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小料理 タヌキ屋 3  作者: まんまるムーン
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「遥って、あんな感じで人当たりいいでしょ? だからみんなから好かれてるんだろうと思って、私だけこんな風に思ってるのかなって、ずっと言えなかったんだけど…私けっこう痛い目にあってるの…」




 子供たちが年少と年中の時、私たち4人は同じクラスだった。しかし年長になって里香と美穂、私と遥の子供が同じクラスになった。


新しいクラスになったときに、遥から一緒に母の会の役員をしようと誘われた。


私は年少の時にしたから、卒園までする義務はないのだけど、遥はまだしていなかったから今年は絶対に役が回ってくる。


卒園年の役員は仕事も多くて大変だと知っていたので私はわざわざ年少で役を引き受けた。だけど遥は新しいクラスに知り合いのお母さんがいないので、私はメンタルが弱くて一人じゃ不安だから一緒にしてほしいと言ってきたのだ。


あまりにせがむので、しょうがなく園から渡されていたプリントに役員を引き受けてもいいに〇をして出した。そして役員が決まって初めての役員会に行ってみて驚愕した。


遥がいなかった! 


何かの間違いかと思い、確かめてみたら、立候補者の数が定員を上回っていたので遥は役員にならずに済んだみたいだ。


腑に落ちず、怒りがメラメラと湧いてきた。


役員会が終わってすぐに遥に電話をかけた。電話口の遥は、いつものようにフワっとした声で申し訳なさそうに謝った。


さっさとプリントを提出した私と違い、遥は締め切りをすぎて提出したらしい。


今思えばそれも計算ずくではなかったのか…そんな意地悪な気持ちが湧いて止まらなってきた。


直面している時には気づかないけど、一度悪意を持てば、過去にされた事もわざとではないかと思えてくる。




 そういえば、歓迎遠足の時も…。


バスには子供たちは前方、大人たちは後方に座る。


遥は私に一緒に行こうと誘ってきた。


にもかかわらず、早めに園に着いていた遥は同じく早めに来ていた他のお母さんと立ち話から意気投合し、そのお母さんが新しいクラス友達にいないから隣に座っていいかと尋ね、私との先約が有るにもかかわらず、あろうことか遥はその人と二人で座ったのだ。


遥は後から来た私に顔の前で両手を合わせ、フワっと笑顔でごめんね~と謝った。横に座っていた友達は申し訳なさそうな顔をしていた。


ほとんどの人が一緒に座る人をあらかじめ約束しているので、私は新たに誰かと約束する時間も余裕も無く、とりあえず開いている席を探さなければならなかったが、もはや席は無かった。


ふと見ると、子供たちの一番最後に一人で座っている子の横が空いていた。


こんなおばちゃんと一緒に座るのも嫌だろうけど、しょうがなく私はそこに座った。



こんな悔しい思いをしつつ、今一番悔しいのは、その時遥に怒りをぶつけなかったことだ。


冷静に考えると、こんなに人をバカにした行為は無いのに、その時はパニックで怒りの矛先がわからなかったのだ。



自分の頭の悪さが悔しくてたまらない。


今振り返ると、遥は分かっててわざとやってたんだとしか思えない。


温厚そうに見える笑顔には、どこか冷たさを感じていた。



きっと旦那さんには本性を出してパワハラや経済的DVをやっていたのだろう。



遥の夫の言い分も、今となれば素直に信じられる。






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