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神さまは なんでも知っている  作者: HAYATO
人並みに生きたい
1/6

自由に舞う鳥になりたい

私の名は「ハナ」。


漢字で書くと葉菜。


高校一年、そう高校入学してばっかりです。


中学の頃はイジメられてばかりで、学校は行かない日が多かった。


しかし、高校に入学しても、クラスにはなかなか馴染めず、


ただただ、一人ぼっちだった。


毎日登校するのは本当に辛かった。




  ・・・・辛いよ・・・哀しいよ・・・苦しいよ・・・


  もう生きることが出来ないよ


  毎日が辛くて・・


  もう誰にも相談できない


  もう・・このビルの屋上ですべてを終わりにしよう


  楽になりたい・・・・


  パパ、ママ、ゴメンね 最後まで自分勝手な娘で・・


  今度、生まれ変わったら、大空を舞う鳥になれますように


  ・・・さようなら・・・

 


 私は、誰もいないビルの屋上から、祈るように飛び降りた









  ⁇ ⁇





あれ?ここはどこ?


私は飛び降りたはずなのに


もしかして、あの世?


一面 見渡す限り、綿あめみたいな雲ばかりだな・・・


霧がかかって遠くがみえない。


私はとりあえず、歩いてみた。



しばらくすると、霧の奥から、何かが見えて来た。




人?




一人・・・二人・・・・


三人いるみたいだ




やたら威圧感のある、偉そうな年を重ねた大柄な男と、


その大柄な男の左側に立っている、人相の悪い怖そうな男、


そして、右側には綺麗なスタイルの良い女性が立っていた。




   「 誰なの? 」




すると、左側に立っていたチンピラ風の男が




   「 コラー!神々に向かって 何て口聞いてるんだ! 」




えっー? 神様?


神様って三人もいるの?


そもそも神様なんて本当に存在するの?




すると、スタイルの良い女性が、



   「 死神さん、神と名乗る者がそんな言葉使いしてはいけません 」

   「 彼女はここに来たの初めてなんだから、驚くの無理ないですよ 」



   「 あの怖そうな人が死神? 」



私は疑いの目をしながらも、驚きは隠せない。




そして、真ん中に立つ一番偉そうな男が口を開いた。



   「 そう、ワシの両側にいる部下、死神と女神じゃ 」

   「 そして、ワシが偉そうじゃない、一番偉い神様である 」




あのスタイルのいい女性は女神?


本当に神様なのか?夢でも見てるんじゃないかと思い、


私は話半分で神様たちの話聞いてた。




   「 死を目前にした者だけが、ワシら三人の神たちに出会うことになっているんじゃ 」



   「  えっ!死を目前って、私はまだ生きているんですか? 」



   「 そうじゃ、まだ生きとる。厳密に言うと 今、お前さんはビルから飛び降りている途中じゃ 」



   「 なになに?意味わからないです。飛び降りてる途中なのに何でここに居るんですか? 」




すると、怖い顔で死神が。



   「 頭の悪い小娘だな!人間も含めて生き物はみんな 死ぬ間際に気絶するんだよ! 」

   「 気を失っている間に魂だけが、この世界にたどり着くんだよ!わかったか!? 」


 

   「 ??飛び降りてるあの一瞬の間ですか?あんなに短い時間なのにここに来るんですか? 」



   「 あーーー、イライラする!最近の若い奴は物分かりの悪いヤツばっかだ! 」

   「 オイ!女神よ 説明してやれ! 」


 

   「 ハナさんといいましたね ごめんなさい、無礼なことを言ってしまいまして 」

   「 要するに気を失っている間は、この世界ではゆっくり時間が流れていることなのよ 」

   「 大体、この世界で1時間だと、貴女の世界では0.1秒、ほとんど止まってる状態だね 」




そうなのか、人はみんな死ぬ前は気を失い、ここに来るっていうことなのか・・。


それにしても、あの女神さんは私の名前まで知ってるの?やっぱり、神だから?


