永遠の幸せ
「 神様、やっぱり女神はガキに手こずっていますぜ 」
「 死神よ、悪人ヅラしたお前が出たら、怖がって余計面倒くさいことになるぞ 」
「 子供相手は、ワシや死神より、女の女神の方が適任じゃ 」
「 女神はガキに天国行きを下そうとしていますが ガキは嫌がっていますね 」
「 でも、ガキの望み通りに 続生にすればいいんじゃないんスか? 」
「 確かにあの子供は、4年で生涯を閉じようとしている 」
「 天国行きを下されると、本人の希望で転生行きでも続生行きでも許されるんじゃが… 」
「 続生、つまりそのまま現世で生き続けても、また母親から虐待されることを、女神は読んでるんじゃ 」
「 でも…あの方法が・・ん・・・なんだっけ? 」
「 そうそう、以前続生を下した…、あの自殺希望者の小娘の… 」
「 あの女子高生の葉菜、いじめられっ子だった、オナゴじゃな 」
「 あの案件も、女神が中心に下した判決だったな 」
「 あれは、女神のチカラで自殺をなかったことにしたんじゃないんスすか? 」
「 神のチカラでも、自殺を無かったことにすることはできん 」
「 出来ることは、葉菜というオナゴが自殺しようと、周りの人間が気付かせることだけじゃ 」
「 つまり、人間そのもの考えや思いを、変えることは出来んのじゃ 」
「 そうなんですか、女神のチカラで親の考えを変えることは無理なのか… 」
母親のそばにいたい大輝くん。
天国行きを下そうとしている女神。
神界ではしばらく、沈黙が続いた。
そして、女神は、
「 ……分かりました、母親のそばに連れってあげましょう 」
「 おねーさん、ママに会えるんだね 」
女神は大輝くんに頬笑みながら
「 ええ 」
「 大輝くん、ついて来てください 」
しばらく行くと、天に続く階段があった。
「 さあ、あの階段を昇ると、大輝くんのママがいます 」
「 行きなさい 」
大輝くんは喜びながら階段を昇った。
「 ママーー!!ママ――!! 」
「 大輝・・・・ 」
「 ママなの? 」
階段を昇った大輝くんは、青空が広がる草原にたどり着いた。
そこにいたのは、大輝くんの母親がいた。
「 大輝…、ごめんね…つらい思いをさせてしまって 」
「 ママなんだね!ボクこそ いい子なれなくてごめんなさい 」
「 大輝、字を書けるようになったんだね えらいね 」
母親は大輝くんを抱きかかえ、ずっと一緒になることが出来た。
そう、虐待もなく年もとることもないこの場所で・・・。
永遠に・・・。
「 女神よ、結局天国を下したんじゃな 」
「 はい、神様、少し私のチカラをつかいました 」
「 雲ばっかりの、殺風景の天国で 」
「 女神のチカラで、現世とそっくりな景色を再現させたじゃろ? 」
死神は
「 神様!!神のチカラで天国の景色も変えることも出来るんスか? 」
「 死神も神を名乗っているんなら、それぐらい知っとけ! 」
「 最近死神になったばかりだからといって、言い訳にならんぞ 」
そして、女神は
「 天国行きを許されたものは、本人の思い通りになるのが基本ですから 」
「 でも、あの子供は、優しい母親の姿は幻を見てるんじゃろ? 」
「 本当の母親は、下界では、虐待容疑で捕まっている…これは罪深いんじゃないか? 」
「 …はい、神様… 」
「 確かに大輝くんにウソをついていることになります 」
「 天国の案内人として、私は女神と名乗ることはできません 」
「 神がウソついたことは、大罪、無条件で地獄行きは覚悟しております 」
「 死神よ、お前に女神を地獄行きの判決下せるか? 」
「 ちょっと待ってください、神が神を判決下すことなんて出来るんスか? 」
「 ここ1万年間、神が神を下すこと事例はないな 」
「 でも、女神も生きモノだ、地獄行きを下すのも可能じゃ 」
「 死神さん、貴方の手で私を地獄に送ってください 」
「 バーカ!地獄に行ったら、永久に無の世界なのは知ってるだろ 」
「 神になったばかりの死神のオレが、女神に下せるわけないだろ 」
「 退屈な神界に、神様とオレだけじゃ辛気くせぇじゃねーか 」
「 死神さん、罪は罪です 」
「 いちいちうるせぇーな、」
「 結果、あのガキは幸せになんだからよ 」
「 それに、あの母親も改心すれば、下界に戻すこともできるんだろ? 」
「 肉体は戻すことは出来ませんが、転生 つまり生まれ変わって母親のそばに行くことは出来ます 」
「 それによ、女神から教えてもらいたいことがあるからな 」
「 …… 」
「 フフフッ… 」
「 まずは死神さんは、品のある言葉を使わないといけないですね 」
「 うるせーー品のある言葉じゃ悪党になめられるじゃねーか! 」