雪たんと魔法使い
「で、お前は何の属性の魔導師なんだ?」
いつものギルドの食堂のいつものテーブルで、雪たん、クランプ、紫、キューテルの四人が暇をもて余しています、あ、雪たんだけはこの頃お気に入りの積み木で遊ぶのに夢中です、まぁ、それをアホっぽい顔で幸せそうに見つめているクランプは暇ではないかも知れませんが
そんな中、たまたま魔法の話になり、紫の属性魔法はなんなのか?という話になりました
「ふ、我の属性か、この禍々しきオーラを見て分からないのか?」
聞いてもいないのにキューテルがテーブルに肘をつき、左手で顔を半分隠しながら言います
「闇だ、この世の光を喰らい、今、尚増幅し続ける最強の属性、闇だ」
「お、おう、お前の横にある花瓶の花がお前の光属性を浴びて急激に元気になっているが、気にせずガンガレ駄目天使、で、紫、お前の属性は何なんだ?」
適当に相づちを打ってクランプは話を戻します、キューテルは満足そうにニヤケてブツブツ独り言を呟いています
「え、私の属性?言ってなかったっけ?金属性よ、こうやって金属の玉に属性を乗せてから弾くの、珍しいでしょ」
そう言って腰の辺りをゴソゴソし出します
「おいおいおいおい、真っ昼間から下ネタか?やめてくれよ、雪たんもいるんだぞ」
「え?」
「私も・・・下ネタはちょっと・・・」
クランプは心底がっかりしたような顔で紫を見ています、キューテルは素に戻り、顔を赤らめてモジモジしています
「え?いや、だからこうやって金属の玉を」
「だーかーらーっ! 真っ昼間から○玉って言って股まさぐってんじゃねーよ!」
「ちっ! 違うしっ! ここに金属の玉が!」
「あっ! やー!」
それを聞いたクランプとキューテルはドン引き、積み木をしていた雪たんを抱いて後ずさりを始めます
「お、おまえ、そんな格好で男だったのか?い、いくらこのライトノベル小説群雄割拠の時代でも魔法の区別がつかないダメダメ女魔導師なら拾ってくれる所もあるだろうが・・・か、カマ導師はちょっと・・・」
「上手い!カマのマと魔法の魔を掛けた訳だねっ! って! 上手くねーわよっ!カマ導師ってなによっ!得意魔法は掘削ってか!」
「いや、上手くねーし、寧ろドン引きだし」
それはないない、と、クランプとキューテルは手を振ります、そんな二人の反応に慌てながら紫は腰の辺りから2つの金属の玉を取り出し二人に見せます
「も、もうっ! ちゃんと見てよっ!これをこの棒に詰めて使うのよっ!」
「お、おいっ! キューテル見るなっ! 逃げろっ! コイツ言うに事書いて棒まで出しやがったっ! それもこんな真っ昼間から使うだとぉっ! 間違いねぇ! コイツ、変態だぁっ!、変態カマ導師だぁっ!」
「い、いやぁぁぁっ!」
キューテルは恐怖の為に青ざめて両手で耳を塞いでしゃがみこんでしまいました、それを庇うようにクランプは紫とキューテルの間に立ちます
「おまえっ! いい加減にしろよっ! これ以上ヤルなら俺も黙っていねーぞっ!」
クランプはいつでも剣を抜ける態勢に入って紫を威嚇します
「だ、誰が悲しゅーて女を襲わなきゃならんのねんっ!もし襲うとしたらクランプの方でしょ!」
シーン
その言葉でギルド全体に静寂が訪れます
「え? 何? どうしたの?」
静寂に驚いた紫はキョロキョロと辺りを見回し、おもむろに1歩前に出ます
ズザザザザッ!
その1歩に合わせてギルド内の全員が後ずさります
「な、何よ、もし襲うとしたら女性じゃなくて男、って言っただけじゃないのよ!」
「いやぁぁぁっ!」
クランプは恐怖の為に青ざめて両手で耳を塞いでしゃがみこんでしまいました、それを庇うようにキューテルは紫とクランプの間に立ちます
「あなたっ! いい加減にしなさいよ! これ以上ヤルなら私も黙っていないわよ!」
キューテルはいつでも魔法を放てる態勢に入って紫を威嚇します
「だあぁぁぁっ! 聞けーっ! ちゃんと聞けーっ!」
そう言うと紫はいきなりダッシュし出します
「ぎゃぁぁぁぁっ! こっち来んなぁぁぁぁっ!」
「ヤラれるっ! 変態ホモカマ導師に! ぎゃぁぁぁぁっ!」
「人をカニカマみたいに呼んでんじゃないわよ! ムキーッ!」
「くくくくく掘削されるぅぅぅっ!」
「ムキーッ!」
かくして、ギルド内全員参加の恐怖の鬼ごっこは夜まで続くのでした、雪たんだけはとても楽しそうに走りまわっていましたとさ