『いまさらもうおそい』
初投稿です。
むかしむかし、あるところに、イマサ、ラオ、ソーイという三人の兄弟が住んでいました。
一番お兄さんのイマサは、まだ幼い二人の弟のために、Fランク冒険者としてモンスターと戦いながら暮らしていました。
ある日、イマサはパーティメンバーとクエストを終えて、冒険者ギルドに帰ってきました。
受付嬢にクエスト完了の報告をすると、突然、リーダーが言いました。
「イマサ、君をパーティから追放することにしたんだ」
イマサはびっくりして言いました。
「ど、どうしてですか?」
「わかっているだろ?もちろん、君が役立たずだからさ」
「剣は弱いし、弓矢も下手くそ」
「魔法だってちっとも使えないじゃないか」
他の二人も、イマサに向かって正直な気持ちを言いました。
「これはみんなで決めたことなんだ。何もできない足手まといなんて必要ないからね」
自分を置いてギルドを出て行く三人の姿を、イマサは黙って見ていることしかできませんでした。
次の日、なんやかんやあって最強になったイマサは、街の近くの森で、大きな黒いドラゴンを見つけました。
ガオー!ドスン!ドスン!
カキンカキンカキン!
ボオオオオ!
くらえ!ファイアーボール!
ドン!ドン!ドン!
ガアアアアア……
イマサはあっという間にドラゴンを倒しました。
生まれて初めて見るドラゴンの体は、キラキラ光る黒い鱗に包まれていました。
「うわあ、綺麗だなあ」
たくさん取れた鱗は、立派な角、鋭い爪と一緒に【収納】スキルで亜空間にしまって持って帰ることにしました。
「す、すごい!」
ギルドの受付嬢は、イマサが持ち帰った鱗を見ると大きな声を出しました。
「いったいどこでこれを!?ダークネスドラゴンなんて滅多にお目にかかれるものではありません!」
「さっき倒してきたんです。こんなもので良ければ、他にも色々ありますよ」
イマサは亜空間から角と爪を取り出して、机の上に並べました。
それを見た周りの冒険者たちが、
「あれ、ダークネスドラゴンじゃない?」
「これが伝説の……」
「今のって、もしかして【収納】スキル!?」
と、口々に言いました。
「まさかダークネスドラゴンを一人で倒してしまうなんて……イマサさん、あなたを特例でSランク冒険者に認定します!」
こうしてイマサはSランク冒険者になりました。
その日の夕方、イマサが街で晩ごはんの買い物をしていると、コソコソと隠れながら後ろをついてくる気配に気が付きました。
(三人か……あれで隠れているつもりなのかな?)
どうやら【気配遮断】スキルを使っているようですが、イマサにはバレバレです。
わざと人の少ない路地に入ってみると、狙い通り襲いかかってきました。
しかし、剣も矢も魔法もイマサには止まって見えます。
全ての攻撃を小指で弾いてから、襲ってきた三人を懲らしめました。
「うぐっ!」
「がはっ!」
「ぐえっ!」
なんと、その正体はイマサを追放した元パーティメンバーでした。
リーダーが膝をついて言いました。
「そんなに強くなったなら、パーティに戻ってきてくれないか?」
それを聞いたイマサは、
「今更もう遅い」
と、答えました。
晩ごはんの買い物を済ませたイマサが家に帰ると、ソーイが外で待っていました。
「おかえり、にいちゃん!」
「ただいま、ソーイ。どうしたの?」
「ええとね、にいちゃんに見せたいものがあるんだ!」
ソーイに手を引っ張られながら、イマサは家の裏側に行きました。
そこには、さっき別れたはずの元パーティメンバー達が、手と足を縄でぐるぐる巻きにされて倒れていました。
すぐ側にはラオが立っています。
「ただいま、ラオ」
「あっ、にーちゃんおかえり!」
「ところで、これはどうしたの?」
イマサは倒れているリーダー達を指さしました。
ラオとソーイは言いました。
「ドロボーさんをやっつけただけだよ?」
「ぼくたち、またなにかやっちゃった?」
実はイマサだけではなく、ラオとソーイも最強になっていたのです。
イマサは二人の頭を撫でながら、
「そんなことないよ。ラオ、ソーイ、いつもお留守番をしてくれてありがとう」
と、たくさん褒めました。
「今から美味しいご飯を作るからね」
「わーい!」
「やった!」
三人は仲良く家の中に入りました。
しばらくして、イマサは大きくなったラオとソーイと一緒に冒険者パーティを組みました。
三人はやがて最強のSSSランク冒険者パーティとして有名になり、奴隷を助けたり、王女を助けたり、獣娘を助けたり、竜人を助けたり、妖精を助けたりして、理想的な美少女ハーレムを作って幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。