表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

[2]

時代は幕末。


小さな港町の片隅で甘味処を営む千里子(チリコ)は、二階の一番端にある部屋の戸に手を掛けた。


(サク)、起きてる?」


室内からの応答がない。

あの怠け者、こんな昼過ぎまで寝ているなんて。

千里子は、溜息をつきながら部屋の戸を開けた。


その部屋は、店の前の道に沿って窓が設置されており、障子を開ければ好きな様に外界を眺めることが出来る。


その障子は既に開かれていて、窓際で煙草をふかし、片目を眼帯で固めた青年が一人佇んでいた。


「もう、また外眺めてたの? まだ寝てるかと思ったわ」


千里子は敷かれたままの布団をたたみながら、部屋に佇む青年に話し掛けた。

振り向いた青年は、ふわっとした温かい微笑みを浮かべ千里子の言葉に答えた。


「僕は朔じゃないよ。」


目線をふと布団から青年に移した千里子は、驚きもせずに話を続けた。


「その喋り方は、蒼輔(ソウスケ)さん? おはよう、蒼輔さん。今日もまた依頼の方がいらしてるわよ。ちょうど良かった、朔だと依頼の時話にならないから」

「依頼?こんなに早くから、またせっかちな人だなぁ。昼間は甘味処として営業してるってのに。そのことちゃんと言ってある?」


千里子はたたみ終わった布団を押入れにしまいながら、文句を言う蒼輔を諭した。


「まぁ、本業は甘味処じゃないからね。とりあえず隣の部屋へ通しておいたから。あとお願いできる?」


「まぁ、千里ちゃんがそういうなら仕方ないか……」


蒼輔と呼ばれた青年は、ゆっくりと立ち上がり隣室へと向かった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