 

   「 で?ここに来て私は何をするんですか? 」




踏ん反り返ってる(?)真ん中にいた神様が言った。



   「 ここでお前さんが 天国か、地獄か、続生、そして転生か 決めるんじゃ 」



   「 え? この話って、閻魔さまが天国行きか、地獄行きか決めるんじゃないかしら?」

   「 そして、地獄行きになると 強制労働され魂だけきれいに洗われ、生まれ変わるんじゃ? 」



   「 うむ、人間はこのような説を唱える者もいたのう、」

   「 確かに、以前は閻魔だけで決めていたんじゃが、一人で決めるのも大変だったんじゃ 」



確かに、死んだ人一人一人に 天国とか地獄とかきめるのも大変かもしれない。


天国と地獄は聞いたことがあるが 続生と転生なんて聞いたことないな。 



   「 そのため、閻魔は過労で倒れてしまってのう 」

   「 これを境に三人の神に代わり、この世界のシステムを大きくリニューアルしたんじゃ 」




ふーん、閻魔さまも倒れることもあるんだな。


それで、仕事の負担にならないように 三人の神様たちが決めることになったんだ。




   「 ところで、何で閻魔が過労で倒れたか、お前さんは分かるか? 」



   「 だから、忙しかったからですよね? 」



   「 ・・・なんで忙しかったか? と、聞いとるんじゃ 」



   「 生身の人間の私が、知るわけないじゃないですか 」



   「 お前さんにも分かりそうなもんじゃがな 」

   「 それはのう・・、地獄に行く者があまりにも多すぎたんじゃ 」



   「 そうかもしれませんね、確かに自分勝手な人間が増えたら有り得る話ですね 」



   「 そう、そのため地獄はいつも満杯、看守も管理しきれず、天国はガラガラじゃ 」

   「 地獄の強制労働システムを全面廃止し、シンプルな地獄に変わったんじゃ 」




あの世もこの世も同じような世界なんだ。


昔のやり方じゃ、今は通用しないということなんだな。




   「 シンプルな地獄になった代わりに、天国行きと地獄行き、新たに『続生』と、『転生』が加り、四つの判決が下されるんじゃ 」


 

   「 『続生』って、もしかして生きるということですか? 」



   「 そうじゃ、今のお前さんは気を失っている状態じゃ 」

   「 その後、お前さんの普段の行いににより 生きるということ決めることが出来るんじゃ 」



   「 私は自殺しようとしたんですよ、生きるなんて有り得ません 」

   「 出来るなら、自由に舞う鳥に生まれ変わりたいです 」



   「 生まれ変わり つまり、それが「転生」じゃな 」

   「 残念だが、どの生きモノに生まれ変わるかわからん、すべてくじ引きで決めるんじゃ 」

   「 運がいいと、裕福な家庭で人間に生まれることもあれば、ゴキブリに生まれ変わることもあるんじゃ 」




くじ引きで生まれ変わり決めるなんて、いい加減な決め方だな・・。




   「 よくお前さんのように、希望の生まれ変わりの生きモノを要望する者いるが 」

   「 希望の生きモノになるなんて、まず有り得ないだろう 」



ある意味、生まれ変わりも天国か地獄と同じようなものだな。




   「 余談だが、一番生まれ変わりたい生きモノは、わかるか? 」



   「 鳥とか、可愛い猫や犬じゃないですか? 」



   「 とんでもない、ダントツ人間、しかも日本人に一番生まれ変わりたいと言っておる 」



   「 それって、人間以外の生きモノが、人間に生まれ変わりた言ってるのですか? 」



   「 そう、地球上に生きる動物や虫など皆、人間に生まれ変わることを希望しておる 」

   「 まあ、理不尽に命を奪われた人間も、もう一度人間に生まれ変わりたいと言っておるな 」



   「 ・・・・ 」



   「 日本という人間の住む国は、紛争もなく地球の中でベスト10に入るほど平和な国じゃ 」

   「 それをお前さんは、生きモノの中で一番希望者が多い 日本人の命を粗末するなんて

言語道断 」


   「 大罪である 」


   「 さあ、お喋りはおしまいじゃ、そろそろ・・ 」



   「 ・・・わかりました。生まれ変わりなんて望みません 地獄行きを覚悟しております 」




睨みつける死神さんがまた怖そうに口を開いた


   「 分かっているんじゃねーか!当然 地獄行き確定だな 」

   「 オマケに飛び降りたあと、お前の死体が野次馬の餌食になり、人々の目に一生こびりつくんだぞ 」

   「 子供が見たらトラウマになるんだろうな 」



   「 ところでシンプルな地獄って、どんな地獄ですか? 」



   「 地獄行きを覚悟してる奴に、説明なんていらねえだろ! 」

   「 二度と地獄から出れないとだけ、言っとくか 」



私が地獄行きか・・。


自業自得かもしれないな。


自由に舞う鳥に生まれ変わりたかったな・・・。




そして、神様が持っている杖を大きく天に上げ、



   「 この、ムスメの判決を下す・・ 」






   「 ちょっと待ってください 」




さっきから黙り込んでいた、女神さんが口を開いた。


彼女は何を話すのだろう?




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