子猫の夜
『子猫の夜』
僕らは傷を舐め合う子猫のように
寄り添いあって 温めあって
小さな叫びをあげていた
そしていつか
お互いの傷は化膿し 痛みは増して
鳴くことにも疲れ果て
うなだれる
それでも
ひとりぼっちは嫌だよと
互いに体を寄せあって
声にもならない言葉をこぼした
あの頃の僕ら
なんて愛おしいんだろう
なんて愚かなんだろう
子猫の頃の古傷は すっかり癒えて
もう跡形もないけれど
今も
ずっと忘れてない
寄り添いあって 傷をさらした
あの
子猫の夜