剣闘奴隷編 5日目
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罵詈雑言を浴びせられながら競技場の真ん中ら辺まで歩く。
そして兵士たちによって手錠が外される。
俺らは留まるよう命令され、兵士たちだけは戻って行き入り口が閉まる。
反対側の扉では、何やら人の声とは違った音が聞こえる。
「皆様―本日午前の部メインは、流れ人の洗礼だぁーーー!!」
急にナレーターの大声が響き、それに続き一斉に盛り上がる観客達。
「落ちこぼれの流れ人三人と戦ってもらうのはこいつらだ!!」
がちゃり 反対側の入り口が開くと、黒いものが三体ほどなだれ込んできた。
「定番中の定番っ!森の捕食者、冒険者の最初の関門。
フォレストウルフだぁー、はたしてこの落ちこぼれ共は戦いに勝つことができるのかぁ!」
ものすごい勢いで向かってくる黒い獣。
口からは牙を覗かせ、涎をこぼしながらこちらに一直線に向かってくる。
目が離せない、体が硬直している。
膝がガクガクと震え奥歯がカチカチとなっているのが分かる。
後退り尻もちを付きへたり込んでしまった色白の男。
短髪の男は俺と同じように動けていないが手は握り拳を握っている。
三頭は一向に速度を緩めることなくどんどんと近づいてくる。
一匹が俺に飛び掛かってくる。
咄嗟に腕でガードする。
ぐしゃりと嫌な音、そして激痛が脳に響く。
「ぐぅうう・・。」
声も出ないような激痛。飛び掛かれた勢いで倒れそうになるも踏ん張りフォレストウルフと対面する。
俺とフォレストウルフの顔は数cmも離れていない。
獣と血の匂い。
獣の息遣い、俺の心臓の音がうるさくなっている。
獣の目は真っ赤に血走って、口も俺の血で真っ赤に染まっている。
なんで、俺がこんな目に合わなければならないんだっ!!
不意に怒りが沸き起こる。
肩と腹にフォレストウルフの爪が食い込む。
俺を押し倒そうと体重をかけてくる。
「うおぉー」
踏ん張り、気合と共にフォレストウルフを押し倒すように前に倒れる。
フォレストウルフの口が開き、俺の腕が抜ける。
怒りに合わせてフォレストウルフの上に跨り、無我夢中で殴る。
足や腹に食い込むフォレストウルフの爪。
お構いなしに殴り続ける。
何処を殴っていいかも分からない、ただただ腕を振り上げては振り下ろす。
数分なのか数時間なのか分からないが、腕が上がらなくなったころフォレストウルフは動かなくなっていた。
ふと、周囲を見ると短髪がフォレストウルフを蹴り飛ばしている最中だった。
色白の男は血だまりの中地面に倒れていた。
そして俺は意識を失った。
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