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お母さんは冬の女王様  作者: けら たろ
ー雪たんの日常と現在ー
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雪たんの始まり


それは雪が深々と降る夜のことでした


宿屋【プロムナード】の店主ガリアンは食堂兼酒場の厨房の後片付けを終わらせ窓の外を眺める


「こりゃ積もるな」


窓の外の降り始めの雪を眺めながら明日の料理の変更を考える

こりゃ寒くなるからメインは汁物か・・・豚汁定食か、味噌と米はまだ持つか?

エプロンの裾で手を拭きながら明日の予定をいつも通りに組んで行く


「まあ、雪の降りも穏やかになったな・・・女王様も落ち着いたか、な?変な噂も立っていたが収束したのか?」


女王の母が死んだ、と聞いたのは1ヶ月ほど前、それならば別に騒ぐ事ではない、誰だっていつかは死ぬ、たとえ元女王であっても

ただし女王は死なない、女王であるうちは制約によって死なない、何があっても

おかしな噂、それは新しい現女王が即位する前に元女王が死んだのではないか?という噂だ

まぁ、俺には関係ないことか、冒険者も引退してるしな、と、面倒事から離れられている事にガリアンは少し安堵する

「女王関係の仕事なんて面倒事、冗談じゃねえ、だが面白いもんだな季節ごとに女王様がいて四季を管理してる、か、地球でこんなこと言ってたら変人扱いされてるな」


少しニヤけたガリアンは明日の仕込みに入ります


ガリアン・本名【亜門 透】昔は痩身で吹けば飛ぶような体型であった為、ガリのアモン、略してガリアンと呼ばれていた

しかし異世界に飛ばされ紆余曲折四苦八苦、生きる為、自由になるために冒険者として成功し、今では趣味の料理を生かして店を構えのんびりとやっている

お陰さまでしっかりと付くところには筋肉が付き今では泣く子も黙る程には強烈な風体になっている

ただ面倒見もよく、冒険者時代には良く新人等を助けていた為に今では頼れる宿屋の大将として親しまれている


トントンとリズミカルな食材を刻む音、グツグツと煮える鍋、ある程度明日の目処がたち、そろそろ休むか、と考えていると宿屋のドアが開く


「夜分遅くすまん、部屋は空いているか?子供と俺で2人宿を取りたいんだが」


濃紺のマントに積もった雪を払いマントを脱ぐ男、胸にはスヤスヤと眠る女の子が大事そうに抱えられている


「ここは宿屋だぜ、いつでも歓迎さ、飯2食付きで1泊銅貨60枚だ、すまんが趣味も兼ねてるんで食事は付けさせて貰ってる」


あまり若くないな、30前半って所か、なかなか修羅場潜ってやがるな、スキがねぇ


「ああ、それで頼む」


「んー」


眠そうな声を出しながら女の子がモゾモゾと動き出す


「あー、すまん、声がデカかったか?詫びと言っちゃあなんだが丁度明日の仕込みが終わった所だ、飯食うか?奢るぞ」


男は少し顔を綻ばすと女の子を優しく椅子におろして自身も腰掛ける


「正直助かるよ、腹ペコだったんだ、クランプだ、ヨロシク頼む、この子は雪、俺の自慢の娘だ」


「むー」


雪と呼ばれた女の子は起きたらしく可愛らしく眠そうに目を擦っている


「ガリアンだ、宜しくな、すぐ用意するからそのまま待ってな」


閉めようとした厨房に入り火を落とす前で良かったと考えながら微笑ましい親子に料理を用意する


これが雪たんとクランプとの初めての出会いだった





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