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小料理 タヌキ屋 3  作者: まんまるムーン
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 そういえばリコはよくお仏壇に手を合わせて何か独り言を言っていた。


「リコはちゃんとお仏壇に手を合わせて偉いね。」


「だってママ、こうするとリコ、おばあちゃんとお話しできるんだもん!」


「…え?」


「あ、バス来た! じゃあママ、行ってきまぁ~す!」


リコは元気に幼稚園バスに乗り込んでいった。窓越しに笑顔で私に手を振っている。


 …お義母さん、リコの事、見守って下さってたんですね…




 その後、私は段階を踏んであの三人と疎遠になるように仕向けた。どうせ幼稚園を卒園したら小学校は別になる。


同じ私立の小学校をお受験しようと誘われていたが、リコは近所の公立へ行かせることにした。


そしてリコが小学校に上がってからは、完全に交友が無くなった。


心と体が、信じられないように軽くなった。


小学校では、今までの失敗を繰り返さないように、子供の母親という立場が無かったとしても付き合えるような人と付き合うようにした。


リコはリコで、自分で友達を作っているようだ。私はリコの友達作りには一切干渉しなかった。今ではいい仲良しグループが出来ている。


私もリコも、本当の友達を得る事ができた。




 何年か後、用事があって向かった遠くの街で、思いもよらずバッタリ里香と出くわした。


久しぶりの里香はどこかやつれたような感じだった。


お茶しないかと誘われたので、近くのカフェに入った。


「美咲…、なんか雰囲気変わったね?」


「そう? 相変わらずダサいままでしょ?」


「ん…外見は…あんまり変わらないけど…なんか表情が明るくなった気がする。」


「そう? 褒められているのかわからないけど、一応ありがとう。」


里香からその後の三人の話を聞いた。





 三人は同じ私立の小学校をお受験したが、美穂の娘だけ落ちてしまったそうだ。


美穂のところは、その小学校よりかなりレベルが下の学校に入学した。


美穂の落胆は半端なかったらしい。娘を叱り飛ばしすぎて旦那さんから出ていけとまで言われたそうだ。


里香が言うには、美穂は高校卒業後、ガールズバーで働いていて、そこの常連だった旦那さんに見初められて結婚に至った。


私たちのグループで高卒は美穂だけだったので、美穂は私たちにかなりの劣等感を抱いていたそうなのだ。


その劣等感を払拭しようと、その役割を娘の肩に背負わせたのだった。


もともと出来のいい娘さんだったけど、美穂のあまりの教育ママぶりに娘さんは耐えきれなくなった。


正直、美穂が私たちに劣等感を抱いているなんて思いもしなかった。


他の二人はともかく、私なんて大卒と言っても最低ランクの大学出身だ。


私の出身大学の名を出すくらいなら、高卒と言った方がまだ印象がいいくらいなのに…。





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