しか残って無かった」

 

 食事の後は少し休ませてほしいものですが、たしかにあの壁をみたら急いで依頼を取らなくては。良い依頼を――――ランクアップする為に依頼を獲得することが先決ですわ。アイリスの仲間になる為、剣士のカインはナディアに任せ代わりに私が参入……いいえ他2名は休んで貰わってアイリスと2人で――――。

 私は急ぎ足で組合に向け歩き出すと、ナディアも唐突な私の行動に「ちょっと!!」驚きの声をあげ追いかけてくる。

 人の行き交いがまだ少なく、日は上がっているものの霧が発生している。だけど、何故か冒険者組合の前で多くの冒険者たちがたむろしている。そんなことお構いなしにナディアは急いで組合の中へ。わたしの耳に彼らの言葉が入る。

 

『ちっ、今日も無しだぜ』

『帰ってきた途端にこれかよ』

 

 彼らは何を言っているのでしょう?自分に見合った依頼が無くて愚痴を言ってらっしゃるのかしら?いや、依頼を終えて帰ってきた所なのかしら?そう、わたしは解釈をしナディアに続けて組合に足をいれると、壁に向かって突っ立っているナディアは唖然としている。

 その視線の先には依頼が貼って有るであろう壁だが、私の目に入ったのは昨日と変わらない光景。

 

「なにこれ?」

「変わらないわね。どうしてなのかしら」

「ちょっと、聞いてくる」

 

 大きな足音を立てナディアはカウンターに向かっていったが、わたしはふと疑問に行き着く。

 かれらは依頼を受けに来てたわ。なのになぜ残っている依頼を受けなかったのかしら?

 そのまま壁に近付き依頼の紙を見てみると――――。

 

『大ネズミの討伐』

 

 これは、嫌ですわね。大ネズミは雑魚中の雑魚なのですがすばしっこいのが特徴。それよりもこの依頼、低いランクでもうけれるけど受けても実りが少なすぎですわ。

 次の依頼に目をとおすが、これは受ける価値ないですわね。

 

『街の防犯のための巡回』

 

 貴族が雇った兵士やら警備の者がやっているはずですわ。『警備の休みや休憩時の間に巡回してもらいます。確認のうえ可不可を決定します』って、つまり依頼を受けに行ったら門前払いって可能性ありってありって事のようですわ。

 3枚しかないようですわ。残りの1枚に目をとおす。少し高い位置に貼ってありますが読めそうですわ。

 

『魔獣フロストフィアスウルフ討伐』

 

 あら、討伐の依頼あるじゃ……ランクB以上。つまり彼らは受ける事ができないランクって事ですね。

 その依頼を引っ剥がす。

 カウンターで声を荒げるナディアの前にその依頼をたたきつける。

 

「この依頼受けますわ」

 

 驚く受付嬢とナディア。その受付嬢がその依頼を見た途端何故か、引き気味だった。

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