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小料理 タヌキ屋 3  作者: まんまるムーン
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 里香の遥の夫との浮気は、やはりあの後も何度か続いたらしい。里香いわく、その時は遥の夫が遥から酷い目に遭わされて可哀そうで堪らなかった、とのこと。


しかし、何度も会っていくうち、遥の夫の異常性に気付いた。


遥の夫には言っていない里香の行動を知っていたり、里香の交友関係を把握していたり、トドメに、いつの間にか入れた覚えのないアプリがケータイに入っていたそうだ。




 里香は怖くなり、意を決して遥に全てを打ち明けた。そして遥から真実を聞かされた。


遥の夫は遥が自分にパワハラをしたり経済的DVをしたりすると言っていたが、それは真逆だった。夫の方が遥に対してしていたのだった。それもかなり酷いDVまで。


遥が私たちとのランチ会に来られていたのは、夫が自分の遥かに対するDVをバレないようにするカモフラージュだったのと、秘かに里香のことを狙っていたのもあって、それだけはいつも背中を押すように行かせていたらしい。


遥は里香に服をめくって見せた。体は痣だらけだった。


夫は天才的に外ズラが良いし、この事をバラすとどんな恐ろしい事をされるかわからないから誰にも言えなかった。


そんなだから誰も自分を信じてくれない、みんな私を悪者に見る、と遥は言っていたそうだ。


別れると言えば殺されるかもしれない、自分が殺されるだけならまだいいが、娘まで殺されかねない。


遥は別れられる機会を虎視眈々と狙っていた。そこに現れた里香は遥にとって格好の餌食だった。遥は最初から夫と里香との事を知っていた。知っていながらひたすら証拠集めをしていたのだ。


案の定、遥の夫は遥に別れを持ちかけてきた。遥の狙い通りだった。


遥は里香に、「主人をお願いします。」と笑顔で言って去っていった。


その笑顔は背筋がぞっとするほど恐ろしかった。




 怖くなった里香は、もうなりふり構わず自分の夫に全てを話して謝罪した。夫は当然怒り狂ったが、子供の事を考え全てを飲み込んでくれた。


そしてすぐに引っ越しをして、子供も転校させた。今までバカにしていた夫が、こんなに頼りになることを知って、自分はなんと愚かだったのかやっとわかったそうだ。


後悔してもしきれない。夫に申し訳なくて堪らない。一生謝り続けて生きて行こう。里香はそう言っていた。




 遥は旦那と義両親に証拠を突きつけた。両親の前で動かぬ証拠を出された夫は、遥かに何も手出し出来なかった。


そして遥は夫に慰謝料と養育費も一括で出させて自分の実家に帰ったそうだ。




 遥が私にひどい事をしていたのも、ママ友グループの中でカースト最下層の私を家庭でのストレスのはけ口にしていたのかもしれないね、と里香は言った。


私に嫌がらせをすることで、ギリギリの精神状態を保っていたのかも…と。


私にしてはたまったものじゃない。


 だけど、そんな過酷な環境にいたのなら、一言くらい相談してくれたら良かったのに…友達でしょ?


 …ああそうか…友達じゃなかったんだよね…遥にしてみれば…。


 …でも…、言ってほしかったな…


 もしも打ち明けてくれていたなら…私たちの関係も違うものになっていたかもしれないのに…





 夕暮れのたぬプラ商店街を歩いて帰る。


確かこの辺りだったような気がするのだけど…


「小料理たぬき」を探すけれど、そんな店はどこにも無い。


 あれはやはり夢だったのだろうか?

 夢だったとしても、タヌキ女将とお義母さんに会えてよかった。



 タヌキ女将


 お義母さん


 ありがとう…



二人のおかげで私はやっと自分を取り戻すことができたような気がする。


今の自分だったら…もしかして…あの三人とも対等な関係を気づけるかも…いや…まだ強くならなきゃな…そしたら…もしかしたら…いつか…また…




 マンションの玄関の鏡に自分の姿が映る。意識しないと背筋が曲がっている。大きく深呼吸して背筋を伸ばした。



 うん、これでいい!


 相変わらずダサくて冴えない自分だけど、なんだかいいじゃん! 



私は好きだよ、この自分が!






 小料理 タヌキ屋 第三章 終り






第三章、今日で終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

第四章もすでに書き終えています。次回作はほんのちょっぴりホラーです。準備が出来次第、連載を始めますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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