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お母さんは冬の女王様  作者: けら たろ
ー雪たんの日常と現在ー
5/27

雪たんの日(祝)


「青いおそらに~豚さん3びき~狩猟の季節だぁ~鍋を火にかけろ~」


雪たんはお父さんに肩車をされてご機嫌に歌を歌ってます


お父さんは歌に合わせて絶妙なタイミングで相づちを入れます・・・


ファイアーボールで・・・


「雲のかなた~に~とんでったぁ~」


「ほいっ」


ボカーンッ!


「あの人はぁ~」


「ほいっ!」


ボカーンッ!


「今ごろ悪魔のぉ~ミックスジュースぅ~」


「せいやっ」


ボカボカーンッ


「ちょっと!いいかげんにしなさいよ!あなたたちの通り過ぎた跡がそこそこ焼け野原じゃない!」


「っだよー、うるせぇなぁ、雪たん目当てで寄ってくる魔物と盗賊と冒険者を追い払ってんだ、文句ならそっちに言えや」


「はぁ?威力を考えなさいって言ってるのよ!たかがゴブとかコボとかむさい盗賊とか冒険者に何ファイアボールなんて撃ちまくってるのよ!」



「いや、初級も初級のファイアバレットだぞ、えー、やだー、雪たん見てごらんこの色の悪い紫色のお姉さんはねー魔導師なのにファイアボールとファイアバレットの見分けが付かない位のへっぽこ魔導師さんなんだよぉ~、雪たんはファイアボールとファイアバレットの見分けつくもんね~」


「うーんっ!ドーンっていうのがファイアボールでボカーンがファイアバレットなのー!」


「うんうん、最高だね、その通りだよ、雪たんは本当に天才なんだね!天才って雪たん以外見たことないけどもしかして昔の人が雪たんのために作った言葉なのかも知れないね!」


お父さんはそう言うと雪たんを持ち上げグルグルと回り出します


「きゃはははは、もっともっとー!」


「はははははっ!そうれ!はははははっ!」


「だぁーっ!何よ偉そうに!前話まで魔法使えない設定だったのに紹介では風属性の使い手なんて紹介されてたクセに!それに冒頭でファイアボールって書いてあるじゃない!キャラがブレブレなのよ!このブレブレ男!」


「いや、ちょっと何言ってるかわかんないですわ」


「きーっ!」


「まーなんだ、へっぽこ紫、生きていれば良いこともあるさ」


「きーっ!」


「はははははっ、へっぽこ紫、いかれちまったか?お前のローブは紫色だぞ」


「きーっ!」





そんなこんなで3人は宿屋【プロムナード】に到着しました


「ちょっと!なんで宿屋に到着なのよ!行くのはギルドでしよーっ!」


「うっせーなー、雪たんがご飯食べたら付き合ってやるからちょっと待てよー」


面倒くさそうに頭を掻きながらクランプが紫をなだめます


「なんだと!」


いきなり宿屋の中から大きな声が聞こえます


「で、何か?お前たちが魔物寄せを使い善良な商人を襲わせてそれを助け不当な利益を上げたのは此方の調査が間違っている、と言うのだな」


「なんか証拠でもあるのかい?たまたま通りかかった所で商人が襲われてた、それを助けたお礼に幾ばくかの金をもらっただけだぜ、ちゃんと商人にも聞いてくれよ、嘘は言ってねーぜ」


お前たちと呼ばれたいかにもごろつき3人組は嫌らしい笑みを浮かべ大声を上げた男を見ました


男の名はアレキサンダル、この村のギルドの長であり悪を許さぬ硬派な男である、その風靡のごとく自分に厳しく、規律を乱す冒険者や悪には一切の躊躇なく厳しい厳罰を与える、二つ名は[鉄の法の番人]まさにこの男の為の言葉である、だが、


「ふむ、それはすまなかった、このアレキサンダル、頭を下げよう、また調査の折りに色々話を聞くことに成やも知れん、その時は協力してくれ」


そう言ってアレキサンダルは頭を下げる


その姿に3人は唖然としました、今までこの風体の為に本当の事を言っても信じて貰えないことが多く、それならワルっぼくしてやろう、と、ちょっぴりやさぐれていたのです


「・・・・あんた、俺たちの話を信じるのか?」


訝しげにごろつきの一人がアレキサンダルに聞く


「当たり前だろう、仲間の言う事だ、信じない訳がない」


この男、基本的に情に厚い、間違いは間違いと認める度量もある


「あ、・・・」


それを聞いて3人のごろつきは涙を流しはじめる


「お、俺たち、こんな格好だからグスン、みんなに、信じて、もらえなくてグスン」


「なぁ、あんた、本当に俺たちを信じてくれるのか?」


「すまねぇ、すまねぇ、実は「おうっ!ガリアンッ!塩豚骨ラーメン肉増し増しで3人前!音速越えて持ってこいっ!」あの事件・・・」


雪たんはお腹ペコペコです、お腹と背中が引っ付きそうです、紫のお姉さんは「あ、私の分もあるんだ・・・」なんてちょっと感激しています


「なんだいきなり、やかましいやつだな」


ガリアンさんがカウンターの向こうから顔を出します


「雪たんが腹減らしてんだ、つべこべ言わずに持ってこい、雪たんが死んだらどうすんだ!」


「なにぃ!そりゃ一大事だ!待ってろ!すぐに美味しい塩豚骨ラーメン作ってやるぜ!」


「あぁ、頼んだぜガリアン!この窮地を救えるのはおまえだけだ!」


こちらに背中を向けて厨房に走って行こうとしたガリアンさんにお父さんが声援を送ります、するとガリアンさんは背中越しに顔を向けてニヤリと笑って


「あぁ、わかってるさ、雪たん増し増しのお肉はトロトロドラゴンチャーシューだからね!」


と雪たんに声をかけます、雪たんはニパッと笑顔になり


「わーい!ドラチャーだぁー!」


と喜び走りまわります、お父さんも嬉しそうです、そこに


「おい!」


と、ギルド長のアレキサンダルさんがお父さんに迫ります、そしてお父さんの胸ぐらを掴むと


「雪たんが、死にそうなのか!」


と、凄みます、お父さんは真剣な眼差しで


「いや、もう大丈夫だ、今ガリアンが頑張ってくれている」


それを聞いたアレキサンダルさんは心底安堵したのかグラッとよろめき膝を着きそうになりながら


「そうか、山は越えたのだな」


「おっと、大丈夫か、心配かけたな」


と、すかさずアレキサンダルさんを支えてお父さんは言います


「こいつらには元気に走り回っている雪たんはみえないのか?」


と、紫のお姉さんは言ってますがそんな事はお構いなしに話は続きます






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