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手紙  作者: 四辻 悠
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同封資料《三十年前の便箋》

永山淳一様へ


お別れは伝えないと心に残らないの。

ダメだよ。悲劇の主人公を演じてちゃ、消えていくよ。

人のつながりは大事だから。


これは、貴方への『罰』よ。

そうね。剣道でいうならば

肩から切りおろす袈裟切りかしら。


がんばっても報われないことはたくさんあるの。だから

つっぱっていてもいいことなんて何もないわ。人生はか

けっこではないもの。わざわざ決められた順路を走って

いくような滑稽な人生に憧れているならそれでもいいけ

れど。あの下らない出来レースに参加するなんて私は真

平御免ね。ならば私は荒野を歩くわ。自分の物語は自分

自身で作り、かき足していきたいじゃない。何かに振り

回されても自分で選んだのであれば、楽しいと思わない

かしら? 勿論いい子でいれば、それはそれで楽しい人

生と思うわ。見解のちがいね。永山君がどちらを選ぶか

はしらないけど。文句ばかり言っている人生よりも感謝

ばかりの人生のほうがなんだか素敵じゃない。今の貴方

にこんな説教じみた手紙はかなり苛立つでしょうね。で

も、それも罰の一つとして甘んじて受けなさい。貴方の

感じている絶望はそれほど残酷じゃあないわ。世界には

もっと残酷な宣告だってある。しょうがない。の一言で

それを受け入れている人もいる。こう言っては冷たいか

もしれないけれど、貴方の絶望なんてゆっくりとだけど

時が経てば薄れて、消えゆくものだわ。たいした事ない

のよ。お前に俺の何が分かる! と、言うかもしれない

わね。そんな事は知らないし、分かりたくもないわ。少

なくとも、貴方よりも絶望してそれを享受したばかりか

希望に変えてやろうと意気込んでいる人がいるとしって

いるわ。もっと周りを見てみなさい。今、貴方がしよう

としていることは、救ってくれる人たちに対する冒涜よ


まぁ、いいわ。

夏目漱石のこころでも読んでみなさい。


稗坂 けふか


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