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お母さんは冬の女王様  作者: けら たろ
ー雪たんの日常と現在ー
2/27

雪たん酒場にて寝る


ある晴れた日の宿屋兼酒場【プロムナード】

お日さまはポカポカであったかいです


バキィッ!


こうして椅子に座って机に寝そべっているとすぐに寝れてしまいます


ドシャァ!


・・・・・・・


「うぉらぁっ!」


あの、すぐに・・・・寝れ・・・て・・・


「てめえらぁ!いい度胸だぁ!俺の可愛い雪たんに手ぇ出そうとするなんて、あっ、じゅうぅぅねぇんはぁえぇぇやぁぁぁ!」


そう言って右手と右足を前に出しながら歌舞伎の見栄のようなものを切っているのは私のお父さん、名前はクランプ、黙っていれば格好いいのに黙ってられない困った性格の31歳

風の使い手でギルドクラスもAクラス、実はとっても強い、付いた二つ名が{爆風クランプ}初めて聞いた時は流れる汗もそのままにしてどこまでも走って行ってしまいそうな名前だなーって思いました


「ちっ、なんだよ!おれたちゃあただ雪たんをお菓子で釣って外に連れ出そうとしているだけじゃねぇか!」


「はぁっ!?犯罪なんですけどっ!それ誘拐っていう立派な犯罪なんですけどっ!それを保護者のいる前で堂々とおこなっちゃうのは違う意味で問題なんですけどっ!」


「うるせぃやい!クランプ!今日という今日は我慢ならねぇ!野郎どもやっちまぇ!」


ギルドのいつもと変わりないひとこまを見ながら私はコテン、と頭を机に落として目を閉じます


「お腹・・・空いたなぁ・・・」



ギルドの日課のちょこっとした惨事も終わり、今はちょっとだけ早いお昼ご飯を食べてます、ボアの薄切り肉をニンニクで軽く炒め豆から取ったお乳と玉ねぎのソースをかけてあるものにオリーブオイルがたっぷり、美味しいです、お父さんにはなんか茶色いものが出ています


お父さんはスプーンを片手に茶色いものを見つめています


「・・・・おい、ガリアン、俺は確か雪たんと同じオススメランチを頼んだよ、なぁ?」


ガリアンさんはこの宿屋の主兼料理人さんです、とっても美味しい料理を沢山知っていて昔は違う所で創作料理のれすとらん?をやっていたそうです、いたりあん?何でもいいんですが美味しいからいいです


「あぁ、雪たんと同じオススメランチを頼んだぞ、だから雪たんには見るだけでもうまそうなボア肉のコンフィを玉ねぎの豆乳ソースで、と、ベーコンとポテトのキッシュを、お前にはくず野菜の激辛カレー、肉抜きで、を用意した」


「だぁー!っ、それお似合い料理ですよね!ねぇっ?!オススメランチのオススメはどこ行っちゃったんですかっ?もうやだ~、ガリアンさん髪の毛だけじゃなくて記憶もなくなっちゃったんですか~、キリッ、作り直せっ!」


その言葉をきいたガリアンさんに殺気がこもります


「おまえ・・・料理人の作った料理を下げさせる・・・のか?」


いつの間にか右手に握った包丁は肘の辺りから消えてお父さんの首筋近くに現れて包丁を首に当てています


ガリアンさんはちーととか言うスキルを一杯持ってます、お父さんは額を汗だくにして硬直しています・・・あ、この焼けたニンニク美味しい、ムグムグ


「俺はなぁ、こんな小さな村の片隅で料理人やってる半端者よぉ、だがなあ、どんな料理でも自分の誇りと皆の笑顔を守る為に最高の料理を出しているつもりだ・・・その何が入っているか良くわからねぇクズカレー以外はな」


「うぅぅ、おやっさん、あんた最高だぁ・・・」


ギルドにいる他の冒険者さんたちはガリアンさんの話を聞いてみんな鼻をすすって泣いてます


「いやいや・・いい話なんですけどね・・・この何が入っているか分からないクズカレーは別なんですよねぇ?」


「はぁ?それは何が入っているか良くわからねぇクズカレーじゃねえ!何が入っているか良くわからねぇ激辛クズカレーだ!」


「だぁぁぁっ!余計悪いじゃねえかっ!たまにはまともな料理食わせやがれくそハゲがぁっ!」


一瞬のスキを見つけてお父さんはその場から欠き消えてガリアンさん前に現れます


「ちっ!縮地かっ!」


お父さんは鋭い踏み込みから轟音を伴った右フックを叩きつけます


ガイイイィィンッ!


ものすごい音を立ててガリアンさんの目の前でお父さんの拳が弾かれます、ガリアンさんの対物理障壁です


「ってぇ!どんだけ硬てぇんだよ!」


「っは!まだまだこんなもんじゃねえぞ喰らえ‼この日の為に編み出しておいた必殺恐怖の拘束3連激名付けて《激辛クズカレーへの道!》」


ガリアンさんがそう叫ぶとお父さんの周りに黒いヒモのようなものが現れお父さんを締め上げます


「バっ、無詠唱バインドだと!」


締め上げられたお父さんは驚愕の表情でわたわたしています


「まだだっ」


次はお父さんの真下に穴があきお父さんは首の上以外穴の中に落ちます


「おっ落とし穴っ!それもすっぽり落ちないなんて、なんて中途半端なっ!一体俺をどうするつもりだっ!」


左足を後ろにピンっと伸ばして中腰になり右手もこれまた前にピンっと伸ばした状態で指パッチンをして魔法を発動させたどのアングルから見てもかっこ良くないガリアンさんは腕を組んだ姿勢に戻りながらニヤリ、と笑いました


「おいおい、まさかこれで終わりだとか思ってるんじゃぁねぇだろうなぁ?俺は3連激って言ったはずだぜぇ、なぁみんなぁ」


「へぇっ!その通りでさぁ!おやっさん!」


それを聞きお父さんは顔をヒクヒクひきつらせます、周りにはスコップや土の入った袋を担いだ冒険者さんたちが一杯です


「やれ」


ガリアンさんの一声で冒険者さんたちはお父さんに襲いかかりお父さんは首から下を完全に固定されてます


「さあ、クランプ、悪かったなぁ、楽しい飯の時間を邪魔しちまってよぉ、詫びと言っちゃぁ何だがみんなが食うの手伝ってくれるとよ」


大きなろうとと激辛カレーを持ったガリアンさんがお父さんに近づいて行くと周りの冒険者さん達がお父さんの首を上に向けて固定します


「らめぇ~!壊れちゃう壊れちゃうっ!雪たんっ!雪たん!たすけっゲハァァっ!」


「グフォオオォォ!」



雪たんは机に頭をおとして今にも眠りそうです


コテン


「ふぅ、お腹いっぱいですぅ」





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