雪たん釣りをする2
「えろれろれろれろれーっ!」
「お姉さんだいじょうぶー?」
雪たんは紫色のお姉さんの背中を擦って言います
「あ、ありがとう、だいぶ楽になったわ・・・」
紫色のお姉さんは口を腕で拭いながら雪たんにお礼を言います、ほっぺにナルトと食べかすの麺が付いてます、お父さんは腕を組んでそんな紫色のお姉さんを見下げて
「で、さっきの危ないって何なんだ?こっちはお前の昼飯がラーメンだったなんてクソ役にも立たない情報まで入って来ちまってイライラしてんだ、ましてや雪たんとの大事な甘い時間も使ってるんだ、くだらねえ事だったら・・・」
お父さんは腰のナイフを抜いて刃を舐めようとしてやめて紫色のお姉さんのほっぺに刃をペタペタ当てて凄みます
「ちょっと地獄にお使い頼んじゃうぜぇ?」
「うがぁぁっ!元はと言えばあんたのせいでしょうがっ!あんたが私を釣り上げなければこんなことにはなってないでしょうがっ!」
「お、雪たん、四つ葉のクローバー見つけたの?凄いなあ~お父さん初めて見たよ~」
そう言って雪たんの頭を撫でてくれます、雪たんは嬉しそうに
「うーん!」
と元気良く返事をして笑っています
「聞けーっ!ちょっとでも聞けーっ!聞く態度を取れーっ!」
雪たんとお父さんはキョトン、とした顔でこっちを見てから思い出したように
「あぁ、すまんすまん、で、昼に食ったラーメンは何味だったんだ?」
「ちげーし!ラーメンの話しじゃねーし!」
雪たんは紫色のお姉さんを見上げながら両手を上げピョンピョンとジャンプしながら
「雪!ラーメンすきー!塩豚骨ー!」
「はははははっ!雪たん、じゃあ晩ごはんはラーメンにしよう!」
「やったぁー!」
雪たんは嬉しそうに両手を上げたままピョンピョンとジャンプしてグルグル回っています、それを見て肩をガックリと落とした紫色のお姉さんは
「はぁ、もういいわ、勝手に話すから、最近この湖の畔にスライムが大量発生しているの、弱い魔物だからいまのところ被害はないけど発生の仕方が異常なの、朝大量発生して夕方には消えてしまうの」
紫色のお姉さんはほっぺにナルトを付けたまま真面目な顔で話しを続けます
「その状況が召喚師による召喚に似ているの、もし悪意ある召喚師による召喚だったらいつスタンビートが起こってもおかしくないわ、で、事態を重く見たギルドがここら辺の調査クエストを発行したってわけよ」
お父さんは腕を組み目を瞑りながら
「で、お前さんがクエストを受注してここにいるわけだ」
「そうよ、だからあなた達なら大丈夫だと思うけど、気をつけて損はないわ」
「ふむ、ご忠告感謝しておこう、で、スライムの大量発生なんだが、これか?」
お父さんはそう言って3メートルほどの大きな穴ぼこを指差します
「え?」
紫色のお姉さんが指差された穴ぼこを覗くと8メートルほどの深さの穴ぼこの底には赤やら青やら緑やら、スライムが万顔色の錦絵のように蠢いています、その数は1000を越えているでしょう
「なっ、なっ、なっ」
「いやあ、スライムっつっても怪我するときあるだろ?雪たんが怪我すると嫌じゃんか、だからこうやってスライム召喚して上から釣ってレベルアップしてたのさ、この触れればたちまち猛毒になる猛毒釣り針を使ってな、で、魔石はバケツのなかにいれて一石二鳥って訳さ」
「お前かーっ!お前が悪意ある召喚師かーっ!それに子供に猛毒釣り針使わせんじゃねーよっ!あぶねーだろっ!」
お父さんはグスン、と鼻を擦りながら
「お前いいやつだな、雪たんの事、心配してくれるのか?大丈夫だよ、雪たんには完全状態異常無効のアミュレット付けてるから、ありがとよ」
「アーティファクトじゃねーかっ!そんな逸品王族だって持ってねーぞっ!」
「そうか?結構楽に手に入るぞ」
「知らんわーっ!と、とにかく一度容疑者としてギルドまで来てもらいますからね!」
「えー、めんどくさいなー」
「お父さん!雪ね、雪ね、お腹空いたーっ!」
「よし!ギルドに戻ろう!すぐ戻ろう!そしてラーメンを食べよう!」
両手を上げたままピョンピョンとジャンプしまくる雪たんは幸せそうでした