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小料理 タヌキ屋 3  作者: まんまるムーン
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3



 娘の幼稚園で仲良くなったママ友は、3人。




 佐伯美穂は、例の豪華北海道の幸ギフトの友達。


旦那さんが建築会社を経営していてかなり裕福。

で、他人の経済事情には少し無関心というか無神経というか、あまりよく考えずに豪華なプレゼントをよこしてくる。それもかなり頻繁に。


不定期で集まるママ会には、かならず人数分のお土産を持ってくる。有名店の焼き菓子だったり、顔のパックだったり、雑貨だったり。


いつだったか、私がうっかり猫好きという事を漏らしてしまって、案の定、美穂は次のママ会の時に大量の猫グッズを持って現れた。


猫が好きだからって、身の回りの物を全て猫にしたいとは思ってないし、そもそも私はキャラクターがついた雑貨が苦手なのだ。身の回りの物は無地でシンプルな物にしたいと思っているのに。


そんなこんなで、そのお返し、そのまたお返し、と繰り返しているうちに、ママ会の時は各自人数分のプレゼントを持ち寄るのが慣例となってしまった。


美穂は無神経にも、「私がみんなにあげたくて勝手に持ってきてるだけなんだから、お返しなんていいのよ~」と言うが、そうはいかない。いくらなんでももらいっぱなしというのは気持ち悪い。


今思うと、何故あの人達と友達になってしまったのだろう…。


そう…あれは、幼稚園の入園式。教室の後ろでたまたま近くにいた四人でなんとなく話をし始めて、それからお迎えの時立ち話をするようになって…月に何回かランチ会をするようになったのだ。




 あと二人は、立花里香と今井遥。



 里香は自宅でピアノ教室をしている。里香の実家は大地主で、親の所有する土地に家を建てた。が、実際に家を建てたのは里香の両親だ。


両親は不労収入で暮らしているし、一人娘にできた初孫がよほど可愛いのか、いつも面倒を見に来る。自分が仕事の間は親が子供の面倒を見てくれるから楽なのよ、と里香は言っていた。


家も孫も義両親に面倒を見てもらって、旦那さんは窮屈な思いをしていないのかな、と聞いてみたことがあるが、うちの夫の収入じゃ、一生かかっても家どころかマンションすら持てないわ。都内に一軒家を持てるだけでもありがたいと思え、なのだと…。


あれは完全に旦那さんの事バカにしてるな…そんな態度で、そのうちご主人から愛想つかされるんじゃないかと少し心配になる…。




 もう一人のママ友、今井遥。


妊娠前は働いていたらしいのだけど、出産後は仕事を辞めて、今もまだ専業主婦をしている。


 …正直この人のことはわからない…


いつも穏やかで微笑んでいて、他人の悪口を言っているところを見たことが無いし、夫や義両親の愚痴すら聞いたことが無い。


誰かが悪口を言い始めると、そんなことないよ、あの人だっていいとこあるのよ、それは仕方のない理由があったのよ、なんて言う。


幸せになるための10の約束、とか、言葉は言霊、発する言葉は現実となる、とか、よくある自己啓発本に書いてあるような事をそのまんま実践している人…。


人の事悪く言わないのって、素晴らしい事だけど…遥の場合どこか嘘くさく感じて、ロボットを相手にしている気分になる。


本当は何か隠しているんじゃないかな…。本当は裏で私たちの事もバカにしているんじゃないだろうか…、時々ふと見せる遥の冷たい表情に、正直私はそう思っている。


だからこの人には自分の事をさらけ出せない。うっかり話したら陰で笑われてそう…。


こんなこと思う私の根性がねじ曲がってるのかもしれないけどね…。




この四人で、月に何度かママ会をしているのだ。




 さて…お返しをどうするか…




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