後悔の言葉は地獄で言え
「 おい!早く地獄に行かせろよ 」
「 どこに行くんだよ 」
神様から地獄行きを下された外道要磨。
死神と女神に挟まれ神界の地獄に案内される。
そこで、女神が口を開く
「 地獄へ行く前に、あなたに見て頂きたいところがあります 」
「 安心してください。時間は取らせません 」
数分歩いて たどり着いたのは、天に続く階段。
「 お待たせしました、ここは天国の入口でございます 」
そこで外道は、
「 オレは地獄行きじゃないのか? 」
「 そうです、その前にまず、私女神が天国を案内させて頂きます 」
「 そうか!!地獄行く前に天国で遊んでもいいんだな!? 」
外道は天国の階段を昇ろうとしたとき、
「 あれ?階段に昇れねぇぞ 」
そこで、死神は
「 当たり前だろ、地獄行き確定した罪人が天国に昇れるわけねぇだろ 」
「 おい!なんで天国に案内されるんだよ 」
女神は持っている杖で、天国の階段の天に向かい光を放す。
しばらくすると、何かが映しだされていく。
「 あなたには天国はどんな所が見て頂きます 」
映し出されたのは、天国の風景。
そこには、まさに天界・地平線ならぬ雲平線が広がる雲が並んでいる。
普段神界を歩いている、綿アメのような灰色の雲とは違い、真っ白な景色。
想像通りのイメージの天国だった。
死神が
「 ここに来ると、現世で叶えられなかったことが、何でも叶うことが出来るんだぜ 」
「 年を取ることもなく、永遠に天国で楽しむことが出来るんだ 」
「 へぇー、美人のねぇーちゃんに囲まれ、酒も飲み放題なのか? 」
「 そうだ、だが、そんな下衆な思いを持った奴が天国行きなんて有り得ねぇけどな 」
「 なんだよ つまんねえな、でも、案外ガランとしてるな 」
「 動物とガキが何人か見えるな 」
女神は
「 その通りです ここに来る者はほとんど、現世で理不尽に命を奪われた生きものがほとんどです 」
「 人間でここに来る者は、ほぼ小さな子供さんばかりです 」
「 何で、天国はガキばかりで、大人はあんまりいないんだよ 」
「 外道さん、大人は少なからず天国にいます よーく見てください 」
「 見覚えはありませんか? 」
女神が差した天国にいる、数名の男女の大人たち。
「 そうです、外道さんに理不尽に殺された人たちです 」
「 こいつらは偉そうに、説教垂れやがって!貧乏人のオレに金を恵んでもくれねえ 」
「 優しさもくそもねえ奴らよ 」
「 外道さん・・・ 」
「 あん? 女神のねーちゃんがオレに愛を目覚めたか? 」
女神は持っている杖で、妖しい光を外道に激しく放す。
「 ぎゃーーーー!! 」
「 口を慎みなさい!!貴方に殺された人たちはどんな思いで死んでいったか分かりますか? 」
「 今でも天国で、貴方に恨みの思いを持った人ばかりです 」
「 女神が怒ったら、死神のオレより強いぞ 覚悟しろよ 」
「 アチチチチ・・ふざけんなよこのアマ! 」
「 外道さん、もう一名見てください 」
「 何だ?このガキか? 」
「 そうです、このお子さんに見覚えありませんか? 」
「 ま・・まさか・・このガキ・・・ 」
「 そのまさかです。まぎれもなく貴方のお子さんです 」
「 殺された奴らは、オレに殺意を感じるのに、このガキは何で笑っているんだ 」
「 外道さんが、18歳の頃、当時同棲していた女性の間に生まれた子です 」
「 そのあと、貴方の悪行が耐えられなくなった女性は失踪しました 」
「 ああ、オレは一人でガキを面倒を見ることになったんだ 」
「 そして、遊ぶことのできなかった貴方は、お子さんが3歳の頃 殺されました 」
「 殺されるまで 食べ物もろくに与えず日常に虐待を繰り返しました 」
「 このガキ他の奴らと比べて、何で笑っているんだ? 」
「 分かりませんか?世界中貴方に怨まれていても、このお子さんだけは父親である貴方を愛していました 」
