それは少女の頃と同じように(おばあさん同士のロマンシス。それぞれ別の恋人♀有り)
「あっ、小槙ちゃんからメッセ来た!」
「やれやれ、七十過ぎのババアが三十も下の小娘にお熱とはね」
「恋愛に歳は関係ありません~。ていうか、アンタも私と同い年なんだからね!」
「私は身の程を弁えたババアだからね。もう涸れたよ」
「やあね~。身の程弁えてるんじゃなくって、情熱を燃やすほどの体力が無いだけでしょ」
「だから涸れたって言ったろ」
「……。奥さん、何回忌だっけ?」
「そろそろ七回忌かね。まったく。私の方が長生きするなんてね」
「いい思い出話、いっぱい作って持って逝きなよ」
「そうするつもり。けど、恋愛以外。あの子は、ヤキモチ妬きだから」
「お熱いわねぇ」
「アンタも」
「ん?」
「あんまり入れあげるのは止しなよ。私らに失恋する体力があるなんて、過信するんじゃないよ」
「……わかってるわよ」
老女が二人。
窓辺でお茶を飲みながら語り合う。
「でも、いざそのときになったら慰めてね」
「私がそのときまで生きてると思いなさんなよ」
「やぁね、生きててよ」
それは、少女の頃と同じように。
楽しげに、時に切なげに。
彼女たちは、今日も語らい、笑い合う。
END.
男女でも薔薇でも百合でも、相手の性が自分の恋愛嗜好と一致するけど、その相手とは絶対に恋愛にならない、友情、みたいな関係性が好き