雪たんのお父さんさん
深淵の谷間、谷間というだけあって階層なんてありません、降りられそうな場所を探してぐるぐる周り降りていくだけです、
途中でモンスターも出ますが下位のラット種が主で低レベルの冒険者でも簡単に討伐できる為
「ヘイヘイヘーイ、こんな弱っちいモンスターだけならミーでもペペペーイと攻略できんじゃなーい♪」
なんていう冒険者が後を絶たず底に着いたとたんに深淵の栄養になっていくということが良く起きます
食物連鎖ですね
深淵の恐ろしさは底に着いてからが本番です
底に着いたとたん大きく様相が変わり、ある場所は深い密林の中、溶岩が川のように流れる火山密集地帯、酷いところになるといきなり大海原に放り出されるなど、なかなかドキドキハラハラアドベンチャーを提供してくれます。
しかし恩恵も大きく深淵の底で取れる魔素を含んだ鉱石、モンスターからの魔石など冒険者魂をくすぐる要素も盛り沢山です
深淵はでっかい宝島ーそうさー今こそアドベーンちゃぁ
ですね
勿論モンスターの強さも跳ね上がりいきなり上位モンスターに蹂躙されるなんて事もありますので注意しなくてはいけません、大体の冒険者は舐めてかかって返り討ちに合いこれで命を落とします
ちなみに一部の冒険者にはモンスターはMSなんて呼ばれていることもあるそうですよ
「で、今回の底は洞窟タイプか、まぁ比較的楽なタイプだなー」
うす暗くジメジメとした湿気と生暖かい空気に包まれた空間洞窟タイプ、暗いと言っても見えないほどではなく明かりの魔法は使わなくても良さそうです
「そうね、虫種というのが嫌なとこだけど、半翅目だっけ?難しい名前だけど要は亀虫でしょ?酸のガスへの引火だけ気をつけて行けばそうやられる事はない相手よね」
「まぁちゃちゃっと終わらせて帰ろうぜ、おっ!紫!ウドだウド!ちょっと採ってこうぜ!」
ウド、山菜の一種で爽やかな高い香りとシャキシャキとした歯応えがたまらない山の恵みです
山に自生するものは固くなってしまうので食べられる部位が少なくなってしまいますがこの洞窟のような日が当たらない場所でできるウドは白く柔らかく捨てるところがないくらい全てが食べられます
「ほんとだ!ウドね!うーん、討伐途中なんだから少しだけよっ!」
どこからともなく出した大きな篭にせっせと放り込んでいるクランプの隣で紫とキューテルもウドを採り始めました、小一時間ほど山菜採りを楽しんだ一行はクエストを再開します
「ふぅっ、採った採った、それじゃあ探索の再開と行きますかー」
びょいんびょいん
「そうね、腐っても深淵の底、気を引き締めて行きましょう」
びょいんびょいん
「くくく、我にかかれば深淵の底など近所の高橋さんにゆうげのおかずのお裾分けをする道のりと変わらぬようなものだがなっ!そうまで言うなら気を付けて行ってやろう!ふはははははっ!」
びょいんびょいんピンポーン
背中に背負った篭から伸びる白いウドがびょいんびょいんと揺れます
びょいんびょいんさせながら歩いて行くとやがて道は開け大きなドーム状の広間に出ます
「そろそろ亀虫出てくるわよ、気を付けてっ!・・・・・って・・・・」
その光景を見た一行はかなり引きつつ辺りを見渡します
「・・・何これ?」
おかしな事に柱が何本も不規則に立っておりその柱の周りには何かが積もっています、中には張り付いているようなものも見えます
「まじか・・・」
そこには沢山のモンスターの死骸が折り重なるように転がっていました
少なくとも3桁後半、最悪4桁半ばまでありそうな死骸の山、全てが同じモンスター、それが薄暗い中物言わずに積もっていました
びょいんびょいん