10:降下作戦
1800kmもの長い旅ももうそろそろで終わりお迎える。
キューポラについている観測装置が100km先にあるとてつもなく大きな熱源と光源を探知した。規模からして敵の前哨基地と思われる物を観測した俺は、今夜の晩飯を追っている二人に向けて連絡した。
宮道「二人とも聞こえているか?100km先に大きな熱源を感知した。明日30kmまで近づいて正体を確かめたら"作戦"を決行する。」
特小無線機から5.56mmが放たれる音を聴いて獲物を仕留めたことを告げる。
アリア「了解。今アイラが今夜の晩飯を捕まえたところだ。これから向かう。」
仕留めた獲物を担いできた二人がやってくるのを確認した俺は焚火に枝をくべて炎を大きくする。
仕留めた獲物は鹿らしい。
皮を剥いだら腹のあたりにナイフの刃を入れて内臓を傷つけないように切り分ける。内臓はそのままにしておくと厄介なので洗ったらクーラーボックスに入れておく。皮は近くの川で洗い、絞ったら車体のバスケットに干しておく。首から上は血抜きをしたら内臓と同様にクーラーボックスに入れておく。体の肉を1口サイズに切り分けたら焚火の上に置いておいた網に敷いていく。
レイトのパン屋に売っていたハーブパンを取り出し、3人で焚火を囲うようにして今晩の飯を食べる。
宮道「そういえば明日の午前4時に決行する予定の降下作戦だが、ビーバーが積んでくるものは第36降下部隊のM551シェリダン20と第49支援隊のB-4203mm榴弾砲8、第39重突撃砲隊のヤークトティーガー5と指揮車のポルシェティーガーらしい。」
ちゃんとした降下用の車両とまるで某戦車アニメのように運べないはずの物とypaaaaしている例の赤い国が使っているゲテモノ車両の編成である。
アリア「シェリダンしかあてはまらなそうな作戦なのになんで重突撃砲隊と支援部隊まで運ぼうとしてるんだうちの国は。」
アイラ「私は大きい物好きだからいいけどな。」
宮道「明らかにこの作戦を立案したの火力主義者だろ。」
そのうち爆撃機だけの編成とか組みそうだな。絨毯爆撃とか見てみたいけど。
朝4時
予定のランディングポイントに向かい、車載無線機のスイッチを入れ、既定の周波数に設定する。
宮道「こちら宮道。きこえますか。」
ダリウス「やあ、宮道。2日ぶりだね。」
宮道「ダリウス機長か?」
ダリウス「そうだ。例のものを届けに来たぞ。信号灯の点灯を頼む。」
宮道「了解した。」
車両の動力を起動してビーバーを誘導させるために信号灯を点灯させる。
巨大な機影を視界にとらえ、機体の後部に近づく。
ハッチが開き、中から、出てきたのはB-4203mm榴弾砲だ。
隊長と思わしき人物がこちらに歩み寄ってきた。
???「初めまして。第49支援隊のリビアです。よろしく。」
宮道「よろしく。早速だが陣地の構築をしてくれ。」
リビア「了解した。いいか!とろとろするな!上のやつらが文句を言ってくるぞ!」
203mm砲を載せた車体が履帯を軋ませながらタラップを降りていく。ソ連が開発したB-4203mm榴弾砲だ。名前に書いてある通り搭載している砲の口径は203mm。この世界のB-4は自走できるように改造されていて本来なら移動のために牽引車が必要になる。砲は203mm磁界式曲射砲という物でコイルの磁界の変化を利用して弾道を曲げ、任意の距離に届かせる構造になっている。
次に着陸してきたビーバーには重量80トン、主砲口径128mm、最大装甲厚250mmにもなる大型な突撃砲がいた。
ヤークトティーガー。史実だと車体が重すぎてはしる事すらままならないのだがこの世界では足回りの強化がされていて、本来の重突撃砲の役割を果たしている。主砲には128mm零式投射砲という物が搭載されておりレールガンとコイルガンを組み合わせた高初速砲である。
指揮車であるポルシェティーガーは88mm低電圧砲を載せており、高貫通の弾丸を低電圧で速射させる数で攻めるタイプの車両になっている。
宮道「そういえば第36降下部隊はまだなのか?」
ダリウス「遅れているのですかね?でも離陸するところを見ているのでそれはないと思うのだが…」
そんな話をしていると4機のビーバーが編隊飛行して突入してきた。
後方のハッチを開けて中から降ろされていくのはM551シェリダンだ。本来空中投下するのは強行着陸を強いられるときだけなのになんでしたんだと思いつつ、こちらに走ってくる1両を確認した。
???「いやぁすまない。うちの部隊では常に空中投下されること前提だからいつでも降ろされるときはこうなんだ。君が宮道くんかい?初めまして第36降下部隊隊長のグルズだ。よろしく。」
こうして前哨基地を攻める部隊が集結した。