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18 恋い焦がれ否応に結ばれる2人。夢、幻、いや時戻り……ループですわ

 オークの群れを倒して数日、街に戻ってきた私たち。

 馬車での移動と、赤の勇者グレンのよく分からないアピールが、酷すぎて体力と共に精神面もズタボロだわ。

 今日は、依頼も受けずゆっくり療養しましょう。

 宿で日が高くなっても休んでいた私に、宿の主人が呼びにドアをノックする。

「あの〜、マリベルさん。あの〜、例の人の女性の方が」

 感じ取れる嫌悪感丸出しの言い方。その言葉『例の人』という所で赤の勇者グレン絡みだと分かる。

『女性』とは誰だろう? 3人のうち誰がだと思うけど……。

 私は、着替えを済ませ、ロビーまで降りるとそこにはエンレイがいる。

 いつも、鎧を着て凛々しい顔をしているエンレイだが、目の前には清楚な服装に、化粧をして美人な顔立ちが更に増している。正直、本当にエンレイなの?

「マリベル。今日は私、休み貰ったから一緒に……」

 頬を赤らめ少しモジモジするエンレイ。今まで見ていたエンレイとは見た目も仕草も全く反対のもの。

「そうね。私も今日は休もうとしてたから」

「うふふ」

 微笑むエンレイは、私に手を差し出してくる。何も考えなしに私はその手を掴んでしまう。

 あれ? いつもなら掴まないと思うけど……。

 何気に会話も続き楽しい時が過ごす。そして日が暮れる。

「あ、これ付けてくれてたの?」

「そうよ。マリベルが私にくれた物――――だから」

 先日、猪オークが落としたと思われる、青い炎のような物が閉じ込められた宝石が付いたペンダント。

 日が沈み、街には灯りが灯る。

 ずっと手を繋いでいたわ。しかも指が絡み合っているの。

 何故か私は、そのエンレイと一緒にいるだけで、今までの事が何故か――――分からなくなってきたわ。ただ分かるのはエンレイと一緒にいるだけで、心が安らぐの……、

 エンレイの真剣な視線が私の目を釘付けになる。

 人通りが少なく静かで、穏やかな雰囲気。

 私とエンレイしかいない空間のよう。

「私、マリベルが――――好き――――」

「わ、わたし?」

 その直球の言葉と共に強い想いが、エンレイの視線から私の目を通し心に突き刺さる。

「うん、私は貴女が――――大好き」

 近寄るエンレイの顔。

 何故か私は黙ってそれを受け入れていた。

 どこかに消える1人の影に変わって、心に染まるエンレイの姿。

 エンレイとの唇が重なる。

 少しだけ、ほんの少しだけ驚いたけど、エンレイの唇、肩を掴まれた手がゆっくり、私を抱き締める。

 私も、そのままエンレイの腰に手を回し、短い時間、だけど長い空間、私とエンレイは心が重なった。

「わたし……も」

「も?」

「わたしも、エンレイが――――好き……」

 エンレイの眩しい素敵な笑みが見える。

 ペンダントの宝石の青い炎のような物が、弾けるように光り輝く瞬間――――、

 

 

 私の目の前に、倒れた猪オーク。

 そして、足の裏から感じる何かを踏んだ感触。

 

 あれ? 私……?

 何が起きたか分からない。でも私の目には街に戻る前の、オーク討伐の光景が。

 踏んだ物を取り上げると、それはあの青い宝石の中に揺らめく炎のような物が見えるペンダント。

 このペンダント、確かエンレイにせがまれて渡した記憶があるが、いまは私の手に。意味不明な状況に頭が回らない。

 馬車の中で、ペンダントを見せるとエンレイと共にフレアとシエンが「欲しいっ」て迫ってきた。

 あれ? この後継……あっ、3人迫ってきたのよっ。それで何も考えなしでエンレイに上げたのだわ。何故同じ場面を?

「マリベル、そのペンダント私に!」

「私に似合いそうですわ」

「マリベルちゃんっ、私にっ」

 3人お互いに睨み合い視線が火花を散ってそう。

 うーん。エンレイに渡したから今回は……。

 

 次の日、宿の主人から「例の人の〜」とドアを叩かれ起こされた。この光景も覚えありですわ。でも、今回尋ねてきたのは魔法使いのフレア。

 お互いが休みだから街を歩きたいですって。嬉しいんですが、この状況も覚えありで……。だが、違ったのは日が傾く時からフレアの提案で魔法を教えて欲しいと。

「私が教える事は、何も無いよ」

「マリベルは、王都の魔法使いから教わったんでしょ」

「ええ、そうだけど」

「わたし、こう見ても男爵家の娘で……魔法を教わったのはその領にいた魔法使いなの」

「つまり、王都の魔法が習いたいと」

 頷くフレアに、私が習った魔法学を教えると、そのまま実技に入った。

 フレアの魔法の暴走で私は、フレアに押し倒されている状況。

「フレア……どいて」

「ど、どかないわっ」

「良いから」

「わ、私は――――マリベルが好きなのっ」

「へ?」

「綺麗な魔法を使い、さらに剣の扱いも綺麗だし、更に可愛いし」

「……」

「好きになっちゃったのっ。だから逃がさないわ」

 押し返そうとする私だが、何故か力が入らない。それに何故かフレアと目を合わせいるうちに、愛おしくなってしまう。

「マリベル……好きだよ」

「う、うん」

 フレアの顔が近づき、そのまま流されるまま唇と唇が合わさる。その時、私の中にいた人影が消えフレアと変わる。

 私の腕が無意識の内にフレアの腰に手をかけ抱き寄せる。

 合わさる唇から伝わる想い、そして心臓の鼓動が感じる距離。

「好き好き、フレア好きだよ」

「私も、マリベル好きだよっ」

 合わさった唇が離れ顔が見える距離。フレアの首にはあの時渡した青い宝石があるペンダント。

「このペンダント」

「マリベルが、初めてくれた物だから」

 甘酸っぱさを感じる雰囲気の中、ペンダントの青い宝石の中の揺らめく炎のような物が激しくほとばしる。

 その眩しさに目を閉じ私の意識を失った。

 

 いや、失ってなく目を開けると足の裏から何か……アレを踏んだ感触。そして目の前には倒した猪オークの死体。

 私は、再び意味不明な現状に頭を悩ませる。

 踏んだあのペンダントを手に取ると、青い宝石は輝いている。

 このペンダントが原因?

 【鑑定】スキルを使ってみるが……。

『淫魔のペンダント・効果??? 。プレゼントすると好感度上昇』

 何『???』って!?

 【鑑定】で出ないって、私疲れてるの?

 でも、この宝石綺麗だからと直ぐにしまう。

 フレアと共にオークを解体を終えたナディアが、猪オークの解体に手をかけようとする。突っ立っている私を見てなのか、不思議そうな顔で私を見る。

 

「どうした?」

「なんでも無いわ」

「マリベル。馬車が着いたらしいよ」

 到着した馬車から赤の勇者グレンや、エンレイとシエンに呼ばれるがままに向かい、そのまま馬車に乗り込んだ。

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