「 虐待されても、自分が悪いと自身に言い聞かせ、幼いながらにいつも我慢をしていました 」
「 そして、父親の名を言いながら、お亡くなりになりました 」
「 今、ここ天国にいる貴方のお子さんが笑顔でいるのは、現世で叶えられなかった 父親である外道さんに抱かれている幻を見ているんです 」
「 オレのまぼろし? 」
「 そうです、お子さんからみれば父親らしい本物が、見ることが出来るのがここ天国なんです 」
「 へぇー、幻が本物に見えるのかまさに天国だな エヘへへ 」
死神は
「 おい、サイコヤロー!まだ分かんないねぇようだな 」
「 あん?悪ヅラした死神に言われたくねーな 」
「 ガキは殺したんじゃねぇ、勝手に死んだんだよ 」
「 女神よ、少しは罪深さを分かると思ったが、無駄なことだったみたいだな 」
「 そのようですね、自分以外の命をゴミ同然とみている貴方は 死神さんにすべてお任せするしかありませんね 」
「 このサイコヤローはどうしても地獄に行きたいみたいだからな 」
女神は杖をしまい、外道を死神に渡した。
そして、地獄を案内されることになった。
外道は天国の階段の少し離れたところに、あるものを見つけた・
「 おい、死神とやら、あの穴みたいのはなんだ? 」
見つけたのは、綿アメの雲にぽっかり空いている、人が一人入れるぐらいの穴。
その時死神は
「 あの穴は転生、つまり別の生きモノに生まれ変われる穴だよ 」
「 悪をやり尽くしたお前じゃ、縁のない所だ 」
「 まあ、生まれ変わったとしても、同じ人間になるなんて有り得ないがな 」
しばらくして、一面灰色の綿あめが広がる雲にらどりつくと
「 外道要磨よ、そこに立て! 」
「 ここが地獄か? 」
「 いや、ここが地獄の入口だ 」
「 ま・・待てよ、地獄に行って何をすればいいんだよ 」
「 安心しろ 何もしなくていい 」
「 そう、何も・・ふっふっふっふっ 」
死神は不気味に笑う。
「 最後の情けだ 言い残すことはないか? 」
「 何度も言わせるな! 早く地獄に行かせろ! 」
「 そうか、後悔の言葉は地獄で言うんだな 」
死神は持っている杖で、外道に向けあ妖しい光を放す
{{ ドン!!! }}
「 な・・なんだここは!? 真黒じゃないか!! 」
「 空間もつかめないじゃないか 」
そう、ここ地獄はまさに暗黒の世界。
視界に入るのは真黒。
重力もなく位置ももつかめず無重力状態。
何もない世界、そう、酸素もない。
そんな地獄に落とされた 外道は、
「 苦しい!!!!止めてくれ! 死にたくね 」
「 フフッ 現世で死刑を執行したときと同じことを言いやがって 」
「 安心しろ、現世でお前の肉体はもう死んでいる 」
「 歪んだお前の魂は 永久に何もない暗黒の世界で苦しむんだ 」
視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚と、人が生きるために必要不可欠となる五感をすべて奪われた。
肉体は死んでいるため、魂だけになった外道は、
終わりのない世界で永久に住むことになった。
まさに本当にあの世の地獄である。
「 助けてくれ!! 改心するからここから出してくれ!! 」
「 死神さん、今回の裁かれ人はかなり手こずったんじゃないんですか? 」
「 そうだな、どんな悪党でも最後の最後は詫びの言葉ぐらいあるもんだが 」
「 外道のサイコヤローは、テメーが助かることしか言わなかったもんな 」
「 そのようですね、外道さんのお子さんを見ても何も感じなかったのは 意外でした 」
「 あれでは、理不尽に亡くなれた方々は浮かばれません 」
「 ああ、本当に後味の悪い最後だったな 」
「 だが、今頃 さすがのサイコヤロー外道は地獄で後悔してるんじゃないか 」
「 誰でも五感を奪われたら、想像絶する恐怖が永久に味わうんだからな 」