死んで生きた恋
プロローグ
「午前10時36分御臨終です。」「何年いたっけ?えっと5歳位からいたよね、」「そうそういっつもなににも関心持たないでさ」「え?そんな静かだったんですか?」「そうそう、でも静かっていうよりもうただ息してるだけって感じで…」
看護師の声と医療具の重なる声が遠のいていく、喋れないし動けない、けどまだ微かに聞こえる。こんな状況ドラマで見た事ある…きっと死んだんだ。私は何もない真っ白で無機質な部屋で息を引き取ったんだ。
とは言っても、もともと親はいないし昔から病院暮らしだったから友達だっていなかった、だからってそれが別にそれが未練なんかじゃなかった。
でも眠さやだるさが来ると同時になんだか鮮明に声や景色が見えるようになってきて、気づいたら死んだ私の顔が見えていて死霊になっていた。最初は驚いて、悲鳴に近い声を上げた。けど病室には聞こえないらしく自分の耳を痛めるだけだった。死霊なんて未練があるからなると思ったけど実際未練なんてなかった本当に未練なんてなかった…多分。
でも唯一あげるとしたら、なんて考えてみると幾つか思い浮かんだ
「ああそういえば恋、してないな」