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16 オーク討伐開始。アイリスに近づく踏み台となりなさい……ですわ。

 私達が通り過ぎた村には既に人影すら無く、建物や畑に柵など崩壊していた。


「あれは、オークの仕業のようね」

「オークの強靭な肉体で振るう攻撃は強烈と聞くしな」

「壊れたアレをみてオークの強さが分かるわね」

「村人たちは逃げきれたのでしょうか?」

「離れて通ったからな。 オークを倒した後様子を見よう」


 赤の勇者グレンとその仲間であるエンレイ、フレア、シエンの4人真剣な顔に深刻な眼差しで村を眺めながら話をしている。

 しかし、このオーク討伐の依頼――――

 ナディアのランクのおかげだけど私が受けたものなのよっ。なんであんたらが倒すという話になっているのよ!!

 私は心の中で、怒鳴り散らし暴れ回っている思いを沈める。そう、村人の誰かが亡くなっていたら申し訳ないもの。そこは勇者が助けに来たとかなら村人も納得だし、この赤の勇者グレンはこの領主の息子だからね。

 ナディアはぐっすりと寝てたわ、私の肩を枕にして。そのナディアの姿を睨む勇者グレンと女性3人。

 なんで? 寝てたいなら寝ればいいのに。

 私の視線が気になったのか4人共に目を逸らしていたわ。

 

 そして、数日経つとあの崩壊した村から離れた森に到着。

 森の中からヒシヒシと伝わるオークの気配。


「ここにいるのね。 オーク」

「オークの依頼なんて、専任冒険者しか受けられないし。 村の人には申し訳ないけど今回のラッキーだわ」


 本当に幸運なのよ、忘れていたけどオークは二足歩行の豚かイノシシ。そして、オークの肉は家畜の豚よりも美味いの、貴族であの家に居た時喜んだものだわ、元兄のフォクスが。

 それに繁殖力も高くて直ぐに成体となり、その体は大きくなるのよ、つまり討伐されたらその土地で肉の出回りが多くなって安くなり肉の市場が繁盛すると。

 何故、それを知っているか……馬車の中で散々とオークの肉について話していたのよ、ナディアと勇者グレンとその仲間が。


「おい、お前ら。 なんでオークでそんなに余裕なんだ?」

「ん?」

「オークでしょ。 頭の悪い鈍足な魔物なのよ」

「マリベルは、まだ無印なのだから――――少し気を引き締めた方が良い、ほら私と一緒に」

「エンレイ! それなら後衛の私と一緒の方が更に安全だわっ」

「フレアもエンレイも、私と一緒の方が安全です。 傷を負っても癒して上げるわ」


 私の腕や襟を引っ張り合う女性3人の言い争いに疲れ、タダ沈着を待っている。


「3人とも落ち着いてくださいっ」


 ナディアの大声で我に返る女性3人。

 赤の勇者グレンは、この惨状に呆れ顔で言葉を吐く。


「お前ら、何をしている。まだ俺たちの力を見せてないだろ。 オークの前にして騒ぐなっ、ヤツら気付いてしまう」


 そのその言葉でした事を驚き後悔する女性3人だが、赤の勇者グレンが、続けて言葉にする。


「――――それにだな、マリベルは俺の婚約者となるのだ。 無闇に体を痛め付けるなっ」

「「「「はぁぁぁ!?」」」」


 鼻を鳴らす赤の勇者グレンの言葉に仲間の3人が、目くじら立てる。それにナディアも合わせているが……なんで?


 私の大きなため息。


「そんな約束してないし、そもそも――――そんな約束こちらからゴメンだわ」

「おい、俺の馬車に乗った時点で……」

「はぁ、私――――オークがいるってだけでっ! 怖気付くの嫌いなのよねぇ」


 呆れ顔の私の顔を見てか赤の勇者グレンは、「お前らっ、行くぞっ。赤の勇者グレン一行がオークを蹴散らしてやる」

 息を巻いて森の中を突き進む赤の勇者グレン達。それを追うように私とナディアもついて行く。

 

 オークは豚と猪の2系統が、ある事は【魔物図鑑】からでも知っていたし、貴族の時に学習したわ。

 木々や生い茂る草木に身を潜め、この先にいるオークの様子を眺めている。

 猪型のオークは警戒心が高く素早いので出会う事が少ないらしいが、豚型は鈍足で猪型よりも格段に警戒心が低い。

 だが、どちらのオークも力が半端無く強く、高ランクの冒険者かオークを倒すのに長けている者しか、オーク討伐の依頼は受けられない。


「豚型ね。 でも、こんなに沢山いるもんなの?」

「ありえない。オークが、群れて行動するけど……まるで部族ね」


 ナディアが、険しい顔でオークの動きをみている。

 その横に赤の勇者グレン達が、喉を鳴らしてオークの方を眺めてている。


「猪型がいれば、狙わせて躱わす。 それでいい?」

「ええ、猪型……いれば、戦って見たい。 1度も戦ったことすらないし」


 身を潜めていた体を起こし隠れ蓑にしていた草木を掻き分けオークの元へ向かおうとする私とナディア。


「おい、まだ。様子を見た方が」


 赤の勇者グレンが、少し引き気味な表情で訴えかけてくる。

 そう、確かに――――私の視界に見えるだけでもオークは20体、焚き火を囲むようにくつろいでいるし【危険察知】のスキルでその奥に、猪型のオークもいるし、更に上位のオーク……ハイオークもいる。

 でも、所詮オーク……何度も、【魔物図鑑】で倒したわ。向こうが群れでも倒しているのよねぇ。

 赤の勇者グレンの言葉に何も返さず、私はそのままオークの元へ歩く。

 私達の足音に……というか草木を掻き分けていた音で気づかれているみたいだが、焚き火を囲むオーク20体が立ち上がり、その視線が私とナディアに向けられつつ武器を構える。


「さぁ、倒して肉祭りだぁっ」

「補助魔法がかかっているとしても、猪型の猛突進には気をつけて」

「おっ、ありがとうマリベルっ」


 私とナディアも武器を構えるオーク達の動きに目を見張る。

 草木を掻き分けている時も、様子を伺っているとき私とナディアには攻撃や防御などの、己の能力を向上させる魔法をかけまくっていた。

 地面を踏み込む足音を立てるオークは、太い棍棒を握りやってくる。

 私とナディアの前に現れる4人の影。


「ちっ、わかったよっ! 俺たちがオークを倒して、お前よりも強いってこと見せてやるからよっ」


 オークとの交戦に割って入ってくる赤の勇者グレンと仲間3人は、チラッと私を見て何かに納得のような笑みをし武器を構える。

 少し困る……困り果てそうだわ。

 だって、目の前のオークは私の受けた依頼なのよ。それを横取りされるなんて……。

 ナディアなんて、暴れてやるって感じでいたのに。出鼻をくじかれた表情だし。

 それに、オークを倒さないと私の冒険者ランクがっ!

 棍棒を振るいあげ襲いかかってくるオーク。

 赤の勇者グレンの指揮で、女性3人はそれを迎え撃つ体制を取り出してしまう。


「ナディア。 コイツらよりも前にっ」

「そのつもりぃぃっ」


 叫び声とともに駆け出すナディア。

 私も剣を握りオークに向かって走り出す。

読んでいただきありがとうございます。


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